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例の土地
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「何か良いものくれるの?」
「まぁ、それは後程じゃ。楽しみに待っとれ」
ふむ…ボーディがそう言うのであれば、楽しみにしておくとしよう。
「それでは、ひよこ達以外のあの地の報告ですが…」
モフリーナが真面目な顔でそう切り出した。
「あの地…ああ、例の魔法陣とかの事か?」
「ええ、その通りです。とは言っても、ひよこ達の証言による物なのですが…」
何故か申し訳なさそうな顔で、かなり言い難そうに言葉を紡ぐモフリーナ。
別にどんな形であれ、調査が完了したらそれでいいと思うんだけどなぁ。
「実はですね…時系列的に順序が逆になるかもしれませんが、少し私の話を聞いてください。良いですよね、ボーディ様」
「ああ、妾は構わぬぞ。モフレンダは…寝取るか…」
モフリーナの太ももの感触が気持ちいいのか、ボーディはそこに頭を乗せてすやすやと寝続けるモフレンダを呆れ顔で見ていた。
「それでは、あの地の事をお話し致します」
モフリーナの話は、俺の予想の範囲内の事だった。
まあ、胸糞悪い予想が当たったのと、思いもしなかった事実ではあったが。
まず、胸糞悪い予想の内容だ。
やはり、あの地には俺が生まれる前に、人族の国があったそうだ。
場所は、丁度巨大な湖があった場所。
その国の事情は分からないが、別に他国を侵略する様な国では無く、人々はその地で静かに暮らしていたそうだ。
ある日の事、そこを羽を持ち全身をうろこで覆われ、そして魔法的な物なのか物理的な物なのかは不明ではあるが、圧倒的な武力を備えた奴らが襲ってきたという。
ただ静かに暮らす人々が、強大な見た事も無い様な武力を誇る者達の襲撃に耐える事など出来るはずもなく、あっと言う間に攻め滅ぼされそうになった。
それをどうやってかは知らないが、無数のひよこ達が察知して、数多の次元から集結。
彼等は羽が生えた危険な敵から逃げ隠れていた人々を庇いつつ戦い、数少ない生き残りを避難させた。
羽付きの敵をその地から逃がさぬ様、無数のひよこが押しとどめつつ、撃退の準備を進める。
ひよこ達は襲撃された国を取り囲み、巨大な魔法を発動した。
人族だけを、遠くの地へと運び、避難させて。
その巨大な魔法陣は、王国全てを飲み込むほどの巨大な球形の転送魔法陣であり、中に閉じ込められた羽付きの敵は、全て遠くの地に飛ばされた。
それは、宇宙の果てにあり、燃え盛る巨大な恒星のど真ん中だという。
だが、一部の羽付きの敵は逃げた。
それが昔にグーダイド王国を襲った敵であり、俺の祖父母を亡き者にし、若き日の父さんが母さんにかたき討ちを誓い、そして敵の頭目と思しき羽根つきを倒した奴等だったそうだ。
しかし、敵の亡骸をそのままにしてしまうと、誰かが奴らの使っていた武器を解析し、複製する可能性もあったため、全ての敵を跡形もなくどこかへと持ち去ったうえ、人々の記憶も一部改竄したという。
記憶の一部だけしか改竄しなかったわけは簡単で、改竄しすぎると重篤な後遺症を人々に与える可能性があったから。
だから、敵の詳細な姿を記憶できない様にだけしたそうだ。
そして、再度の襲来があった時の為、転送魔法陣を予め敷いて隠していたらしい。
遠く離れた地へと非難させた人々と、魔法陣を隠す様に、滅びた国を含む一帯の全てを隠蔽の魔法をかけて。
とは言え、そんな巨大な隠蔽の魔法なので、完璧に軌道を維持し続けるにはエネルギー消費も激しい。
なので、何も事情を知らない者が来た時には魔法が発動し、例の襲撃や敵に関して調査しようとする者にだけ隠蔽を解除し、明らかに怪しい魔法陣を調べ様とすると魔法陣が起動して転送する仕様らしい。
そこまで聞いて、何となく過去にナディア達がこの大陸の地図を作った時に、湖や魔法陣、生き残った人々の暮らす地が見つけられなかったのかが分かった。
最初は、単に地図を作るためだけにあの地へと向かったナディア達は、何も事情を知らなかったから見る事も知る事も出来なかったのだろう。
今回は、あの地からやって来た敵に関して調査に向かった為、それらを知る事になり、魔法陣が起動した…あれ?
