システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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理解出来ない

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 この世界は、元々❝無❞の空間だった。
 生物は元より、時間も光も闇も、そして変化すら無い‶無”の空間だった。
 そんな❝無❞の空間に、あるとき全宇宙・全次元・全時間軸の狭間を漂っていた❝何❞かが流れ着いた。
 その❝何❞かは、その❝無❞の空間にどれ程の時間、留まっていたのだろうか。
 時間という概念も無いその空間では、それすら計測出来なかった。
 それは、何十年? 何百年? 何千年? それとも何億、何十億年だったのだろうか。
 ある時、ただこの❝無❞の空間を観察していたそのその❝何❞かが、戯れなのか変化を求めたのかは分からないが、自らの持つ別の次元の別の空間から引き寄せたエネルギーを燃やし、ほんの小さな明かりを灯した。
 その❝何❞かにとっては、ほんの小さな明かりのつもりだったのだろう。
 だが、その何も存在しえない❝無❞の空間は、その小さな変化に歓喜し、そして…その❝何❞かが予想だに出来ない状況が起きた。
 その空間が爆ぜたのである。
 爆発的に広がる、元々❝無❞であった空間は、その❝何❞かが灯した明かりを中心にして、球状に急速な広がりを見せた。
 すでにその時には、❝無❞の空間は、❝有❞の空間へと変化していた。
 無から有への変化を見届けたその❝何❞かは、この空間の観察をじっと続けた。
 実は、爆発に巻き込まれたその❝何❞かの一部がちぎれ飛び、回収が出来なかったために観察しか出来なかったのもあるが。
 有の空間の観察に飽きたのかどうかは誰にも分からないが、やがてその❝何❞かは、回復の為もあるではあろうが、深い深い眠りについた。
 その❝何❞かが明かりを灯したその場所で、ただただ静かに深く眠りについた。
 やがて、その❝何❞かが観察するに値するだけの変化がこの空間に起きるその時まで。

 ❝何❞かによって、無から有へと変化したその空間は、この次元の宇宙となった。

 ボーディとモフリーナの話を簡潔にまとめると、こんな感じらしい。
 簡潔になってない気がしないでもないが、これ以上まとめると、全然意味が分からなくなるから仕方ない。
 いや、何となく意味は分かりはするけど、全然理解出来ないんですけど…。
 ボーディが言うには、この宇宙を創り出した❝何❞かが、俺の本体だってんだかから、理解しろってのが無理な話だろう。
 俺がビッグバンを引き起こした張本人って、規模がデカすぎるんだよ!
 まあ、それはそれとして…、爆発によって、その❝何❞かってのからちぎれ飛んだ一部が、宇宙開闢と共に急速に広がる宇宙に飛び散り、やがて解放魂魄統轄庁や輪廻転生管理局へとなったらしい。
 ん? そう考えると、解放魂魄統轄庁とか輪廻転生管理局って、俺の一部なの?
 
「ここまでは理解したかや?」
 真剣な顔で俺にそう語りかけるボーディ。
 だけど、その横…モフリーナの太ももに頭を乗せて居眠りしてるモフレンダが気になって仕方ないんですが…。
 俺の視線に気づいたボーディが、ちらりとそちらを見たが、
「アレは気にするな…」
 ひどく疲れた顔でそう言った。
「さて、ここまで理解してくれたと仮定してじゃ…お待ちかねの、お主とひよこの関係にすすもうぞ」
 やっとかよ…。
「❝何❞の一部が、我々解放魂魄統轄庁や輪廻転生管理局へとなったのは説明したが、では千切れたそ奴の大半は何処へ行ったと思う?」
 えっと…どこ行ったんだ?
「先に答えを言ってしまうと、それぞれがどこかの星で発生した知的生命体達に紛れて、普通に生活しておった様なのじゃ」
 なのじゃ? 仮定…じゃないな、推測か?
「まあ、完全にそれが正しいかは分からぬ。じゃが、例のひよこ達からの情報なので、間違いないのであろうのぉ…」
「ひよこからの情報は信用できるって事か?」
「ああ…何せ、彼奴等こそが、そのちぎれた一部なのじゃからな」
「!!」
「そうじゃ。つまりは、お主と元は同じなのじゃ」
「な、何でそうだと言い切れるんだよ?」
 ひよこの主張だけだろうーが!
「ああ、それはな…全員がお主の前世…つまりは、大河芳樹としての記憶と全く同じ物を持っていたからじゃ」
「……えっ?」
「先ほど、お主にした質問で確信できたのじゃ。間違いなく、お主が❝何❞かじゃ」
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