1,025 / 1,466
その頃、王城では…
しおりを挟む
「はっ! 今、トールさまの幼女趣味が爆発した気がしましたわ!」
ここは王城の一画であり、元はメリルの私室であった部屋。
そこに設えられているベッドは、さすがは王族の寝室に置かれているだけあって、とても大きい物だった。
少しだけ早い晩餐なのは、国王陛下とその妃達、そしてアルテアン侯爵夫妻がのんびりと酒と歓談を愉しむためであった。
そうなると、残るのはコルネリアとユリアーネの義姉妹3人。
なので、メリルの元私室にて、仲良くパジャマパーティを開催しようとしていた。
もうすぐ母となるメリルと、もうそろそろ周囲が婚約話を大量に持って来そうなコルネリアと、お菓子に夢中なユリアーネ。
先日まで、アルテアン領のトールの邸で一緒に過ごしてはいたが、遠く離れたこの地での3人だけでのお泊りは初めての事。
ベッドの上で、メリルと楽しそうにお話をするコルネリアは、時にメリルのお腹に手をやり、時に耳を当てたりしていた。
いくらなんでも、妊娠初期に胎児がそんなに動くわけも無い事は、自分の母の妊娠でよく知ってはいたのだが、どうしても手や耳をあててみたくなるコルネリアであった。
いつか自分も誰かに嫁いで子を身籠るかも…と、妄想いっぱいのコルネリア。
ユリアーネは、王家専属の侍女が持って来てくれた甘いお菓子に夢中だが、だんだんと瞼が重くなる時間が近づいていた。
ソファーでお菓子を両手にもったまま、たまにこっくりこっくりと船をこぎ始めたユリアーネを、姉と義姉は微笑ましく見ていた。
そんな時、事件は起こったのである。
ベッドの上で女の子独特の正座の状態からお尻をぺたんとマットレスに落す、いわゆる女の子座りのコルネリアと、お腹を庇ってなのか横座りでおしゃべりしていたメリルであるが、急に黙り込んだかと思うと、急に天井を見上げた。
そして、何を感じたのか、冒頭の様に叫んだのである。
「この感覚…間違いありませんわ! トールさまに新たな幼女の影が!」
いきなり何を言い出すんだと、コルネリアはメリルを胡散臭い人を見る様な目で見つめた。
「コルネさん! きっと今頃、お邸でトールさまが幼気な幼女に手を出そうとしてますわ!」
ストレートに言えば、この人はいきなり何を言い出すんだろう? という目で見つめるコルネリア。
突然の叫びで、ビクッ! となったユリアーネであったが、叫んだのがメリルであると確認したら、また船をこぎ始めた。
「いきなりどうしたんですか、お義姉さま?」
「私の直感に、ぴーーーん! と来たのですわ!」
いや、どんな直感だよ…と、思わずツッコミを入れそうになったコルネリア。
「いえ、それは無いでしょう」
「何でそう言い切れるのですか、コルネさん! あの、トールさまなのですよ!?」
…メリルの言いたい事も分からないでもないが、そこは実の兄であるトールヴァルドに対して、いささか失礼ではないだろうか?
それよりも、メリルはその実の兄の妻なのである。いや、妻達の筆頭、第1夫人なのである。
子まで身籠っているというのに、何を言い出すんだろうか、この義姉は。
「いえ、落ち着いてください。絶対に大丈夫だと思いますよ?」
「え…絶対? その根拠は?」
コルネリア思った…ああ、我が兄は、そっちの方面では全然信用されてないんだな…と。
「根拠も何も…今はお邸にはお兄さましか男は残っておりません」
「ええ、そうですわ…ね?」
「つまり、あの邸には、お義姉さまが4人、ナディア達が4人いるんです」
いまいち理解できてないメリルに、
「あの方々が、お兄さまが幼女に手を付けようとしいる事に気付きもしないなど、あり得ますか?」
コルネリアはとても丁寧に説明を…しようとして、止めた。
「確かに!」
ここまで言えば、メリルは理解できるだろうと考えて。
「お兄さまが、女性関係で自由に振る舞えるわけが有りませんし、そんな度胸すらないと思います!」
「なるほど!」
コルネリアも、大概失礼である。
「それに、何かある様でしたら、ドワーフメイド衆から通信が入ってきます」
あんな兄を持っているからなのか、そつの無いコルネリアであった。
「まあ! さすがコルネさん、如才ないですわね!」
「お褒め頂き、ありがとうございます」
邸ではコルネリアの言う通り、残った女性陣に見張られ連行されたトールヴァルドが、人族の幼女にしか見えない急に気を失い倒れたミヤの様子を見に寝室へと向かっていた。
無論、幼女趣味など絶対に爆発せぬ様、厳重な監視体制を敷かれた中で。
船を盛大にこき始めたユリアーネをベッドへ引きずり込み、その左右で横になった2人。
もうトールの事など忘れて、王城中が静まり返る深夜まで、メリルとコルネリアはお喋りを楽しんだのであった。
