システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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歓迎の宴の準備

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「み、みんな…どうしてここ…に?」
 ドワーフの村の南に…いや、俺の領地の最南端に位置する…この砂浜。
 俺が砂浜にほど近い海にホワイト・オルター号を着水させると、何故か見知った顔が並んでいた。
 そう、その見知った顔とは、嫁ーず&妖精族4人の事である。
 砂浜にずらりと全員が勢揃いし、俺を出迎えてくれていたのである。
「もちろん、トール様を出迎える為ですわよ…ねぇ、みなさん?」
 メリルがそう言って振り返ると、ずらりと並んだ残る嫁ーず&妖精族4人は、大きく頷いた。
「お、俺…を? 何でまた、そんな事を…」
 そりゃ、そう感じるのは当然じゃね? 当然だよね?
「トール様を魔の手から御守りするためですが?」
 ミルシェが当然の様に、そう告げる。
「魔の手…って、敵か!?」
 まさか、この浜辺にまで例の土地から敵がやって来ているのか!?
「…えと…人魚さん達…です」
 何故か言い難そうにミレーラがそう言い、
「お義母様曰く、押しに弱いトール様であれば、きっと人魚さん達の毒牙の前では流されるだろう…と」
 マチルダが後を引き継ぎ、そう言った。
「人魚さんの毒牙って…」
 ちょっと言い過ぎじゃね?
 ってか、俺ってそんなに押しに弱そうに見える?
 いや、見えるからここに居るんだよな、全員。
「ま、隠れて妖精さん達が見張ってるから、大丈夫だとは思うけどな~!」
 イネスが、がははと笑いながら俺の後ろを指さす。
 振り返ると、俺の背後の空間が歪んゆき、妖精さん達が数人姿を現した。
 え、もしかして、ずっと見張ってたの? 
「マスター。妖精達から、マスターの行動は逐一報告を受けております」
「もしもの時は」「妖精達が」「全力で阻止します」
 ナディアが言った後、アーデ、アーム、アーフェンがそれに続く。
 そ、そうなのね…全部筒抜けなのね。
 んで、もしもの時(浮気の事だろう)は、全力で阻止されちゃうのね、俺。
「あは、あは、あははははははは…はぁ…」
 笑うしかないよね、こんな時。
 全然信用されてないんだな、俺って。
『女性関係では、全然信用できません』
 この場に居る全女性陣より、はっきりと言われてしまった。
 そうですか…信用できませんか…。

「ところで、人魚さん達のお相手を降ろさなくてよろしいのですか?」
 ちょっと意識が宇宙の彼方に飛んで行っていた俺を、現実に引き戻したのはナディアのこの一言。
「おっと、そうだった!」

 いまだにカーゴルームに押し込んだままの騎士さんや兵士さんに、ちゃんとお話をせねばな。
 ってか、砂浜に降りてもらって、まずはゆっくりして頂かねば! 
 この先、色々とあるのだから…まずは、ね…。
 折角なので、全員に手伝ってもらい、まずは彼等を砂浜に下ろす事にした。
 手伝いと言っても、別に難しい事をお願いするわけでは無い。
 そもそも、何か手伝ってもらわねばならない様な事も無いのだが、それでもただぼーっと突っ立っているのも何だろうからと、仕事を言いつけてみた。
 仕事というのは、ドワーフさんの村への言伝。
 パーティまでの時間は、はまだ2日ほど余流がある。
 なので、その間ははるばるこの地(まさか平和な砂浜とは思って無いだろうが)まで来てくれた決死隊の為に、BBQをしてあげようと思い、嫁ーずには食材の調達とおもてなしのお手伝いをお願いしに行って貰ったのだ。
 ナディアを筆頭に妖精族4人には、王都で搬入した荷物の搬出のお手伝い。
 こっちもシールドを上手く活用する事で、海上でも荷物を濡らさずに運搬できるはず。
 そんな感じで、まずは全員に砂浜へと降りてもらいましょう。

「トールヴァルド伯爵様。この砂浜が決戦の地なのですか? アルテアン副軍務卿は?」
 砂浜に降り立った騎士さんや兵士さん達の纏め役であろう男性騎士さんが、俺に話しかけて来た。
 ってか、決戦の地って…ただの調査隊のはずなんだけど…。
「いや、それはまた別の場所だ。今回は、調査に向かうまで少々時間があるんだ。まあ、王城が先走ってしまったので、こんなに早く着く事になったけど、今は先遣隊による調査の最中で、実際に君達に出向いてもらうのは、その結果を踏まえたうえで作戦を練った後になる」
 俺の話に、少し首を捻った騎士さん。
「はぁ…。では、我々はその間、何を…?」
 そう思うのも当然だよね。
「うむ、その疑問は尤もだ。君達はその時が来るまで、ここで英気を養ってもらいたい。いざという時に、体力も精神もまいっていては、使い物にならんだろう? そうなると、あの世にまっしぐらだぞ」
「なるほど!」
 俺の言葉に、喜色満面になった騎士さんだけど…体力も精神も明後日から全力で搾り取られるんだよね、人魚さん達に。
「今、私の妻達と眷属達によって、君達の歓迎の宴の準備を進めている。君達は、まず身体を休める事が出来る天幕を設営の準備をしたまえ」
「了解したしました、伯爵様!」
 ビシッ! と敬礼する騎士さん。
「あ、それとアルテアン侯爵は、別件で席を外している。作戦遂行時には戻る予定なので、心配せぬようにな」
「はっ!」
 まさか、母さんの所に居るなんて言えないしね…。

 嫁ーずが大勢のドワーフさん達と食材をもって帰ってくる頃には、砂浜のあちらこちらに天幕が設営されていた。
 そして、美しい海の波間からは…獲物を狙う肉食獣の様な無数の熱い視線が、この砂浜に注がれているのであった。
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