「あれ? 何でナディア達は海に転送されたんだ? いや、恒星に放り込まれるよりもいいんだけど、どうして海なんだ?」
「ああ、それは簡単です。ナディアさん達は、貴方のエネルギーを元に肉体を構成され、記憶の一部を共有してます。それを魔法陣を通して知覚したひよこ達が怪しんだのと、もしかすると貴方…つまり、大河芳樹という人物の転生身体と深い関係にあるかもと思い、この星の中での転送という中途半端な転送を選択したそうです」
モフリーナは簡単にそう言うけど…、
「いや、かなり危険だったんだけど…。体内のエネルギーをかなり消費して生死の境を彷徨ったんだけど…」
もう少し遅れたら、マジでヤバかったんだぞ?
「まあ、彼等にとって敵なのかどうか判断が出来なかったので、仕方が無いのでしょう。迷っている内に襲撃されれば彼等も危険です。それに、エネルギーを失ったのは、転送にかかるエネルギーを全部彼等が負担するよりも、転送する物から奪った方が効率がいいからでしょう。私達が調査の第一陣として送り込んだモンスター達は、ナディア様達とは逆の海に飛ばされた様でした」
様でしたって…もしかして助けに行かなかったって事? 見殺しなのかな?
ちょっと怖いよ、モフリーナさん…。
「そもそも、ひよこ達は最初の襲撃の時点で、貴方が死んでいる可能性が高いと考えていたそうです。その時点で貴方がこの世に生を受けていると思ってたのでしょうね。局長の念入りな情報秘匿のため、貴方という器を造り出すための襲撃だとは彼等は知らなかった様ですし。なので、ナディア様達は…そのう…貴方がこの世界に残した遺産的な物であり、長い時を経て敵討ちに来たとか考えていたとか…」
な、なるほど…俺が死んでるとか思ったわけね。
ちょっと俺的には、どうコメントしていいか分からないけど…。
「まぁ、それは後程じゃ。楽しみに待っとれ」
ふむ…ボーディがそう言うのであれば、楽しみにしておくとしよう。
「それでは、ひよこ達以外のあの地の報告ですが…」
モフリーナが真面目な顔でそう切り出した。
「あの地…ああ、例の魔法陣とかの事か?」
「ええ、その通りです。とは言っても、ひよこ達の証言による物なのですが…」
何故か申し訳なさそうな顔で、かなり言い難そうに言葉を紡ぐモフリーナ。
別にどんな形であれ、調査が完了したらそれでいいと思うんだけどなぁ。
「実はですね…時系列的に順序が逆になるかもしれませんが、少し私の話を聞いてください。良いですよね、ボーディ様」
「ああ、妾は構わぬぞ。モフレンダは…寝取るか…」
モフリーナの太ももの感触が気持ちいいのか、ボーディはそこに頭を乗せてすやすやと寝続けるモフレンダを呆れ顔で見ていた。
「それでは、あの地の事をお話し致します」
モフリーナの話は、俺の予想の範囲内の事だった。
まあ、胸糞悪い予想が当たったのと、思いもしなかった事実ではあったが。
まず、胸糞悪い予想の内容だ。
やはり、あの地には俺が生まれる前に、人族の国があったそうだ。
場所は、丁度巨大な湖があった場所。
その国の事情は分からないが、別に他国を侵略する様な国では無く、人々はその地で静かに暮らしていたそうだ。
ある日の事、そこを羽を持ち全身をうろこで覆われ、そして魔法的な物なのか物理的な物なのかは不明ではあるが、圧倒的な武力を備えた奴らが襲ってきたという。
ただ静かに暮らす人々が、強大な見た事も無い様な武力を誇る者達の襲撃に耐える事など出来るはずもなく、あっと言う間に攻め滅ぼされそうになった。
それをどうやってかは知らないが、無数のひよこ達が察知して、数多の次元から集結。
彼等は羽が生えた危険な敵から逃げ隠れていた人々を庇いつつ戦い、数少ない生き残りを避難させた。
羽付きの敵をその地から逃がさぬ様、無数のひよこが押しとどめつつ、撃退の準備を進める。
ひよこ達は襲撃された国を取り囲み、巨大な魔法を発動した。
人族だけを、遠くの地へと運び、避難させて。
その巨大な魔法陣は、王国全てを飲み込むほどの巨大な球形の転送魔法陣であり、中に閉じ込められた羽付きの敵は、全て遠くの地に飛ばされた。
それは、宇宙の果てにあり、燃え盛る巨大な恒星のど真ん中だという。
だが、一部の羽付きの敵は逃げた。
それが昔にグーダイド王国を襲った敵であり、俺の祖父母を亡き者にし、若き日の父さんが母さんにかたき討ちを誓い、そして敵の頭目と思しき羽根つきを倒した奴等だったそうだ。
しかし、敵の亡骸をそのままにしてしまうと、誰かが奴らの使っていた武器を解析し、複製する可能性もあったため、全ての敵を跡形もなくどこかへと持ち去ったうえ、人々の記憶も一部改竄したという。
記憶の一部だけしか改竄しなかったわけは簡単で、改竄しすぎると重篤な後遺症を人々に与える可能性があったから。
だから、敵の詳細な姿を記憶できない様にだけしたそうだ。
そして、再度の襲来があった時の為、転送魔法陣を予め敷いて隠していたらしい。
遠く離れた地へと非難させた人々と、魔法陣を隠す様に、滅びた国を含む一帯の全てを隠蔽の魔法をかけて。
とは言え、そんな巨大な隠蔽の魔法なので、完璧に軌道を維持し続けるにはエネルギー消費も激しい。
なので、何も事情を知らない者が来た時には魔法が発動し、例の襲撃や敵に関して調査しようとする者にだけ隠蔽を解除し、明らかに怪しい魔法陣を調べ様とすると魔法陣が起動して転送する仕様らしい。
そこまで聞いて、何となく過去にナディア達がこの大陸の地図を作った時に、湖や魔法陣、生き残った人々の暮らす地が見つけられなかったのかが分かった。
最初は、単に地図を作るためだけにあの地へと向かったナディア達は、何も事情を知らなかったから見る事も知る事も出来なかったのだろう。
今回は、あの地からやって来た敵に関して調査に向かった為、それらを知る事になり、魔法陣が起動した…あれ?
「あれ? 何でナディア達は海に転送されたんだ? いや、恒星に放り込まれるよりもいいんだけど、どうして海なんだ?」
「ああ、それは簡単です。ナディアさん達は、貴方のエネルギーを元に肉体を構成され、記憶の一部を共有してます。それを魔法陣を通して知覚したひよこ達が怪しんだのと、もしかすると貴方…つまり、大河芳樹という人物の転生身体と深い関係にあるかもと思い、この星の中での転送という中途半端な転送を選択したそうです」
モフリーナは簡単にそう言うけど…、
「いや、かなり危険だったんだけど…。体内のエネルギーをかなり消費して生死の境を彷徨ったんだけど…」
もう少し遅れたら、マジでヤバかったんだぞ?
「まあ、彼等にとって敵なのかどうか判断が出来なかったので、仕方が無いのでしょう。迷っている内に襲撃されれば彼等も危険です。それに、エネルギーを失ったのは、転送にかかるエネルギーを全部彼等が負担するよりも、転送する物から奪った方が効率がいいからでしょう。私達が調査の第一陣として送り込んだモンスター達は、ナディア様達とは逆の海に飛ばされた様でした」
様でしたって…もしかして助けに行かなかったって事? 見殺しなのかな?
ちょっと怖いよ、モフリーナさん…。
「そもそも、ひよこ達は最初の襲撃の時点で、貴方が死んでいる可能性が高いと考えていたそうです。その時点で貴方がこの世に生を受けていると思ってたのでしょうね。局長の念入りな情報秘匿のため、貴方という器を造り出すための襲撃だとは彼等は知らなかった様ですし。なので、ナディア様達は…そのう…貴方がこの世界に残した遺産的な物であり、長い時を経て敵討ちに来たとか考えていたとか…」
な、なるほど…俺が死んでるとか思ったわけね。
ちょっと俺的には、どうコメントしていいか分からないけど…。
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