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次男の名は
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「では、父さん、お願いいたします」
わー! ぱちぱちぱちぱち! どんどんぱふぱふ!
いや、そんな音はしてないけど、気分だよ、気分!
母さんとユズカの出産後しばらく…具体的には5日目の昼食後のティータイム。
赤ちゃんが生まれたこの数日は、結構大変だった。
ユズユズ夫婦は、この世界的に見たら平民の夫婦であるので、そうでもなかったのだが、侯爵夫妻の間に子供が産まれたんだから、そりゃ大勢の人がやって来た。
父さんの領地からは、代官をしてくれている人や、各町の代表やら、現在駐留している騎士さんや兵士さん達の代表さん、果ては父さんの邸のメイドまでが挨拶に。
無論、俺の領地の温泉街からも数人が代表として挨拶に来てくれた。
これは、侯爵家の新たなる家族の誕生にプラスして、俺の妻が2人も同時に妊娠が発覚したからでもある。
さらに保護地区からは、魔族、ドワーフ族、エルフ族、人魚族のそれぞれの代表もやって来て、もうてんやわんやだった。
挨拶と祝いを述べに来たからと言って、誰でも彼でも母さんや赤ちゃんに会わせるわけではない。
父さんの邸から来たメイドさんと、領都の代表さん、そして騎士さんや兵士さん達の代表だけが、母さんと赤ちゃんに短時間だけ直接会うことを許された。
父さんの会わせて良い基準がいまいち分からない…。
まあ、3日目の日暮れ時に、静かに挨拶に来たダンジョンマスターの3人は、無条件で母さんとユズカ、そしてそれぞれの赤ちゃんと対面したのだが、本当にどんな基準で許可出してるんだろうなあ…父さんは。
元々、ユズキとユズカ夫婦は転移者であって、この世界に特に親しい人も居ないのだが、この世界にやって来た時にお世話になった人には、ちゃんと無事の出産を伝えてあるし、王都の父さんの邸の皆は、元々2人の同僚だった事でもあるし、しっかりと無事の出産を伝えてある。
さて、それでは本日の本題である。
ここは、俺の邸の食堂。
そして、お誕生日席に座るは、この俺の父親にして、グーダイド王国の侯爵様である、ヴァルナル・デ・アルテアンその人である。
横には、まだ産まれえて間もない可愛らしい赤ちゃんを抱いた母さんが席に着く。
もちろん、ユズユズ夫妻も赤ちゃんを伴ってこの食堂にいる。
ってか、この邸の全員が集合し、家族以外は用意された椅子に座って父さんの発表を待っている。何時もはどこに居るのかも良くわからないサラとリリアさんと、ブレンダーにノワール、そしてクイーンに蜂達も、しっかりと出席してる。
「ただ今ご紹介に与りました、グーダイド王国より侯爵位を賜っておりますヴァルナル・デ・アルテアンと申します。本日はよろしくお願いいたします」
いや、父さん硬いよ! ってか、この場の誰もが知ってる事だよ!
「え~、先日我が妻であるウルリーカの出産におきましては、皆様の多大なるご助力をいただき、感謝の念に堪えません。皆様のおかげで無事出産を終える事が…」
「長いわ! 父さん、前置き長すぎるわ! さっさと赤ちゃんの名前を発表しろよ!」
思わず突っ込んだよ。
お気づきの方も大勢居られるかもしれませんが、本日の本題はお名前発表である。
「え~~~~~~?」
「え~~…じゃねえよ! 全然可愛く無いわ!」
こんなおっさんが拗ねたところで、可愛くなんかあるか!
「みんなも待ってるんだから、さっさと発表しろって!」
「そ、そうか…まあ、仕方ないなあ。では、我が家の次男の名前を発表します! この名付けにあたって、私は愛する妻、そして愛する娘たちと相談し…」
まあ、そうだろうな…ぁ…んん??
「おいっ! 俺には相談なしかよ!」
「ふんっ! お前に相談なんかしたら、ゴンザレスとかガブリエルとかゴツそうな名前を推すに決まってる! だから相談なんかせんわ!」
ちょい待て! その名前は、元はといえばユリアちゃんが!?
あ、ユリアちゃん、ちょっと赤い顔で俯いてる…恥ずかしがってる?
そうか、ゴンザレスって名前は提案はしなかったのか…んで、俺なら言い出しそうだと父さんが決めつけたと。
当然だが、ゴンザレスを提案してたら却下されてただろうから、ユリアちゃんとしても、自分が考え付いたとは言えない雰囲気になってると…。
良いでしょう、可愛い妹の為なら、それぐらいの恥や汚名は進んで飲んで飲んで飲み込んで見せましょうとも!
「いいじゃないか、強そうで! まあ、けど今回は父さんに命名権を譲ろう」
「いや、譲るも何も、俺の子なんだが…」
うるさいわ! 俺の弟でもあるのだから、権利はあるのだ!
