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新しい玩具
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ミヤをボーディ達に預け、その日俺は屋敷へと1人で戻った。
裏庭へと戻って来た俺は、妙に邸の中がひっそりとしている事に気付く。
はて、結構毎日賑わっていたのに、何があったんだろう?
厨房の近くを通るといい匂いがしていたので、どうやらドワーフメイド衆は居る様だ。
執務室へと向かうが、室内には誰も居ない。
書類は大凡仕分けも出来ているし、意外な事に今日中にしなければならない仕事も残って無さそうだ。
いつもは、大抵ここにはマチルダが居るはずなのだが、今は姿が見えない。
応接室かな? っと、扉をノックしても返事がない。
中をそっと覗いてみたが、やはり誰もいない…って事は、母さんの所にでもいるのかな?
可愛い妹とシスターと弟と、あとついでに母さんと父さんの様子でも見に行くとするか。
3階の母さんの部屋の扉をノックすると、中から母さんの声が聞こえた。
俺は扉をそっと開けて中へと入ると、意外な事にそこに居たのは、
「あれ? 母さんとエド君…と、その赤ちゃんはユズノちゃん? 他の皆はどこいったの? ってか、ユズキとユズカは?」
ゆったりとした部屋着でソファーに座る母さんと、すぐ傍に置かれた2台のベビーベッド。
どうやら、エド君とユズノちゃんがすやすやとお昼寝中らしい。
そう、何時も姦しい嫁ーずも妹達も、ナディア達妖精も、おまけにユズユズにサラとリリアさんすら、ここには居ない。
「あらあら、トールちゃんは、独りぼっちで寂しいのかしら?」
子供じゃないんだから!
「誰がだよ! いや、誰も居ないのは珍しいと思ってさ。んで、皆でどこいったの?」
俺の問いに母さんは、
「明日からあの人が長期の調査に出るでしょう? それにサラちゃんとリリアちゃんも。だから、街にお買い物に行ったのよ」
なるほど、確かに買い物は必要だな。
「何だ、そうか。ま、何かあったかと思ったよ」
「あと、ユズカちゃんに、赤ちゃん用品も色々お願いしたのよ。ついでに夫婦でたまには羽を伸ばして来なさいって」
おお、それは大切な事かもしれない! 初めての子育てでストレスも溜まってるだろうしな。
「それと、コルネリアとユリアーネも、ずっとここに閉じ込めておくのも可哀そうだから、一緒に行かせたのよ」
コルネちゃんとユリアちゃんも、一緒にに遊びに行かせたと。
って事は、ナディア達は護衛の為に付いて行ったって所か。
「それで、ちょっとトールちゃんに聞きたいんだけど…」
俺が皆の事情を聴いて、ふむふむと頷いていると、母さんが何か言い辛そうに声を掛けて来た。
「ん、どうしたん?」
「それがねぇ…エドワードの事なんだけど…」
エド君がどうした? まさか等価交換だ! とか言って、錬金術でも使ったわけじゃないだろう?
「この子の右手を見て頂戴」
そう言ってエド君が眠るベビーベッドへと俺を誘う。
「右手?」
何の話だろうかと、俺が近づいてエド君を覗き込むと…、
「え、え…?」
その後に、『ええええええええーー!』っと叫びそうになるのを必死で堪えた。
「いつの間にか握っていたのだけれど…これ、何だと思う?」
一緒に覗き込んだ母さんが不思議そうに首を傾げているが、俺はそれどころじゃなかった。
エド君が握っていた物、それはどっからどう見ても、俺が転生の特典? で貰った、ガチャ玉そのものだったからだ。
いや、違う! これは、パンゲア大陸の環境を一変させた、懐かしの【環境改良かえる君】じゃないか!
