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番外) 思い出2
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まちるだたんの思い出
私は、このグーダイド王国の先王陛下である、スベルド大公様の治める領にあります、スロスト商会の商会長の娘です。
一応、スロスト商会は、このスベルド大公領では、1、2を争う大商会です。
母には妹がおり、先の戦で手柄を立てた騎士と結婚しました。
そして、遠く離れた開拓村といっても過言では無い領地で暮らしているそうです。
そうです…というのは、実情が全く分からないからです。
何せこの国では、手紙などまともに届きません。
階位の上の方々の出紙であれば、お付きの部下などが危険など省みず相手方まで届け、返事まで受け取ってくるでしょう。
しかし、 私達平民が出した手紙など、配送代だけ取られるだけで、肝心の手紙はどこかで捨てられるのがほとんどです。
商隊などにお願いしたところで、きちんと相手に届けてくれる事などほぼありません。
ですから、お母は私の叔母に当たる妹さんとも、もう長い間連絡を取れていないのです。
無論、情報など入ってくるわけも無く
多分、もうこのまま死ぬまで会う事など出来ないでしょう。
馬車でも片道で数週間もかかる所に住んでるらしいですから、それも仕方がない事なのかもしれません。
教育熱心な両親により、私は幼い頃より多くの事を学ばせてもらいました。
おかげで、成人と認められる齢15を超える頃には、商会の煩雑な財務関連を手伝うまでになる事が出来るようになりました。
結婚? そんなものに興味はありません。
両親は強く勧めてきますが、私はこの仕事が楽しいのです!
そうして数年が過ぎたある日、王城から我が家…正確には、スベルド大公を経由して、手紙が届きました。
母さんの妹であるウルリーカ叔母様のお家が、なんと伯爵位となったとの事です。
しかも、御子息も子爵位を賜り、領地運営に乗り出したと。
そして、なんとその御子息の領地運営で信用できる事務方が居ないので、良かったらどうか…という打診です!
子爵であらせられる御子息様は14歳で、つまりは私の従弟に当たる方です。
その両地までは、王国で責任を持って送ってくださると言うでは無いですか。
もちろん、両親や双子のアルヴィンとアンシェラとも何度も何度も長い時間を掛けて話し合いました。
ですが、私の中では結論は出ていました。
真っ新な領地が発展していく様を、側で見てみたい…出来るならそこで私の手腕を発揮したい。
両親も妹弟も、最後には賛成してくれました。
ここを離れたら、きっと命が尽きるまで会えなくなるだろう事も理解したうえで。
そして、私は未開の地へと旅立ったのです。
長い旅路の末、到着したアルテアン子爵領。
何と、私の従弟であり6歳年下の子爵様には、第3王女殿下と幼馴染と隣国の姫巫女という婚約者がいました。
子爵様、婚約者の属性多すぎませんか?
ですが、この領地の経営はとても楽しい!
農業など一切行わず、街の運営だけで税収を賄ってしまうと言う、大胆な考え。
普通の領地経営とはまるで違う…そう、商会の経営と考え方が同じなのです。
ここでなら、私もこの辣腕を存分に揮うことが出来るというものです!
喜々として日々の仕事に邁進してきました…が、ある時から領主であるトールヴァルド様の視線がおかしい事に気付きました。
婚約者の御3方ではなく私に…正確には、私の胸に視線が向けられている事に気付いたのです。
子爵様の婚約者は、私よりも随分と年下ですから、まだまだ女性としては未成熟。
私のこの身体と比べれば、確かにかなり貧…慎ましやかです。
子爵様も年頃の男の子ですから、私の様な大きな胸に惹かれるのも分かるのです。
…ですが…ああ、駄目です、こんな執務室でなど! 私も初めてなのです、どうかどうか最初はベッドで!
身分も違うのですから、私に抵抗など出来るはずもございません。
ですから、抵抗は致しませんが…せめてキスからにして下さい…ああ、でもそんなに激しく求められたら、私は…。
こうして、子爵様のお手付きとなった私は、愛人という日陰の身ではありますが、子爵様の側にお仕えする事となったのです。
最近では、私の胸にしゃぶりつく子爵様がとてもく愛おしくなってきました。
たとえ愛人とはいえ、私はこうして女の悦びを手に入れる事が出来たのでした。
おしまい。
誰が執務室で求めたよ!
