システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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涙出てきたかも…

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『おかしい…この感覚は? まさか、彼が覚醒したのか? いや、そんな兆候は無かったはずだ…。覚醒に到る道は都度潰していたのだから、そんなはずはない…。だが、この感覚は…? そうか、覚醒では無く、他の同位体が騒ぎ始めている? という事は、覚醒の時が近いと言う事なのか。だが、まだ早い…。今、覚醒したら…あいつの思う壺だぞ? 彼の周囲が彼の変化に気付く前に手を打たなければ。必ず助けてやるからな…誰も信じるんじゃないぞ…俺…』

 
 ちくそう! 
 結局誰もドワーフメイドさんに関しては、俺に何も教えてくれなかったよ!
 さっきは確かに5人居たんだ、間違いなく。
 少なくとも、誰かと誰かが入れ替わってるはずなんだ。
 あ、いや…待てよ?
 この邸に居るドワーフさんって、本当に5人だけなんだろうか?
 もしかして、もっといっぱい居て、俺の目の前に出てくるのが4人だけ…何て事はないよね?
 こそっと入れ替わって、俺の反応を見て楽しんでるとか…ないよね?
 くっそ! 転生の時に鑑定とかサーチとかのスキルくれてたら、ちゃんと判ったかもしれないのに!
 邸を移動すればどこかで必ず見かけるドワーフメイドさんは、実は何にも居るかもって考えたら、めちゃめちゃ気になる!
 確かに普段は1人でお仕事している姿しか見かけなかったから、そんなに気にした事も無かった。
 食事時には4人揃って食卓に着いてたから、メイドさんは4人だけだと思い込んでた。
 だけど、その時に他の部屋とか見に行った事なんて無い。もしも、その時は他の部屋に隠れご飯を食べてたりしたら?
 部屋の片隅とか物陰とかに、もしかしてドワーフさんが潜んでたり…いや、あの黒い弾丸のGじゃなから、それはないか。
 って事は、俺の行動とかを読んで、上手くかち合わない様にしてたとか?
 むぅ…考えれば考えるほど、謎が深まる…。

「トール様、何をそんなに変顔をして妄想しているんですか?」
 う、うっさいわ、マチルダ!
「…変顔…ぷっ」
 ミレーラなで笑うな!
「まあ、我が夫の表情筋が、しっかり生きている様で安心したぞ」
 イネスさん、どこで表情筋なんて言葉を覚えたんですか? この世界にはそんな言葉ないでしょう?
「ま、まあ…お三方とも、遅くなりましたがお食事にしましょう」
 ユズキが場を収めようとしてか、そう言って手を軽くたたくと、ドワーフさん達が食事を持って食堂に現れた。
 うん、間違いなくここに居るドワーフさんは4人だ…。
 だが、樹ッとほかにも潜んでいるに違いない!
 配膳が始まると同時に、俺は廊下へ向かってダッシュ! 
 扉を全力で、バーーーン! と開け放ち、俺は廊下へ飛び出した。 
 …廊下には誰もおりませんでした…。
 いや、まだだ! 厨房かもしれん!
 ダッシュで食堂の隣の厨房へ向かい、全力で扉をバーーーン! と開け放ち…誰も居ない…。
 洗濯場…誰も居ない…。
 あっれ~? 俺の思い過ごしだろうか?

 俺が食堂に戻ると、全員が呆れた顔で俺を迎えてくれた。
「まったく…何をしているんですか…」
 皆を代表してなのか、マチルダお姉さんが俺にお小言。
「ごめんちゃい…」
 素直に謝っておこう。食事時にバタバタしたら埃がたつって、よく怒られたなあ。
「料理が冷める前に頂きましょう、伯爵様」
 そうですね、ユズキ君。
 でも、君達は知ってるんだよね、ドワーフさんの秘密を…。
 俺も知りたいよ…ドワーフさんの事。
 あ、何かちょびっと涙出てきたかも…。
「しょうがないですねぇ。では、後で1つだけいい事を教えてあげしょう」
 マチルダお姉さんが、やれやれと言いながらそんな事を言い出した。
「いい事?」
 エッチ関係じゃないよな。
 今言い出したって事は…ドワーフさんの事かな? 
「ええ、いい事です。今は食事を楽しみましょう」
 おぉ? 何だか涙も引っ込んだぞ! 
 よっし、何かやる気出て来たーーーーー!
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