虹色に輝く球輝くその球体を凝視していた俺の耳には、、母さんの声などついぞ入って来なかった。
『ふんふんふ~ん♪』
真っ白な世界の中で、素の部屋よりも白く輝く何かが、真っ白な卓袱台の前に座って、ご機嫌に鼻歌を歌っていた。
『お前、偉くご機嫌だな…』
同じ部屋に居たのだろう。
鼻歌を歌うご機嫌な誰かに声を掛けた、これまた真っ白な何か。
『ああ、そりゃそうさ! 何たって、第2,243,287次元の実験星に、新しい玩具を送り込んだんだからね』
ご機嫌に卓袱台に置かれたお茶を啜っていた、真っ白く輝く何かの言葉に驚いたもう片方の何かは、
『第2,243,287次元の実験星って…お前、まさか…』
『ふっふ~ん! そうさ、君の一部だった例の彼…、あれ? 彼の一部が君だったっけ? まあ、どっちでもいいけど』
『いいわけがあるか! 彼は厳選した血統だぞ? それ以外の者に魂のエネルギーを送り込んだりしたら、拒絶反応が…』
『心配性だなあ、君は。大丈夫、僕だってその辺は考えてるよ。ちゃんと彼の血を引く子供に僕の一部を送り込んだのさ!』
卓袱台にあったお煎餅を齧りながら、白い何かが言う。
『そ、そうか…。いや、そうじゃ無くて、お前も俺の一部…俺がお前の一部だっけ? どっちでもいいが、実験星の彼も同位体なんだぞ! その子供にかよ!?』
もう一方は大分焦っている様子。
『そんな事は重々承知だよ。そのうえで、不確定要素を送り込んだのさ』
『不確定要素? お前の一部だろ? っと言う事は、俺の一部でも彼の一部でもあるんだぞ? 今度はその子供を玩具にするのか!?』
段々と話の内容がややこしくなって来た。
『ああ、その点は大丈夫。本当に現地で生まれた彼の子供の赤ん坊に入れたから。それに、一部を除いて、ほとんどの記憶を抹消したから、赤ん坊の脳みそは新品同然。何の問題も無し!』
『新品って…。まあ、それは良いけど、一部ってのが非常に気になるんだが…』
『まぁ、細かい事は気にするな。ハゲるぞ?』
『やかましーわ! それならお前もハゲるはずだろうが!』
どこかの遠い時空の空の下では、何かと何かが意味深な事を言い合っていたが、それはまだ誰にも知られていない。
ただ、どうにも話の端々から、彼等が魂のエネルギーを注入したのは、トールヴァルドの子供と言っている様にしか聞こえないが、実際は弟なのだが。
何か、彼等はとても重大な勘違いをしている様な気がするのだが…。
裏庭へと戻って来た俺は、妙に邸の中がひっそりとしている事に気付く。
はて、結構毎日賑わっていたのに、何があったんだろう?
厨房の近くを通るといい匂いがしていたので、どうやらドワーフメイド衆は居る様だ。
執務室へと向かうが、室内には誰も居ない。
書類は大凡仕分けも出来ているし、意外な事に今日中にしなければならない仕事も残って無さそうだ。
いつもは、大抵ここにはマチルダが居るはずなのだが、今は姿が見えない。
応接室かな? っと、扉をノックしても返事がない。
中をそっと覗いてみたが、やはり誰もいない…って事は、母さんの所にでもいるのかな?
可愛い妹とシスターと弟と、あとついでに母さんと父さんの様子でも見に行くとするか。
3階の母さんの部屋の扉をノックすると、中から母さんの声が聞こえた。
俺は扉をそっと開けて中へと入ると、意外な事にそこに居たのは、
「あれ? 母さんとエド君…と、その赤ちゃんはユズノちゃん? 他の皆はどこいったの? ってか、ユズキとユズカは?」
ゆったりとした部屋着でソファーに座る母さんと、すぐ傍に置かれた2台のベビーベッド。
どうやら、エド君とユズノちゃんがすやすやとお昼寝中らしい。
そう、何時も姦しい嫁ーずも妹達も、ナディア達妖精も、おまけにユズユズにサラとリリアさんすら、ここには居ない。
「あらあら、トールちゃんは、独りぼっちで寂しいのかしら?」
子供じゃないんだから!