後半は嘘ばっかりじゃねーーーーかーーー!
ってか、俺達結婚してるよね? 愛人って何なの、どっから出て来たの?
え、それじゃ大きな胸は嫌いかって?
そりゃ好きだけど…それじゃぁって、胸をはだけるんじゃありません!
まだ真昼間です!
ちょ、何で覆いかぶさってくるんだよ! ここは執務室だぞーーーーー!
いねすたんの思い出
我が家はいたって普通の家だ。
父は士爵ではあるが、領地を持っている訳でも無い。
ただ長年の王国の文官として、真面目にコツコツと勤めていただけの、本当に普通の人だ。
まあ、幼い頃の私はそんな父に嫌気がさして、剣で生きようと、その道に邁進した。
何分、物語の主人公というものは、大体が剣の達人だから、憧れもあったんだと思う。
幼いころから振り続けた剣の腕は、自分で言うのもなんだが才能もあったんだろうな…かなりのものになっていた。
男性の多い騎士団でも、まあ上位とはいかないまでも、中の上ぐらいの力量になったのだ。
その腕を認められたのだろう。
私は第3王女殿下の付き人兼護衛役として抜擢されたのだ。
その事を家族に報告したら、それはもう大喜びで、その晩は身内だけとはいえ、就任の祝いとして豪華な晩餐をしてもらった。
まあ、メイド服を着ろと言われたが、どうにも護衛としては頼りなかったので、あちこちに金属製の装甲をくっ付け改造したら、周囲の人々には呆れられた。
だって機能的じゃないだろう? 剣だって必要だし、いざとなったらこの身を盾としなけりゃならないんだから、当然の事だ!
ごほん…まあ、それはおいといて。
やがて第3王女殿下であらせられるメリル様が、トールヴァルド子爵と婚約した。
そして、結婚までトールヴァルド(アルテアン)子爵のお父君であらせられる、アルテアン(ヴァルナル)伯爵の邸で共に寝食を共にする事となった。
これは、将来は子爵領の領主夫人として領地運営を行う夫を助けるための勉強という意味が強い。
結婚前の未婚の女性が異性と寝食を共にするなど、普通では考えられない。
しかも、相手は王女殿下だ。
いくら公的に婚約が発表されたからと言って、まだ未成年の王女殿下が、男性と…その…同衾など、許されるはずがない!
結婚前の不埒な行いなど、絶対に絶対に許すわけにはいかないのだ。
なので、私もその輿入れに同行する事を強く申し出、半ば強引にてついて行く事したのだ。
さて、やって長旅の末に「到着したアルテアン領。
いや、正確にはアルテアン伯爵家領地にあるトールヴァルド領とでも言った方がいいのだろうか?
山脈を貫通する長いトンネルの先にあったのは、見た事も無い様な美しい森と湖、そしてそこに建つ美麗な城。
私は、このトールヴァルド子爵を手放しで称賛したくなった。
畏れ多くも姫殿下がお暮しになる邸なのだ。
せいぜい子爵家が用意出来る屋敷など、たかが知れていると侮っていた。
しかし、姫殿下の為に、これほどの城を準備するとは…やるでは無いか、子爵! と、当時は言ってやりたくなったものだ。
こうして姫殿下と私は、美しい湖の畔の邸で暮らす事となった。
この邸…いや、トールヴァルド子爵の治める領地は不思議な土地だった。
エルフ、ドワーフ、魔族、人魚といった、王国ではすでに伝説の種族と言われる様な種族が住んでいたのである。
いや、保護していたというのが正しいのだろうか?
