システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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閉幕

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 長い長い戦いは、終に終わりの時を迎えた。
 その戦いを乗り切った男達は、皆満足気な顔だった。
 戦士を送り出す女たちも、また満足気に微笑んでいた。
 当たり前だが、戦士達とは王都からヴァルナル侯爵が率いて来た騎士や兵士の事。
 そして見送る女達とは、人魚さん達の群れ…群れ…大群…。 

 荒海に面した崖の宿泊施設で、結局三泊四日という時を過ごした。
 これは、思ったよりも人魚さんの参加数が多かったのが一番の原因だ。
 この海には元々人魚族が群れて暮らす国があった。
 しかし、繁殖の為に捕獲できる男の数が限られているため、多くの人魚達は遥か昔に群れから離れ、いくつかのグループに別れて各地へと旅立って行ったのだった。
 それぞれが、きっと大きな群れを作る、人魚族の繁栄の為に多くの男を捕まえて繁殖するのだ…と意気込んで。
 しかし、この大陸は周囲が切り立った崖となっている場所が非常に多く、たとえ船を造って海原に出た所で、寄港できる港などほとんど無いため海上輸送を使った交易など無い。
 海に出る船と言えば、もっぱら近海での漁の為だで、そのほとんどが繁殖に適さない年齢の男だった。
 良い男を捕獲したくともなかなか出合う事も出来ない人魚さん達が繁殖して群れを大きくする事は、永い間出来なかった。

 そんな時、遥かな昔に離れた人魚達の元の群れ…つまり、人魚の国の女王から伝令が各海へと飛んだ。
 曰く、『確実に男を確保出来、安全に繁殖が出来る事となった。人族の領主と交渉の結果、場所も提供された。また、限られた数の男達を全員が満足できるまで使用可能な状態に出来る薬も手に入った。なので、急ぎ各群れは帰還する様に』と。
 遠く離れた地で暮らしていた人魚達には、そんな言葉をすぐに信じる事は出来なかった。
 何せ、今までの暮らしでは人族の男など滅多に捕まえる事など出来なかったのだから。
 彼女達の大きな群れにしたいという野望も、その為に敵わなかったのだから。
 しかし、伝令としてやって来た人魚達は、今までの経緯をこんこんと語って聞かせた。
 人族の街で、安全かつ効率的に子種と外貨を獲得できる場を提供してもらった事。
 そして、今までにすでに人魚の為に人族の男を集めて提供してもらっている事。
 すでに女王は妊娠している事…などなど、彼女達が経験してきた事を、全て赤裸々に語って聞かせた。
 話を聞いた人魚達は思った。
 どうせ繁殖が敵わないのであれば、一度ぐらい騙されてもいいか…と。
 無論、彼女達の女王が妊娠したという事は、とても目出度い事であるし、祝いの言葉も贈らねばならない。
 ならば、一度全員で王国へと戻ろうと、一路トールヴァルドの領地の最南端である海を目指した。
 この世界の人魚達は馬鹿では無い。いや、知能は非常に高い。
 人魚の国に戻って来た人魚達は、かなりの数の人魚が妊娠している事に気付いた。
 そして、彼女達が伝令から伝え聞いた話が嘘ではないと、信じるに値する言葉であると確信する。
 女王によれば、近いうちにまたこの地の領主が男を連れてくると言う。
 しかも肉体的にも年齢的にも若く健康な男を、かなりの数集めて来てくれるという。
 さらに、この地に住む魔族が提供してくれるという、超強力な強壮剤を用いれば、何度でも男達は繁殖可能な状態になり、短時間でがっつりと子種を製造できるという、夢の様なおまけ付きで。
 このビッグウェーブに、繁殖に積極的な人魚達が乗らないはずはない。
 各自に散らばっていた人魚の群れは、続々と人魚国を目指し集結していった。
 その数、何と1300名。
 彼女達は、人魚族の繁栄を夢見て、王国目指して一直線にこの大海原を突っ走ったのであった。
 
 そして約束の日。
 この地の領主であるトールヴァルド伯爵は、不思議な空飛ぶ船でこの地に多くの人族の美味しそうな男を連れて来た。
 聞くところによると、200名という。
 初日は彼等を精の付く魚介類を沢山食べさせ、その様子をじっくりと観察した。
 翌日は、砂浜での躍動する肉体を、これまたじっくりと見せてもらったばかりか、夕方からは海ですっぽんぽんをじっくりねっとりと観察できた。
 そしてその夜、伯爵との約束通りに最終打ち合わせの後、ドワーフ族やエルフ族の協力の元、伯爵が人魚達の為に造ってくれたという、素晴らしい崖の施設へと獲物…男達をそっと運び込む事に成功した。
 人魚達の数に対して、とても男の数が少なかったが、そこは魔族製の薬が活躍し、何度も何度も人魚達は入れ替わり、プレイ…いや、繁殖行為を勤しんだのであった。

 こうして、騎士や兵士達と人魚さんの三泊四日にもわたる交流会は無事に閉幕となった。
 薬の反動の為かどうかは不明だが、やけにやつれた男達。
 だが、何故か皆満足気であった。
 そして、何故かトールヴァルドも、げっそりとやつれていた事も、ここに記す。
 彼に付き従う妻達や妖精達は、非常に良い笑顔で艶やかな肌となっていたが、何故そうなったのかは、皆の想像にお任せしよう。
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