システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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脱線しまくり

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 とある森の中、何やら薄黄色い巨大な何かが頭を突き合わせて話し合っていた。
 それらの頭からは、ぴよ~~んと、それぞれ色の違う1本の長いアホ毛が飛び出していた。
 アホ毛の色で個体を見分けると言うのもおかしな話だが、それしか見分けるすべがなかったので仕方ない事だろう。

「どうもおかしいぞ?」
「ああ、ヤツの動向が掴めない」
「瞳孔? 俺、開いてるか?」
「ひよこの目の動向の開き具合なんて分かるか!」
「いや、良く見ろよ! ちゃんと瞳孔あるだろうが!」
「お前等、その瞳孔じゃない! 同行というのは、誰かに付いて行く事を言うのだ!」
『おおー!』
「いやいや、お前の言ってる同行も違うよ! 同じ学校の奴の事だ! たとえば、お前何中? 俺、何とか中卒! っとかな」
『なるほどー!』
「全然ちがーーーう! あいつの動きが掴めないって言う意味だよ!」
『な~んだ、そっちかぁ~』
「何だ、その落胆は…? ってか、管理局の俺にも連絡取れないんだよ!」
「ふむ…まさかとは思うが、俺は吸収されたのか?」
「まさか! ほぼ対等なエネルギー量なんだぞ? 吸収なんて出来るか?」
「いや、合体と言う事も…」
「合体と言えば、やっぱ六神合体だよなぁ~」
「馬鹿を言え! 合体と言えば、ゲッター1択だろうが!」
「おいおい、俺の推しは超電磁ロボなんだぞ?」
「お前等好き勝手に話をすな! 管理局の俺が俺に吸収されたか合体したかは知らんが、とにかく連絡が付かないんだよ!」
『へ~~』
「え、この話…興味ない?」
『うん』
「…お前達…いや、俺達なんだけど…ちょっと危機感薄くね?」

 一体、何の話がしたいのかは良く分からないが、とにかく彼等の話が脱線しまくりなのが良く分かる光景だった。
 

 さて、西に向かって進路を取ったホワイト・オルター号は、やがて遥か遠くに星空の光りでキラキラと輝く海を臨む所まで来た。
 この頃になって、漸く連峰の標高も500mほどまで下がって来ており、ここら辺からなら無理なく山脈越えも出来そうだ。  

「さら、その崖の向こうから山脈を越えましょう」
 リリアがナディア達の作成した地図と睨めっこしながら、操縦桿を握るサラに言った。
「もう、つーかーれーたー! ここらで止まって寝ようよー!」
 朝からずっと操縦桿を握りっぱなしのサラが、リリアに向かってぶーたれた。
「ふむ…確かにもう良い時間ですね。しかし、元々我々は食事も睡眠も不要な身体のはずですが?」
 まあ、リリアの言う様に、特別製のボディーを持つサラとリリアではあるが…。
「そうは言いますけどねえ? 労働基準法というものがあるのですよ? サブロクキョーテー違反です!」
「サラ…36協定なんて知ってたんですね…意外です」
 地図からリリアが顔を上げて、驚愕の表情でサラを見る。
「ふっふ~ん! こう見えてサラちゃんは、賢いのです!」
 まあ、だからどうしたという顔のリリア。
「そうですね。では、超過業務時間に関しては、書類にして管理局に残業申請してください。きちんと手当を出してくれますので。そうれと、深夜手当も頂けるそうですから、そっちも申請お願いしますね」
 しれっとリリアが何か言った。
「し、申請!? そんなん、今まで聞いた事も無いけど!?」
「そうですか? では、今、言いました」
 サラの講義などどこ吹く風のリリア。
「今? 今、確かに今といいましたか!?」
「ええ、そうですね。そもそも、就業規則も無い、超ブラックな管理局なのに、36協定とか言い出したのはサラでしょうに」
 表情の一切が亡くなり、半開きのじとーっとした目でサラを睨み付けるリリア。
「え、あ…う? 管理局って…やっぱブラックなの?」 
 リリアの言葉に、サラが愕然とした顔で問いかける。
「ええ、局長は真っ白ですけどね、見た目だけは」
 何故か大喜利の様な返しくをするリリア。
「ああ、確かに見た目は真っ白ですねぇ…腹の中は真っ黒ですけど…」
 だが、どうやらリリアの答えに、サラは納得した様だ。
「でしょう? まあ、確かにもう遅いので、あの崖の手前で小旋回しながら今夜は休みましょうか。明日はまた早いですよ」
「りょーかい! まあ、確かにこの世界の人って、朝早いよねぇ…。もっと寝てればいいのに…」

 サラとリリアがキャビンでそんなやり取りをした後、ホワイト・オルター号はゆっくりと旋回をし続ける様に設定をなされ、連邦越が出来るあたりで夜を明かす事になった。
 まだ調査の旅は始まったばかりである。
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