とにかく、そういった種族の方が、子爵と共に街を盛り上げようとしていた。
元々、綺麗に整った立派な街並みがあったのだが、それがどんどんと、日毎に変わってゆくのを見るのは面白かった。
だが、私は騎士となるべく剣を振るって来た女だ。
姫殿下を本当にお任せできる御仁であるのか、どうしてもこの少年子爵の剣の腕前が知りたかった。
なので、子爵が日課にしている鍛錬? の時間に、手合わせを願った。
結果は完敗だ。
私は木剣であったとはいえ武器を持ち、子爵は無手だ。
なのに、私は剣を子爵の服に掠らす事すら出来なかった。
何度も何度も、子爵は拳を私の目の前で寸止めしてくれた。
相当な実力差が無ければできない芸当だ。
汗だくで大の字で地に横たわり、指一本動かす事が出来ない程に疲弊した私に、子爵が言った。
「君の様な美しい女性を地面で寝かせるわけにはいかないな。さあ、僕の手を取って…」
そう言って、私に手を差し伸べてくれた。
私は頬が赤くなるのを抑える事が出来なかった。
「子爵様…」
私がそう言って子爵様の手を取ると、彼は思った通り力強く私を引き起こしてくれたが、私は立つのもやっとだった。
「さあ、させを流しに行こう…」
そう言って、私をそっと抱き上げると、そのまま邸の中へと入って行った。
向かった先は、子爵様の寝室にそな設えられていたシャワールーム。
「し、子爵様…私は…」
「いいから、私に全てを任せておきなさい…」
そう言って、子爵様は私のシャツのボタンをひとつづつ外していった。
「ああ…いけません、子爵様には…王女殿下という婚約者がおられるのです…」
「なに…君と僕が黙っていればわからない事だよ…さ、目を閉じて…」
そういって子爵様の顔がゆっくりと私の顔に寄せられた。
「ああ、子爵様…」
私は目を閉じ、子爵様にこの身の全てを委ねたのでした。
おしまい。
おま、最後は完全に作り話じゃねーかよ!
そもそも、酔っぱらって俺の唇を強引に奪ったのはお前だろーが!
これだとメリルに内緒でお前と…その…いたしちゃったみてーじゃねーか!
いや、お前の事は嫌いじゃないよ?
そのぉ…無駄な脂肪も無く引き締まった武人らしい身体は、美しいと思うよ?
え、無尽蔵のスタミナ? いや、そりゃそれは確かに凄いと思うけど…。
はぁ? だからって続けて2回戦なんて出来ねーよ!
何でって、男はそんなすぐに臨戦態勢とれないの!
お、おま…どこに手を? って、その舌なめずりは…何するつもりだ!?
まさか、無理やり…ちょ、まて、まって…やーーめーーてーーーーー!
私は、このグーダイド王国の先王陛下である、スベルド大公様の治める領にあります、スロスト商会の商会長の娘です。
一応、スロスト商会は、このスベルド大公領では、1、2を争う大商会です。
母には妹がおり、先の戦で手柄を立てた騎士と結婚しました。
そして、遠く離れた開拓村といっても過言では無い領地で暮らしているそうです。
そうです…というのは、実情が全く分からないからです。
何せこの国では、手紙などまともに届きません。
階位の上の方々の出紙であれば、お付きの部下などが危険など省みず相手方まで届け、返事まで受け取ってくるでしょう。
しかし、 私達平民が出した手紙など、配送代だけ取られるだけで、肝心の手紙はどこかで捨てられるのがほとんどです。
商隊などにお願いしたところで、きちんと相手に届けてくれる事などほぼありません。
ですから、お母は私の叔母に当たる妹さんとも、もう長い間連絡を取れていないのです。
無論、情報など入ってくるわけも無く
多分、もうこのまま死ぬまで会う事など出来ないでしょう。
馬車でも片道で数週間もかかる所に住んでるらしいですから、それも仕方がない事なのかもしれません。
教育熱心な両親により、私は幼い頃より多くの事を学ばせてもらいました。
おかげで、成人と認められる齢15を超える頃には、商会の煩雑な財務関連を手伝うまでになる事が出来るようになりました。
結婚? そんなものに興味はありません。
両親は強く勧めてきますが、私はこの仕事が楽しいのです!
そうして数年が過ぎたある日、王城から我が家…正確には、スベルド大公を経由して、手紙が届きました。
母さんの妹であるウルリーカ叔母様のお家が、なんと伯爵位となったとの事です。
しかも、御子息も子爵位を賜り、領地運営に乗り出したと。
そして、なんとその御子息の領地運営で信用できる事務方が居ないので、良かったらどうか…という打診です!