「誰がだよ! いや、誰も居ないのは珍しいと思ってさ。んで、皆でどこいったの?」
俺の問いに母さんは、
「明日からあの人が長期の調査に出るでしょう? それにサラちゃんとリリアちゃんも。だから、街にお買い物に行ったのよ」
なるほど、確かに買い物は必要だな。
「何だ、そうか。ま、何かあったかと思ったよ」
「あと、ユズカちゃんに、赤ちゃん用品も色々お願いしたのよ。ついでに夫婦でたまには羽を伸ばして来なさいって」
おお、それは大切な事かもしれない! 初めての子育てでストレスも溜まってるだろうしな。
「それと、コルネリアとユリアーネも、ずっとここに閉じ込めておくのも可哀そうだから、一緒に行かせたのよ」
コルネちゃんとユリアちゃんも、一緒にに遊びに行かせたと。
って事は、ナディア達は護衛の為に付いて行ったって所か。
「それで、ちょっとトールちゃんに聞きたいんだけど…」
俺が皆の事情を聴いて、ふむふむと頷いていると、母さんが何か言い辛そうに声を掛けて来た。
「ん、どうしたん?」
「それがねぇ…エドワードの事なんだけど…」
エド君がどうした? まさか等価交換だ! とか言って、錬金術でも使ったわけじゃないだろう?
「この子の右手を見て頂戴」
そう言ってエド君が眠るベビーベッドへと俺を誘う。
「右手?」
何の話だろうかと、俺が近づいてエド君を覗き込むと…、
「え、え…?」
その後に、『ええええええええーー!』っと叫びそうになるのを必死で堪えた。
「いつの間にか握っていたのだけれど…これ、何だと思う?」
一緒に覗き込んだ母さんが不思議そうに首を傾げているが、俺はそれどころじゃなかった。
エド君が握っていた物、それはどっからどう見ても、俺が転生の特典? で貰った、ガチャ玉そのものだったからだ。
いや、違う! これは、パンゲア大陸の環境を一変させた、懐かしの【環境改良かえる君】じゃないか!
虹色に輝く球輝くその球体を凝視していた俺の耳には、、母さんの声などついぞ入って来なかった。
『ふんふんふ~ん♪』
真っ白な世界の中で、素の部屋よりも白く輝く何かが、真っ白な卓袱台の前に座って、ご機嫌に鼻歌を歌っていた。
『お前、偉くご機嫌だな…』
同じ部屋に居たのだろう。
鼻歌を歌うご機嫌な誰かに声を掛けた、これまた真っ白な何か。
『ああ、そりゃそうさ! 何たって、第2,243,287次元の実験星に、新しい玩具を送り込んだんだからね』
ご機嫌に卓袱台に置かれたお茶を啜っていた、真っ白く輝く何かの言葉に驚いたもう片方の何かは、
『第2,243,287次元の実験星って…お前、まさか…』
『ふっふ~ん! そうさ、君の一部だった例の彼…、あれ? 彼の一部が君だったっけ? まあ、どっちでもいいけど』
『いいわけがあるか! 彼は厳選した血統だぞ? それ以外の者に魂のエネルギーを送り込んだりしたら、拒絶反応が…』
『心配性だなあ、君は。大丈夫、僕だってその辺は考えてるよ。ちゃんと彼の血を引く子供に僕の一部を送り込んだのさ!』
卓袱台にあったお煎餅を齧りながら、白い何かが言う。
『そ、そうか…。いや、そうじゃ無くて、お前も俺の一部…俺がお前の一部だっけ? どっちでもいいが、実験星の彼も同位体なんだぞ! その子供にかよ!?』
もう一方は大分焦っている様子。
『そんな事は重々承知だよ。そのうえで、不確定要素を送り込んだのさ』
『不確定要素? お前の一部だろ? っと言う事は、俺の一部でも彼の一部でもあるんだぞ? 今度はその子供を玩具にするのか!?』
段々と話の内容がややこしくなって来た。
『ああ、その点は大丈夫。本当に現地で生まれた彼の子供の赤ん坊に入れたから。それに、一部を除いて、ほとんどの記憶を抹消したから、赤ん坊の脳みそは新品同然。何の問題も無し!』
『新品って…。まあ、それは良いけど、一部ってのが非常に気になるんだが…』
『まぁ、細かい事は気にするな。ハゲるぞ?』
『やかましーわ! それならお前もハゲるはずだろうが!』
どこかの遠い時空の空の下では、何かと何かが意味深な事を言い合っていたが、それはまだ誰にも知られていない。
ただ、どうにも話の端々から、彼等が魂のエネルギーを注入したのは、トールヴァルドの子供と言っている様にしか聞こえないが、実際は弟なのだが。
何か、彼等はとても重大な勘違いをしている様な気がするのだが…。
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