「あなた、トールちゃん…いい加減にしましょうね」
あ、母さんから氷点下の冷気が漂って…ちょっと、僕ちゃんちびりそう…。
「もう私が発表します。この子の名前は、エドワード」
あ、母さんしびれ切らした…。
「我が家の次男の名は、エドワード・デ・アルテアンよ」
食堂内は大喝采…でも、父さん唖然呆然。
まあ、晴れの大舞台だったのに、母さんに完全に主役を奪われちゃったもんね。
その気持ちは良くわかるよ、うん。
いらん口を挟んだ俺も悪かったよ、ごめんね。
でも、食堂内は大盛り上がり。
特に大喜びはコルネちゃんとユリアちゃん。
2人は母さんのところに駆け寄って、揃って何度もおめでとうって声を掛ていた。
もう、産まれてから何度も赤ちゃんに会ってるけど、やっぱ顔を見たいんだろう。
コルネちゃんにはユリアちゃんという妹がいるけれど、赤ちゃんの時期が無く、いきなり幼女で会ったから、やっぱ赤ちゃんは可愛いんだろうな。
ユリアちゃんに至っては、初めて見る赤ちゃんだもん。
ユズユズの所の赤ちゃんの所と、母さんが抱いている赤ちゃんの所を、毎日何往復もして顔を見に行ってる。
「おっぱいのんでた!」「ないちゃったー!」「ぷにぷにしてるよー!」「わらってたー!」「かわいいーーー!」「だっこしてきたよー!」
俺と顔を合わす度に、赤ちゃんのが何してるかとか報告してくれる。
嬉しいんだろうね、ユリアちゃん。
さて、俺の弟の名前は、エドワードに決まった。
良い名じゃないか。
愛称はやっぱ、エド君かなぁ。
どっかの錬金術師と被ってる気がするけど?
いや、英国の某王子様もエドワードだった気がするぞ?
待て待て待て、ソド〇鉄道の顔が付いた青い機関車もそんな名前じゃなかったか?
とはいえ、どうせここに居る人には分からないだろうから、別に構わないか。
あ、いや…ユズユズの二人とサラとリリアさんには分かるか?
もしかしたら、ナディア達にも分かっちゃうかもしれない…けど、まあ良いか。
何といっても、赤ちゃん命名のおめでたい席だ。
野暮なことを言うのは止めよう。
でも…本当に、ユリアちゃんのゴンザレスに決まらなくて良かったよ。
わー! ぱちぱちぱちぱち! どんどんぱふぱふ!
いや、そんな音はしてないけど、気分だよ、気分!
母さんとユズカの出産後しばらく…具体的には5日目の昼食後のティータイム。
赤ちゃんが生まれたこの数日は、結構大変だった。
ユズユズ夫婦は、この世界的に見たら平民の夫婦であるので、そうでもなかったのだが、侯爵夫妻の間に子供が産まれたんだから、そりゃ大勢の人がやって来た。
父さんの領地からは、代官をしてくれている人や、各町の代表やら、現在駐留している騎士さんや兵士さん達の代表さん、果ては父さんの邸のメイドまでが挨拶に。
無論、俺の領地の温泉街からも数人が代表として挨拶に来てくれた。
これは、侯爵家の新たなる家族の誕生にプラスして、俺の妻が2人も同時に妊娠が発覚したからでもある。
さらに保護地区からは、魔族、ドワーフ族、エルフ族、人魚族のそれぞれの代表もやって来て、もうてんやわんやだった。
挨拶と祝いを述べに来たからと言って、誰でも彼でも母さんや赤ちゃんに会わせるわけではない。
父さんの邸から来たメイドさんと、領都の代表さん、そして騎士さんや兵士さん達の代表だけが、母さんと赤ちゃんに短時間だけ直接会うことを許された。
父さんの会わせて良い基準がいまいち分からない…。
まあ、3日目の日暮れ時に、静かに挨拶に来たダンジョンマスターの3人は、無条件で母さんとユズカ、そしてそれぞれの赤ちゃんと対面したのだが、本当にどんな基準で許可出してるんだろうなあ…父さんは。
元々、ユズキとユズカ夫婦は転移者であって、この世界に特に親しい人も居ないのだが、この世界にやって来た時にお世話になった人には、ちゃんと無事の出産を伝えてあるし、王都の父さんの邸の皆は、元々2人の同僚だった事でもあるし、しっかりと無事の出産を伝えてある。
さて、それでは本日の本題である。
ここは、俺の邸の食堂。
そして、お誕生日席に座るは、この俺の父親にして、グーダイド王国の侯爵様である、ヴァルナル・デ・アルテアンその人である。
横には、まだ産まれえて間もない可愛らしい赤ちゃんを抱いた母さんが席に着く。
もちろん、ユズユズ夫妻も赤ちゃんを伴ってこの食堂にいる。
ってか、この邸の全員が集合し、家族以外は用意された椅子に座って父さんの発表を待っている。何時もはどこに居るのかも良くわからないサラとリリアさんと、ブレンダーにノワール、そしてクイーンに蜂達も、しっかりと出席してる。
「ただ今ご紹介に与りました、グーダイド王国より侯爵位を賜っておりますヴァルナル・デ・アルテアンと申します。本日はよろしくお願いいたします」
いや、父さん硬いよ! ってか、この場の誰もが知ってる事だよ!