子爵であらせられる御子息様は14歳で、つまりは私の従弟に当たる方です。
その両地までは、王国で責任を持って送ってくださると言うでは無いですか。
もちろん、両親や双子のアルヴィンとアンシェラとも何度も何度も長い時間を掛けて話し合いました。
ですが、私の中では結論は出ていました。
真っ新な領地が発展していく様を、側で見てみたい…出来るならそこで私の手腕を発揮したい。
両親も妹弟も、最後には賛成してくれました。
ここを離れたら、きっと命が尽きるまで会えなくなるだろう事も理解したうえで。
そして、私は未開の地へと旅立ったのです。
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子爵様、婚約者の属性多すぎませんか?
ですが、この領地の経営はとても楽しい!
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普通の領地経営とはまるで違う…そう、商会の経営と考え方が同じなのです。
ここでなら、私もこの辣腕を存分に揮うことが出来るというものです!
喜々として日々の仕事に邁進してきました…が、ある時から領主であるトールヴァルド様の視線がおかしい事に気付きました。
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私のこの身体と比べれば、確かにかなり貧…慎ましやかです。
子爵様も年頃の男の子ですから、私の様な大きな胸に惹かれるのも分かるのです。
…ですが…ああ、駄目です、こんな執務室でなど! 私も初めてなのです、どうかどうか最初はベッドで!
身分も違うのですから、私に抵抗など出来るはずもございません。
ですから、抵抗は致しませんが…せめてキスからにして下さい…ああ、でもそんなに激しく求められたら、私は…。
こうして、子爵様のお手付きとなった私は、愛人という日陰の身ではありますが、子爵様の側にお仕えする事となったのです。
最近では、私の胸にしゃぶりつく子爵様がとてもく愛おしくなってきました。
たとえ愛人とはいえ、私はこうして女の悦びを手に入れる事が出来たのでした。
おしまい。
誰が執務室で求めたよ!
後半は嘘ばっかりじゃねーーーーかーーー!
ってか、俺達結婚してるよね? 愛人って何なの、どっから出て来たの?
え、それじゃ大きな胸は嫌いかって?
そりゃ好きだけど…それじゃぁって、胸をはだけるんじゃありません!
まだ真昼間です!
ちょ、何で覆いかぶさってくるんだよ! ここは執務室だぞーーーーー!
いねすたんの思い出
我が家はいたって普通の家だ。
父は士爵ではあるが、領地を持っている訳でも無い。
ただ長年の王国の文官として、真面目にコツコツと勤めていただけの、本当に普通の人だ。
まあ、幼い頃の私はそんな父に嫌気がさして、剣で生きようと、その道に邁進した。
何分、物語の主人公というものは、大体が剣の達人だから、憧れもあったんだと思う。
幼いころから振り続けた剣の腕は、自分で言うのもなんだが才能もあったんだろうな…かなりのものになっていた。
男性の多い騎士団でも、まあ上位とはいかないまでも、中の上ぐらいの力量になったのだ。
その腕を認められたのだろう。
私は第3王女殿下の付き人兼護衛役として抜擢されたのだ。
その事を家族に報告したら、それはもう大喜びで、その晩は身内だけとはいえ、就任の祝いとして豪華な晩餐をしてもらった。
まあ、メイド服を着ろと言われたが、どうにも護衛としては頼りなかったので、あちこちに金属製の装甲をくっ付け改造したら、周囲の人々には呆れられた。
だって機能的じゃないだろう? 剣だって必要だし、いざとなったらこの身を盾としなけりゃならないんだから、当然の事だ!
ごほん…まあ、それはおいといて。
やがて第3王女殿下であらせられるメリル様が、トールヴァルド子爵と婚約した。
そして、結婚までトールヴァルド(アルテアン)子爵のお父君であらせられる、アルテアン(ヴァルナル)伯爵の邸で共に寝食を共にする事となった。
これは、将来は子爵領の領主夫人として領地運営を行う夫を助けるための勉強という意味が強い。
結婚前の未婚の女性が異性と寝食を共にするなど、普通では考えられない。
しかも、相手は王女殿下だ。
いくら公的に婚約が発表されたからと言って、まだ未成年の王女殿下が、男性と…その…同衾など、許されるはずがない!
