システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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 Exactly!

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「それで、何が問題なのじゃ?」
 培養槽の中に浮かぶミヤを見ながら、ボーディがモフレンダに問うた。
「これ…見て」
 問いかけられたモフレンダは、培養槽に取り付けられたモニターの様な物を指さす。
「これですか?」
 首を捻りながら、モフリーナがそれを覗き込んだ。
「妾にも見せるのじゃ!」
 っと思ったら、その横からボーディもそれを見ようとモフリーナをグイグイと押した。
「これ…あり得ない事になってる」
 そう言ったモフレンダの指が、モニターの様な物に表示されている文字をツンツンと突いた。
「ん? これが何じゃと言うのじゃ?」
 その表示された内容を理解できないわけでは無いのだが、特にボーディは不審に感じなかった。
 だが、モフリーナはその内容をじっと見つめると、小さく「あっ!」っと声をあげた。
「モフリーナ、わかったみたい。これ、設定数値を上回ってて、修正不可」
 そこに表示されていたのは、いわばミヤのステータスの様な物。 
 
 ダンジョンのモンスターの全ては、必ず一度はこの培養槽で生み出される。
 ここに例外は無い。
 もふりんもそうであるし、簡易的に生み出されたカジマギーであっても、それは例外ではない。
 まあ、カジマギーは、モフリーナのダンジョンにある装置を一時的に借り受けたボーディが生み出したのだが。
 そんな培養槽ではあるが、最初に色々と設定しなければならない事が多い。
 攻撃力や防御力、速度や体力、特殊能力や知性等々、非常に設定項目は優に200を越える程に多い。
 現在培養槽の中で裸で漂うこのミヤも、ここで数々の設定を行ったうえでトールの前に連れ出されたのだ。
 しかるに、その項目の中の一点をモフレンダは指し示した。
 そこに表示されていたのは、エネルギー保有限界量と忠誠度。 
 元々ミヤに設定されていたエネルギー保有量は、そう多くは無い。
 各種武装を数十分程度使用できるぐらいのエネルギー保有量だったはずだ。
 なのに、何故か現在表示されているエネルギー量は、当初の設定数字を2桁は上回っていた。
「なんじゃこりゃー!?」
 ボーディが叫んでしまったのも無理はない。
「さらに、ここ」
 モフレンダの指が次に指したのは、個性の項目。
「こ、これでは…トールヴァルド様に対して依存…いいえ、異常なまでに執着してしまいますね…」
 エネルギー量ではあまり驚いている様に見えなかったモフリーナも、これには目を見張った。
「ここをいじるのはお勧めしない。やるなら完全に消去。でも、一から設定し直して改善されるかどうかは…」
 表示されている内容を見つめながら、モフレンダが困った顔で言った。
「う~~~む…。確かに、ここをいじるとなると、他の項目がその結果に引きずられる可能性があるのぉ…」
「そうですねえ。これはこれで絶妙なバランスの上で成り立っていると言えますねぇ」
 ボーディとモフリーナも、モフレンダの意見に同意して唸った。
「…うん。だから、調整は1か所だけにする」
 解決策をモフレンダは提案する様だ。
「ほう。どこを調整するのじゃ?」
 ニヤリと笑ったボーディだが、別にこの状況を面白がっているわけでは無い。
 モフレンダの問題解決や調整能力を信じているからこその笑みだ。
「原因は、あの男の言う事を聞かない事って聞いた」
「確かに、モフレンダの言う点が一番の問題ですね」
 モフリーナがそれを聞いて、小さく首を縦に振る。
「でも、ちゃんとテストでは言う事を聞いてたとも聞いた」
「うむ、確かにのぉ…」
 ボーディも頷く。
「だから、あの男の指示で別次元に強制的に待機させればいい」
「「おぉ!」」
 なるほど、簡単な解決策である。
「だけど、自分の意思と反して、急に別次元に送られたら、ミヤは拗ねる」
「「確かに!」」
 ミヤの個性を考えると、間違いなく拗ねるだろう。
「だから、別次元に移動させると同時に、全機能を休眠させる」
「「ん?」」
 休眠するのは、普通の事の様に感じたモフリーナとボーディ。
「こっちの次元に出た時に、移動前の状態から再起動。意識も記憶も」
 つまり、別次元に移動した瞬間に、全機能が停止…つまりはミヤの時間が止まった状態になり、こちらの次元に呼び出された瞬間から、再度ミヤの時間が動き出すという事らしい。
「ほうほう! つまり細かな調整は止めて、新たに機能を付け加えるという感じかや?」
 正確にこれを理解したボーディがモフレンダに確認をすると、
「Exactly!」
 一言だけ、そう答えた。  

 こうして、ミヤに関する問題は解決しようとしていた。
 トールの考えやミヤの意思などは、全く考慮されないまま。
 3人のダンジョンマスター達は、培養槽の核かな明かりしかないとある一室で、あーでもないこーでもないと、ミヤの調整を行うのであった。
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