システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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問題?

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 さてさて、何時もの如くトールが嫁達に好き勝手にその身体を貪られているちょうどその頃、ダンジョン塔の一室でとある問題が発生していた。

 その部屋とは、出入り口と呼べる場所が全く見当たらないとある場所。
 出入り口が無いのは何故か?
 それは、ここがダンジョンマスター達によって、ダンジョンを徘徊するモンスター達が生み出される場所だからなのだ。
 そんな場所に、簡単に誰もが入れるはずも無いのは、ごく当たり前の事である。

 一般的な観点から考えると、ダンジョンとは冒険者がモンスターと戦いドロップ品や素材を手に入れ、時には宝物をも手にする事が出来る場所である。
 己が命を賭け金に一攫千金という夢を追いかける事が出来る、いわばダンジョンとはカジノでもあるのだ。
 っと言うのが、本来のダンジョン像であるが、実際のダンジョンはちょっと違う。
 実際のダンジョンで冒険者が己の身を賭けている事には違いは無い。
 だが、命を賭けると言う事は無い。
 いや、命を落とす冒険者も少なからずいる。
 だが、それは明らかに己の分を弁えない行動に出た事によるもので、自業自得と言えよう。
 普通にダンジョンで身の丈に合った戦闘をモンスターとしている場合に限り、怪我はしても命までは取られない。
 これはダンジョンの特性によるものだ。
 ダンジョンに侵入してきた冒険者を皆殺しにする…そんな事をしていては、誰もダンジョンにやって来なくなる。
 そもそもダンジョンとは、侵入者たちの生命エネルギーの一部を吸収するためにあるのだ。
 吸収しているエネルギーは、せいぜい一晩寝ていれば回復できる程度の物なので、頑張って戦闘を熟した冒険者達も、今日は疲れたなぁ…と思う程度の量。
 怪我の程度にもよるのだが、その具合によってもエネルギーを吸収する事は出来るのだが、あまり怪我が酷いと二度とダンジョンに来てくれなくなってしまう。
 ダンジョンとしては、あくまでも少量ずつ長期に亘って、大量の冒険者達からエネルギーを吸収したい。
 なので、極力大怪我はさせない方向で、ダンジョンのモンスター達は調整されている。
 無論、冒険者を殺してしまっては、一時は大量のエネルギーを得る事が出来るだろうが、それで終わりである。
 なので、あまりにも酷い怪我を冒険者が負ってしまった時には、回復薬や解毒薬をさりげなく冒険者の近くに落してあげたりする、非常に親切な場所なのである。
 ちなみに蘇生薬などという、妄想上の魔法薬的なアイテムはこの世に存在しない。
 回復薬や解毒薬と言っても、劇的に怪我が見る間に治ったり、一瞬で解毒できる様な物では無く、非常によく効く傷薬や解毒薬といった程度の効果しかない。
 骨折した場合は、治療院で大人しく治療を受けて、骨がくっつくまでじっとしているほかない。


 斯様にダンジョンとは、冒険者にとって仕事をしやすい場所なのであるが、では倒されたモンスター達はどうなるのだろうか?
 その答えが、このダンジョンマスター達の専用の部屋にある。
 この部屋は、大きく3ブロックに分かれている。

 名称が無いので、仮にAブロックとしよう。
 ここはダンジョンに侵入してきた冒険者達などから、エネルギーを少しずつ集めて溜めておく、言わば貯蔵庫の様な場所。
 巨大なタンクの様な物が設置されているが、それがダンジョン中から集められているエネルギーを溜めておく物である。

 次にBブロックだが、ここには淡い水色の液体で満たされたガラス製の培養槽が無数に並んでいる。
 中には色々な種類のモンスターが、培養液の中に漂っている。
 小型のモンスターは1つの培養槽の中に何体も、大型の物は各1体…っといった感じで入っていた。
 この眠っているモンスター達は、冒険者によって倒され、ダンジョンに吸収されたモンスター達を再生しているのだ。
 記憶の一部を調整され書き換えられているので、冒険者に倒された時の記憶は持っていない。  
 モンスターの再生や調整にはエネルギーを必要とするが、完全に無から生み出すわけでは無いので、大したコストではない。
 精々、冒険者たちが持ち帰った素材分ぐらいが余計なコストと言える。
 こうして再生されたモンスター達は、またダンジョンへと戻り、冒険者達の相手をしているという分けである。
 つまりは、とても小さい規模ではあるが、ダンジョンという場所は輪廻転生を具現化した場所とも言える。

 最後にCブロックだが、ここも見た目はBブロックとあまり変わらない。
 ただ、培養槽に雑多な機械の様な物が付いている事ぐらいが違いだろうか。
 ここは、新たなモンスターを創り出す場所である。
 新たな…っと言うと、今までに存在しなかったモンスターと思いがちだが、それだけではない。
 今までダンジョンで活動していたモンスターの数を増やしたり、改良したりも出来るのだ。
 具体例を挙げると、過去にトール達を歓待した時の饗応役となった、知能の高い小型のコボルトなどである。
 あとは、遠い過去にアルテアン領を襲った第9番ダンジョンのモンスターの反乱…いわゆるスタンピード時のモンスターなどである。
 スタンピード時は、モフリーナの調整不足が原因でモンスターの反乱が起きてしまったのだが…。

 さて、冒頭のとある問題とは、このCブロックの培養槽の1つで起きていた。
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