結婚前の不埒な行いなど、絶対に絶対に許すわけにはいかないのだ。
なので、私もその輿入れに同行する事を強く申し出、半ば強引にてついて行く事したのだ。
さて、やって長旅の末に「到着したアルテアン領。
いや、正確にはアルテアン伯爵家領地にあるトールヴァルド領とでも言った方がいいのだろうか?
山脈を貫通する長いトンネルの先にあったのは、見た事も無い様な美しい森と湖、そしてそこに建つ美麗な城。
私は、このトールヴァルド子爵を手放しで称賛したくなった。
畏れ多くも姫殿下がお暮しになる邸なのだ。
せいぜい子爵家が用意出来る屋敷など、たかが知れていると侮っていた。
しかし、姫殿下の為に、これほどの城を準備するとは…やるでは無いか、子爵! と、当時は言ってやりたくなったものだ。
こうして姫殿下と私は、美しい湖の畔の邸で暮らす事となった。
この邸…いや、トールヴァルド子爵の治める領地は不思議な土地だった。
エルフ、ドワーフ、魔族、人魚といった、王国ではすでに伝説の種族と言われる様な種族が住んでいたのである。
いや、保護していたというのが正しいのだろうか?
とにかく、そういった種族の方が、子爵と共に街を盛り上げようとしていた。
元々、綺麗に整った立派な街並みがあったのだが、それがどんどんと、日毎に変わってゆくのを見るのは面白かった。
だが、私は騎士となるべく剣を振るって来た女だ。
姫殿下を本当にお任せできる御仁であるのか、どうしてもこの少年子爵の剣の腕前が知りたかった。
なので、子爵が日課にしている鍛錬? の時間に、手合わせを願った。
結果は完敗だ。
私は木剣であったとはいえ武器を持ち、子爵は無手だ。
なのに、私は剣を子爵の服に掠らす事すら出来なかった。
何度も何度も、子爵は拳を私の目の前で寸止めしてくれた。
相当な実力差が無ければできない芸当だ。
汗だくで大の字で地に横たわり、指一本動かす事が出来ない程に疲弊した私に、子爵が言った。
「君の様な美しい女性を地面で寝かせるわけにはいかないな。さあ、僕の手を取って…」
そう言って、私に手を差し伸べてくれた。
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「子爵様…」
私がそう言って子爵様の手を取ると、彼は思った通り力強く私を引き起こしてくれたが、私は立つのもやっとだった。
「さあ、させを流しに行こう…」
そう言って、私をそっと抱き上げると、そのまま邸の中へと入って行った。
向かった先は、子爵様の寝室にそな設えられていたシャワールーム。
「し、子爵様…私は…」
「いいから、私に全てを任せておきなさい…」
そう言って、子爵様は私のシャツのボタンをひとつづつ外していった。
「ああ…いけません、子爵様には…王女殿下という婚約者がおられるのです…」
「なに…君と僕が黙っていればわからない事だよ…さ、目を閉じて…」
そういって子爵様の顔がゆっくりと私の顔に寄せられた。
「ああ、子爵様…」
私は目を閉じ、子爵様にこの身の全てを委ねたのでした。
おしまい。
おま、最後は完全に作り話じゃねーかよ!
そもそも、酔っぱらって俺の唇を強引に奪ったのはお前だろーが!
これだとメリルに内緒でお前と…その…いたしちゃったみてーじゃねーか!
いや、お前の事は嫌いじゃないよ?
そのぉ…無駄な脂肪も無く引き締まった武人らしい身体は、美しいと思うよ?
え、無尽蔵のスタミナ? いや、そりゃそれは確かに凄いと思うけど…。
はぁ? だからって続けて2回戦なんて出来ねーよ!
何でって、男はそんなすぐに臨戦態勢とれないの!
お、おま…どこに手を? って、その舌なめずりは…何するつもりだ!?
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