「え~、先日我が妻であるウルリーカの出産におきましては、皆様の多大なるご助力をいただき、感謝の念に堪えません。皆様のおかげで無事出産を終える事が…」
「長いわ! 父さん、前置き長すぎるわ! さっさと赤ちゃんの名前を発表しろよ!」
思わず突っ込んだよ。
お気づきの方も大勢居られるかもしれませんが、本日の本題はお名前発表である。
「え~~~~~~?」
「え~~…じゃねえよ! 全然可愛く無いわ!」
こんなおっさんが拗ねたところで、可愛くなんかあるか!
「みんなも待ってるんだから、さっさと発表しろって!」
「そ、そうか…まあ、仕方ないなあ。では、我が家の次男の名前を発表します! この名付けにあたって、私は愛する妻、そして愛する娘たちと相談し…」
まあ、そうだろうな…ぁ…んん??
「おいっ! 俺には相談なしかよ!」
「ふんっ! お前に相談なんかしたら、ゴンザレスとかガブリエルとかゴツそうな名前を推すに決まってる! だから相談なんかせんわ!」
ちょい待て! その名前は、元はといえばユリアちゃんが!?
あ、ユリアちゃん、ちょっと赤い顔で俯いてる…恥ずかしがってる?
そうか、ゴンザレスって名前は提案はしなかったのか…んで、俺なら言い出しそうだと父さんが決めつけたと。
当然だが、ゴンザレスを提案してたら却下されてただろうから、ユリアちゃんとしても、自分が考え付いたとは言えない雰囲気になってると…。
良いでしょう、可愛い妹の為なら、それぐらいの恥や汚名は進んで飲んで飲んで飲み込んで見せましょうとも!
「いいじゃないか、強そうで! まあ、けど今回は父さんに命名権を譲ろう」
「いや、譲るも何も、俺の子なんだが…」
うるさいわ! 俺の弟でもあるのだから、権利はあるのだ!
「あなた、トールちゃん…いい加減にしましょうね」
あ、母さんから氷点下の冷気が漂って…ちょっと、僕ちゃんちびりそう…。
「もう私が発表します。この子の名前は、エドワード」
あ、母さんしびれ切らした…。
「我が家の次男の名は、エドワード・デ・アルテアンよ」
食堂内は大喝采…でも、父さん唖然呆然。
まあ、晴れの大舞台だったのに、母さんに完全に主役を奪われちゃったもんね。
その気持ちは良くわかるよ、うん。
いらん口を挟んだ俺も悪かったよ、ごめんね。
でも、食堂内は大盛り上がり。
特に大喜びはコルネちゃんとユリアちゃん。
2人は母さんのところに駆け寄って、揃って何度もおめでとうって声を掛ていた。
もう、産まれてから何度も赤ちゃんに会ってるけど、やっぱ顔を見たいんだろう。
コルネちゃんにはユリアちゃんという妹がいるけれど、赤ちゃんの時期が無く、いきなり幼女で会ったから、やっぱ赤ちゃんは可愛いんだろうな。
ユリアちゃんに至っては、初めて見る赤ちゃんだもん。
ユズユズの所の赤ちゃんの所と、母さんが抱いている赤ちゃんの所を、毎日何往復もして顔を見に行ってる。
「おっぱいのんでた!」「ないちゃったー!」「ぷにぷにしてるよー!」「わらってたー!」「かわいいーーー!」「だっこしてきたよー!」
俺と顔を合わす度に、赤ちゃんのが何してるかとか報告してくれる。
嬉しいんだろうね、ユリアちゃん。
さて、俺の弟の名前は、エドワードに決まった。
良い名じゃないか。
愛称はやっぱ、エド君かなぁ。
どっかの錬金術師と被ってる気がするけど?
いや、英国の某王子様もエドワードだった気がするぞ?
待て待て待て、ソド〇鉄道の顔が付いた青い機関車もそんな名前じゃなかったか?
とはいえ、どうせここに居る人には分からないだろうから、別に構わないか。
あ、いや…ユズユズの二人とサラとリリアさんには分かるか?
もしかしたら、ナディア達にも分かっちゃうかもしれない…けど、まあ良いか。
何といっても、赤ちゃん命名のおめでたい席だ。
野暮なことを言うのは止めよう。
でも…本当に、ユリアちゃんのゴンザレスに決まらなくて良かったよ。
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