ここは王城の一画であり、元はメリルの私室であった部屋。
そこに設えられているベッドは、さすがは王族の寝室に置かれているだけあって、とても大きい物だった。
少しだけ早い晩餐なのは、国王陛下とその妃達、そしてアルテアン侯爵夫妻がのんびりと酒と歓談を愉しむためであった。
そうなると、残るのはコルネリアとユリアーネの義姉妹3人。
なので、メリルの元私室にて、仲良くパジャマパーティを開催しようとしていた。
もうすぐ母となるメリルと、もうそろそろ周囲が婚約話を大量に持って来そうなコルネリアと、お菓子に夢中なユリアーネ。
先日まで、アルテアン領のトールの邸で一緒に過ごしてはいたが、遠く離れたこの地での3人だけでのお泊りは初めての事。
ベッドの上で、メリルと楽しそうにお話をするコルネリアは、時にメリルのお腹に手をやり、時に耳を当てたりしていた。
いくらなんでも、妊娠初期に胎児がそんなに動くわけも無い事は、自分の母の妊娠でよく知ってはいたのだが、どうしても手や耳をあててみたくなるコルネリアであった。
いつか自分も誰かに嫁いで子を身籠るかも…と、妄想いっぱいのコルネリア。
ユリアーネは、王家専属の侍女が持って来てくれた甘いお菓子に夢中だが、だんだんと瞼が重くなる時間が近づいていた。
ソファーでお菓子を両手にもったまま、たまにこっくりこっくりと船をこぎ始めたユリアーネを、姉と義姉は微笑ましく見ていた。
そんな時、事件は起こったのである。
ベッドの上で女の子独特の正座の状態からお尻をぺたんとマットレスに落す、いわゆる女の子座りのコルネリアと、お腹を庇ってなのか横座りでおしゃべりしていたメリルであるが、急に黙り込んだかと思うと、急に天井を見上げた。
そして、何を感じたのか、冒頭の様に叫んだのである。
「この感覚…間違いありませんわ! トールさまに新たな幼女の影が!」
いきなり何を言い出すんだと、コルネリアはメリルを胡散臭い人を見る様な目で見つめた。
「コルネさん! きっと今頃、お邸でトールさまが幼気な幼女に手を出そうとしてますわ!」
ストレートに言えば、この人はいきなり何を言い出すんだろう? という目で見つめるコルネリア。
突然の叫びで、ビクッ! となったユリアーネであったが、叫んだのがメリルであると確認したら、また船をこぎ始めた。
「いきなりどうしたんですか、お義姉さま?」
「私の直感に、ぴーーーん! と来たのですわ!」
いや、どんな直感だよ…と、思わずツッコミを入れそうになったコルネリア。
「いえ、それは無いでしょう」
「何でそう言い切れるのですか、コルネさん! あの、トールさまなのですよ!?」
…メリルの言いたい事も分からないでもないが、そこは実の兄であるトールヴァルドに対して、いささか失礼ではないだろうか?
それよりも、メリルはその実の兄の妻なのである。いや、妻達の筆頭、第1夫人なのである。
子まで身籠っているというのに、何を言い出すんだろうか、この義姉は。
「いえ、落ち着いてください。絶対に大丈夫だと思いますよ?」
「え…絶対? その根拠は?」
コルネリア思った…ああ、我が兄は、そっちの方面では全然信用されてないんだな…と。
「根拠も何も…今はお邸にはお兄さましか男は残っておりません」
「ええ、そうですわ…ね?」
「つまり、あの邸には、お義姉さまが4人、ナディア達が4人いるんです」
いまいち理解できてないメリルに、
「あの方々が、お兄さまが幼女に手を付けようとしいる事に気付きもしないなど、あり得ますか?」
コルネリアはとても丁寧に説明を…しようとして、止めた。
「確かに!」
ここまで言えば、メリルは理解できるだろうと考えて。
「お兄さまが、女性関係で自由に振る舞えるわけが有りませんし、そんな度胸すらないと思います!」
「なるほど!」
コルネリアも、大概失礼である。
「それに、何かある様でしたら、ドワーフメイド衆から通信が入ってきます」
あんな兄を持っているからなのか、そつの無いコルネリアであった。
「まあ! さすがコルネさん、如才ないですわね!」
「お褒め頂き、ありがとうございます」
邸ではコルネリアの言う通り、残った女性陣に見張られ連行されたトールヴァルドが、人族の幼女にしか見えない急に気を失い倒れたミヤの様子を見に寝室へと向かっていた。
無論、幼女趣味など絶対に爆発せぬ様、厳重な監視体制を敷かれた中で。
船を盛大にこき始めたユリアーネをベッドへ引きずり込み、その左右で横になった2人。
もうトールの事など忘れて、王城中が静まり返る深夜まで、メリルとコルネリアはお喋りを楽しんだのであった。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる