システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
939 / 1,466

約束の品

しおりを挟む
 遠い別次元の彼方で、もしかすると世界の在り方(と、彼自身の生活)を変えるかもしれない偉業を成し遂げたかもしれない、とある竜の姿をした神。
 だが、彼が活躍する場など、一切無かった…憐れ…。
 一方、そんな事は一切知らないトールは、嫁ーずも居ない空の旅をのんびりと満喫しながらも、翌朝の明け方には王都領空へと到達した所で目覚め、間もなく王城へと到着しようとしていた。

 朝食を終えてすぐにいつもの王城横の練兵場へ、トールヴァルドはホワイト・オルター号を着陸させるべく、操縦席へと座っていた。
 そんなに朝早くから急ぐ事も無いのだが、下手に時間に余裕があると王家の方々に思われると、前回登城した時の様に捕まって王族のプライベート・スペースであれやこれやと押し付けられそうなので、仕事が立て込んでで忙しい振りをしているだけ。
 王族だけでなく、今回は議会でも例の地区の調査は急務だと考えている様なので、丁度良かった。

「はい、こっちは、エヴェリーナ第1王女様の【いぬさん号】です。こっちは、ティルダ第2王女様の【ねこさん号】で、こっちがカティヤ第3王女様の【ふくろうさん号】ね。丁寧に運んでください!」
 俺ね、色々と頑張ったのよ。
 特に、この小型バギーの形については、本当に色々と頑張ったのよ。

 アーマリア王女様の専用車であるひつじさん号を羨ましく思った、第1王女様のエヴェリーナ様の要望通り、出来るだけ見た目以外に性能差が出ない様にドワーフさん達と、何度も何度もデザインを考えては外装を造り直しましたよ。
 何たって、第一王女のエヴェリーナ様の要望通りに、第3王女様のカティヤ様専用車を【とかげさん号】を仕上げたのだが、可愛くない事この上ない。
 いくらファンシー好きなドワーフさんでも、どうにもうまく出来なかったんだ。
 同様に【たぬきさん号】も制作してみたのだが、たぬきなのかあらいぐまなのかよく分からない仕上がりになってしまった。
 やはり、一目で何をデザインしたのか分かる様にしたい。
 だって、王族の専用車をみた人々が、「あれって、たぬき?」「いや、あらいぐまだろう?」「違うよ、レッサーパンダだよ!」とか言ったりしたら嫌じゃん? レッサーパンダとかあらいぐまがこの世界に居るのかどうか知らないけど…。
 そもそも、そんな可愛くないデザインや、デザインの元になった動物が何なのかよく分からないってなったら、今度は第3王女様に俺が何を言われるか…。
 なので、この世界でも森に生息している、みみずくという耳の様に羽角が飛び出た種類のフクロウをデザインしてみた。
 これが、思ったよりも可愛くデザイン出来たので、カティヤ様専用車の外装に採用したのだ。
 だけど、もしもこれがエヴェリーナ第1王女様の怒りを買ったらと思うと、ちょっと…いや、かなり怖いので、さささっと納品して逃げようかと思っている。
 もちろん、いぬさん号もねこさん号も、かなり可愛く仕上がっている。
 その出来栄えに関しては、マジで胸を張れるぞ!
 何たって、コルネちゃんにユリアちゃん、嫁ーずも羨ましがるほどの可愛さだ。
 ふくろうさん号も、自信をもって可愛く仕上がっている!
 もしもエヴェリーナ様にふくろうさん号のデザインに関して何か言われたら…工房が間違ってデザインしちゃいましたとでも言って誤魔化す事にしよう!
 ドワーフさん達には申し訳ないけど…。
 あ、ちなみにだけど、いぬ・ねこ・みみずくの可愛いマスコット人形もドワーフさんに造ってもらったので、おまけでダッシュボードにくっ付けておいた。
 これで勘弁してください…これ以上は、精神的に無理ですから…。

 王城より追加発注を受けた小型バギーや、付属品、あとは遊戯類を順次カーゴルームより搬出し、騎士や兵士の方々がどんどんお城に運び入れてくれた。
 特に王女様方専用車は、王族の方々のための庭に運び込んでもらっている。
 んで、今回は謁見という程に格式ばらずに、陛下とだけ少しだけお話をする場をつくって頂いた。
 そこで聞いた話によれば、王女様方は、今はそれぞれの嫁ぎ先におられる様子。
 なので、専用車が届いた事だけをお伝えいただく事になった。
 ふくろうさん号に関して、俺が必死に説明すると、陛下は苦笑して後の事は引き受けてくれた。
 納品に関しても問題なかったとのお言葉をいたけたので、ほっとした。
 今後の例の場所の調査に関しては、善は急げとも言えるのだが、急いては事を仕損じるとも言えるので、俺の方で経費は負担するので、選抜された人員を調査完了までお借りする事となった。
 これで、人魚さん達にも、大いに満足してもらえるだろう…人魚さん達には…ね。

 ってなわけで、一通りのお仕事が済んだところで、父さんと決死隊の皆さんにはホワイト・オルター号に乗って頂く。
 もちろん、父さんはキャビンに、騎士や兵士の皆さんは、彼等の荷物や食料・薬品、武器や衣服その他の物資と共にカーゴルームに乗って頂く。
 ま、明日の昼までには到着するんで、ちょこっと我慢してね。
 トイレもシャワーも奥にあるんで、綺麗に使ってくれるなら使用を許可するから。
 みなさん、ほんのちょこっと我慢してくださいねぇ!
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...