941 / 1,466
歓迎の宴の準備
しおりを挟む
「み、みんな…どうしてここ…に?」
ドワーフの村の南に…いや、俺の領地の最南端に位置する…この砂浜。
俺が砂浜にほど近い海にホワイト・オルター号を着水させると、何故か見知った顔が並んでいた。
そう、その見知った顔とは、嫁ーず&妖精族4人の事である。
砂浜にずらりと全員が勢揃いし、俺を出迎えてくれていたのである。
「もちろん、トール様を出迎える為ですわよ…ねぇ、みなさん?」
メリルがそう言って振り返ると、ずらりと並んだ残る嫁ーず&妖精族4人は、大きく頷いた。
「お、俺…を? 何でまた、そんな事を…」
そりゃ、そう感じるのは当然じゃね? 当然だよね?
「トール様を魔の手から御守りするためですが?」
ミルシェが当然の様に、そう告げる。
「魔の手…って、敵か!?」
まさか、この浜辺にまで例の土地から敵がやって来ているのか!?
「…えと…人魚さん達…です」
何故か言い難そうにミレーラがそう言い、
「お義母様曰く、押しに弱いトール様であれば、きっと人魚さん達の毒牙の前では流されるだろう…と」
マチルダが後を引き継ぎ、そう言った。
「人魚さんの毒牙って…」
ちょっと言い過ぎじゃね?
ってか、俺ってそんなに押しに弱そうに見える?
いや、見えるからここに居るんだよな、全員。
「ま、隠れて妖精さん達が見張ってるから、大丈夫だとは思うけどな~!」
イネスが、がははと笑いながら俺の後ろを指さす。
振り返ると、俺の背後の空間が歪んゆき、妖精さん達が数人姿を現した。
え、もしかして、ずっと見張ってたの?
「マスター。妖精達から、マスターの行動は逐一報告を受けております」
「もしもの時は」「妖精達が」「全力で阻止します」
ナディアが言った後、アーデ、アーム、アーフェンがそれに続く。
そ、そうなのね…全部筒抜けなのね。
んで、もしもの時(浮気の事だろう)は、全力で阻止されちゃうのね、俺。
「あは、あは、あははははははは…はぁ…」
笑うしかないよね、こんな時。
全然信用されてないんだな、俺って。
『女性関係では、全然信用できません』
この場に居る全女性陣より、はっきりと言われてしまった。
そうですか…信用できませんか…。
「ところで、人魚さん達のお相手を降ろさなくてよろしいのですか?」
ちょっと意識が宇宙の彼方に飛んで行っていた俺を、現実に引き戻したのはナディアのこの一言。
「おっと、そうだった!」
いまだにカーゴルームに押し込んだままの騎士さんや兵士さんに、ちゃんとお話をせねばな。
ってか、砂浜に降りてもらって、まずはゆっくりして頂かねば!
この先、色々とあるのだから…まずは、ね…。
折角なので、全員に手伝ってもらい、まずは彼等を砂浜に下ろす事にした。
手伝いと言っても、別に難しい事をお願いするわけでは無い。
そもそも、何か手伝ってもらわねばならない様な事も無いのだが、それでもただぼーっと突っ立っているのも何だろうからと、仕事を言いつけてみた。
仕事というのは、ドワーフさんの村への言伝。
パーティまでの時間は、はまだ2日ほど余流がある。
なので、その間ははるばるこの地(まさか平和な砂浜とは思って無いだろうが)まで来てくれた決死隊の為に、BBQをしてあげようと思い、嫁ーずには食材の調達とおもてなしのお手伝いをお願いしに行って貰ったのだ。
ナディアを筆頭に妖精族4人には、王都で搬入した荷物の搬出のお手伝い。
こっちもシールドを上手く活用する事で、海上でも荷物を濡らさずに運搬できるはず。
そんな感じで、まずは全員に砂浜へと降りてもらいましょう。
「トールヴァルド伯爵様。この砂浜が決戦の地なのですか? アルテアン副軍務卿は?」
砂浜に降り立った騎士さんや兵士さん達の纏め役であろう男性騎士さんが、俺に話しかけて来た。
ってか、決戦の地って…ただの調査隊のはずなんだけど…。
「いや、それはまた別の場所だ。今回は、調査に向かうまで少々時間があるんだ。まあ、王城が先走ってしまったので、こんなに早く着く事になったけど、今は先遣隊による調査の最中で、実際に君達に出向いてもらうのは、その結果を踏まえたうえで作戦を練った後になる」
俺の話に、少し首を捻った騎士さん。
「はぁ…。では、我々はその間、何を…?」
そう思うのも当然だよね。
「うむ、その疑問は尤もだ。君達はその時が来るまで、ここで英気を養ってもらいたい。いざという時に、体力も精神もまいっていては、使い物にならんだろう? そうなると、あの世にまっしぐらだぞ」
「なるほど!」
俺の言葉に、喜色満面になった騎士さんだけど…体力も精神も明後日から全力で搾り取られるんだよね、人魚さん達に。
「今、私の妻達と眷属達によって、君達の歓迎の宴の準備を進めている。君達は、まず身体を休める事が出来る天幕を設営の準備をしたまえ」
「了解したしました、伯爵様!」
ビシッ! と敬礼する騎士さん。
「あ、それとアルテアン侯爵は、別件で席を外している。作戦遂行時には戻る予定なので、心配せぬようにな」
「はっ!」
まさか、母さんの所に居るなんて言えないしね…。
嫁ーずが大勢のドワーフさん達と食材をもって帰ってくる頃には、砂浜のあちらこちらに天幕が設営されていた。
そして、美しい海の波間からは…獲物を狙う肉食獣の様な無数の熱い視線が、この砂浜に注がれているのであった。
ドワーフの村の南に…いや、俺の領地の最南端に位置する…この砂浜。
俺が砂浜にほど近い海にホワイト・オルター号を着水させると、何故か見知った顔が並んでいた。
そう、その見知った顔とは、嫁ーず&妖精族4人の事である。
砂浜にずらりと全員が勢揃いし、俺を出迎えてくれていたのである。
「もちろん、トール様を出迎える為ですわよ…ねぇ、みなさん?」
メリルがそう言って振り返ると、ずらりと並んだ残る嫁ーず&妖精族4人は、大きく頷いた。
「お、俺…を? 何でまた、そんな事を…」
そりゃ、そう感じるのは当然じゃね? 当然だよね?
「トール様を魔の手から御守りするためですが?」
ミルシェが当然の様に、そう告げる。
「魔の手…って、敵か!?」
まさか、この浜辺にまで例の土地から敵がやって来ているのか!?
「…えと…人魚さん達…です」
何故か言い難そうにミレーラがそう言い、
「お義母様曰く、押しに弱いトール様であれば、きっと人魚さん達の毒牙の前では流されるだろう…と」
マチルダが後を引き継ぎ、そう言った。
「人魚さんの毒牙って…」
ちょっと言い過ぎじゃね?
ってか、俺ってそんなに押しに弱そうに見える?
いや、見えるからここに居るんだよな、全員。
「ま、隠れて妖精さん達が見張ってるから、大丈夫だとは思うけどな~!」
イネスが、がははと笑いながら俺の後ろを指さす。
振り返ると、俺の背後の空間が歪んゆき、妖精さん達が数人姿を現した。
え、もしかして、ずっと見張ってたの?
「マスター。妖精達から、マスターの行動は逐一報告を受けております」
「もしもの時は」「妖精達が」「全力で阻止します」
ナディアが言った後、アーデ、アーム、アーフェンがそれに続く。
そ、そうなのね…全部筒抜けなのね。
んで、もしもの時(浮気の事だろう)は、全力で阻止されちゃうのね、俺。
「あは、あは、あははははははは…はぁ…」
笑うしかないよね、こんな時。
全然信用されてないんだな、俺って。
『女性関係では、全然信用できません』
この場に居る全女性陣より、はっきりと言われてしまった。
そうですか…信用できませんか…。
「ところで、人魚さん達のお相手を降ろさなくてよろしいのですか?」
ちょっと意識が宇宙の彼方に飛んで行っていた俺を、現実に引き戻したのはナディアのこの一言。
「おっと、そうだった!」
いまだにカーゴルームに押し込んだままの騎士さんや兵士さんに、ちゃんとお話をせねばな。
ってか、砂浜に降りてもらって、まずはゆっくりして頂かねば!
この先、色々とあるのだから…まずは、ね…。
折角なので、全員に手伝ってもらい、まずは彼等を砂浜に下ろす事にした。
手伝いと言っても、別に難しい事をお願いするわけでは無い。
そもそも、何か手伝ってもらわねばならない様な事も無いのだが、それでもただぼーっと突っ立っているのも何だろうからと、仕事を言いつけてみた。
仕事というのは、ドワーフさんの村への言伝。
パーティまでの時間は、はまだ2日ほど余流がある。
なので、その間ははるばるこの地(まさか平和な砂浜とは思って無いだろうが)まで来てくれた決死隊の為に、BBQをしてあげようと思い、嫁ーずには食材の調達とおもてなしのお手伝いをお願いしに行って貰ったのだ。
ナディアを筆頭に妖精族4人には、王都で搬入した荷物の搬出のお手伝い。
こっちもシールドを上手く活用する事で、海上でも荷物を濡らさずに運搬できるはず。
そんな感じで、まずは全員に砂浜へと降りてもらいましょう。
「トールヴァルド伯爵様。この砂浜が決戦の地なのですか? アルテアン副軍務卿は?」
砂浜に降り立った騎士さんや兵士さん達の纏め役であろう男性騎士さんが、俺に話しかけて来た。
ってか、決戦の地って…ただの調査隊のはずなんだけど…。
「いや、それはまた別の場所だ。今回は、調査に向かうまで少々時間があるんだ。まあ、王城が先走ってしまったので、こんなに早く着く事になったけど、今は先遣隊による調査の最中で、実際に君達に出向いてもらうのは、その結果を踏まえたうえで作戦を練った後になる」
俺の話に、少し首を捻った騎士さん。
「はぁ…。では、我々はその間、何を…?」
そう思うのも当然だよね。
「うむ、その疑問は尤もだ。君達はその時が来るまで、ここで英気を養ってもらいたい。いざという時に、体力も精神もまいっていては、使い物にならんだろう? そうなると、あの世にまっしぐらだぞ」
「なるほど!」
俺の言葉に、喜色満面になった騎士さんだけど…体力も精神も明後日から全力で搾り取られるんだよね、人魚さん達に。
「今、私の妻達と眷属達によって、君達の歓迎の宴の準備を進めている。君達は、まず身体を休める事が出来る天幕を設営の準備をしたまえ」
「了解したしました、伯爵様!」
ビシッ! と敬礼する騎士さん。
「あ、それとアルテアン侯爵は、別件で席を外している。作戦遂行時には戻る予定なので、心配せぬようにな」
「はっ!」
まさか、母さんの所に居るなんて言えないしね…。
嫁ーずが大勢のドワーフさん達と食材をもって帰ってくる頃には、砂浜のあちらこちらに天幕が設営されていた。
そして、美しい海の波間からは…獲物を狙う肉食獣の様な無数の熱い視線が、この砂浜に注がれているのであった。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる