929 / 1,466
魔の手
しおりを挟む
「ちょっと、リリア! 今のどう思いますか!?」
「え? サラに倫理観が無いって事ですか?」
某地下室の一画、サラリリアのプライベートルームにて、サラは憤っていた。
「そう、それです!」
リリアの返答を聞き、更に鼻息を荒くする見た目低学年JCのサラ。
「まあ、確かに貴方に倫理観が無いとは、少々言い過ぎかもしれませんね」
「でしょでしょ!」
トールの言葉を否定するかのようなリリアの言葉に、勢い付くサラであったが、
「サラに無いのは、倫理観では無く羞恥心ですからね」
「え?」
リリアの言葉に固まるサラ。
「多少の倫理観は誰しも持ってて当たり前ですが、サラには羞恥心なんてものは有りませんから、あの方の言葉は間違いです」
「え?」
妙に自信たっぷりに言い切るリリア。
「えっと、リリアさんや?」
「何ですか、サラばあさん」
「誰がばあさんじゃい! じゃなくて、倫理観を持ってて羞恥心が無い…って、どゆこと?」
どちらも似た様な物ではあるのだが、
「それは簡単です。あなた、確か地球の法律の一般的な内容は知ってますよね?」
「まあ、誰もが知っている程度だったら…」
当然だが、そんな事は承知しているからこそ、リリアは一般的な内容と言ったのだ。
「でしたら例えでも分かる事だと思います」
「えっと…どんな?」
その例えの内容に興味を惹かれるサラ。
「法律や常識や倫理観的に、人前で淫らな行為をしてはいけないと分ってはいるのだけれど、誰かに見られるかも…とか考えると、じゅんじゅんしちゃうの。だから、今日もスカートの下には何も着けてないの…」
「ん?」
「夜に1人で公園で全裸で露出散歩。誰かに見られちゃうかも…。もしも男の人に見られたら、間違いなく襲われちゃう…。でも、そのスリルが快感なの」
「は?」
「公衆便所で、男子トイレにこっそり忍び込んで、個室の扉越しに裸を晒すの。もちろん扉の鍵は閉めないわ。いつ扉が開かれるか分からないスリルにドキドキしちゃう!」
「えっと…?」
「これがサラの本性ですね」
リリアは、そう言うと真顔でサラを見つめる。
「…それがサラちゃんの本性?」
「ええ、間違いありません」
断言するリリアの言葉に、そうなのかと考え込んだサラ。
「頭ではいけない事だと理解してても、どうしても止める事が出来ない性癖」
思い当たる節は無きにしも非ず。
「見つかれば法的にも社会的にもただでは済まないと、分かっていても全てを曝け出してしまう」
そう言われるとそんな気もする…。
「それが倫理観を持ってはいるが羞恥心が無い…いえ、言い換えましょう。倫理知識は持ちつつも、それを羞恥心で塗りつぶし、全てを曝け出す変態女、それがサラです!」
どこかの黒帽子に黒スーツで心の隙間を埋めるサラリーマンの様に、どーん! と効果音が付きそうな程にサラを指さすリリア。
「がーーーーーーーーん!」
あまりの事に、サラの背景には漫画の様に縦線が無数に走っていた。
「ですから、我慢しなくてもいいんですよ…」
「リリア…」
何故か優し気な口調のリリア。
それに感動したサラであったが、きっとサラ以外の人がこれまでの話を聞けば、完全にサラはリリアの話術に嵌ってると思うだろう。
リリアは単に嘘ばかりを並べている分けでは無く、もちろん多少の誇張は有るにせよ、サラの性癖も会話の中に混ぜていたりするのだが、巧み(サラにとっては)な話術で完全に騙されていたサラには、急に優し気な言葉になったリリアを全力で信用してしまっていた。
だからこそ、次の言葉にショックを受けてしまう。
「さあ…私と新たな世界の扉を開きましょう!」
そう言うリリアの手には、荒縄と蝋燭が握られていた。
「…それは、ちょっと違うんじゃないのかなぁ…」
リリアの手に握られている物を見たサラがジリッと1歩退るが、リリアもジリッと1歩詰め寄る。
「そ~んなことは無いですよ~? ちなみに、私は倫理観を無視した変態なだけですからねえ」
「一番やべーヤツじゃねーか!?」
一気に迫りくるリリアの魔の手から逃げ出そうと、サラがダッシュをするのだが、如何せん狭い地下室の中の一画での事。
何故か荒縄をアメリカのカウボーイが馬や牛を捕まえる時の様に、頭上でヒュンヒュンと回したかと思うと、サラに向かってそれを放つ。
まるで生きているかの様に荒縄はサラの身体へと巻きつききつく縛り上げた。
「んなぁ!? お前はカウボーイか!?」
縄に絡めとられたサラガ叫ぶが、
「いえ、ただの緊縛術ですが? ここからM〇開脚でベッドに固定して…」
ド変態の魔の手から逃げる事など、サラには出来るはずも無く、リリアがあれよあれよと言う間に、サラをあられもない姿でベッドに縛り付けていく。
「や~~~め~~~れ~~~!!」
庭の片隅のそのさらに地下から、サラの絶叫が漏れ聞こえてきたりした。
しかし、トールを始めとした家人は全員邸の中だし、人通りもまばらなこの邸の周囲では、誰もその絶叫を耳にする者は居なかった。
「え? サラに倫理観が無いって事ですか?」
某地下室の一画、サラリリアのプライベートルームにて、サラは憤っていた。
「そう、それです!」
リリアの返答を聞き、更に鼻息を荒くする見た目低学年JCのサラ。
「まあ、確かに貴方に倫理観が無いとは、少々言い過ぎかもしれませんね」
「でしょでしょ!」
トールの言葉を否定するかのようなリリアの言葉に、勢い付くサラであったが、
「サラに無いのは、倫理観では無く羞恥心ですからね」
「え?」
リリアの言葉に固まるサラ。
「多少の倫理観は誰しも持ってて当たり前ですが、サラには羞恥心なんてものは有りませんから、あの方の言葉は間違いです」
「え?」
妙に自信たっぷりに言い切るリリア。
「えっと、リリアさんや?」
「何ですか、サラばあさん」
「誰がばあさんじゃい! じゃなくて、倫理観を持ってて羞恥心が無い…って、どゆこと?」
どちらも似た様な物ではあるのだが、
「それは簡単です。あなた、確か地球の法律の一般的な内容は知ってますよね?」
「まあ、誰もが知っている程度だったら…」
当然だが、そんな事は承知しているからこそ、リリアは一般的な内容と言ったのだ。
「でしたら例えでも分かる事だと思います」
「えっと…どんな?」
その例えの内容に興味を惹かれるサラ。
「法律や常識や倫理観的に、人前で淫らな行為をしてはいけないと分ってはいるのだけれど、誰かに見られるかも…とか考えると、じゅんじゅんしちゃうの。だから、今日もスカートの下には何も着けてないの…」
「ん?」
「夜に1人で公園で全裸で露出散歩。誰かに見られちゃうかも…。もしも男の人に見られたら、間違いなく襲われちゃう…。でも、そのスリルが快感なの」
「は?」
「公衆便所で、男子トイレにこっそり忍び込んで、個室の扉越しに裸を晒すの。もちろん扉の鍵は閉めないわ。いつ扉が開かれるか分からないスリルにドキドキしちゃう!」
「えっと…?」
「これがサラの本性ですね」
リリアは、そう言うと真顔でサラを見つめる。
「…それがサラちゃんの本性?」
「ええ、間違いありません」
断言するリリアの言葉に、そうなのかと考え込んだサラ。
「頭ではいけない事だと理解してても、どうしても止める事が出来ない性癖」
思い当たる節は無きにしも非ず。
「見つかれば法的にも社会的にもただでは済まないと、分かっていても全てを曝け出してしまう」
そう言われるとそんな気もする…。
「それが倫理観を持ってはいるが羞恥心が無い…いえ、言い換えましょう。倫理知識は持ちつつも、それを羞恥心で塗りつぶし、全てを曝け出す変態女、それがサラです!」
どこかの黒帽子に黒スーツで心の隙間を埋めるサラリーマンの様に、どーん! と効果音が付きそうな程にサラを指さすリリア。
「がーーーーーーーーん!」
あまりの事に、サラの背景には漫画の様に縦線が無数に走っていた。
「ですから、我慢しなくてもいいんですよ…」
「リリア…」
何故か優し気な口調のリリア。
それに感動したサラであったが、きっとサラ以外の人がこれまでの話を聞けば、完全にサラはリリアの話術に嵌ってると思うだろう。
リリアは単に嘘ばかりを並べている分けでは無く、もちろん多少の誇張は有るにせよ、サラの性癖も会話の中に混ぜていたりするのだが、巧み(サラにとっては)な話術で完全に騙されていたサラには、急に優し気な言葉になったリリアを全力で信用してしまっていた。
だからこそ、次の言葉にショックを受けてしまう。
「さあ…私と新たな世界の扉を開きましょう!」
そう言うリリアの手には、荒縄と蝋燭が握られていた。
「…それは、ちょっと違うんじゃないのかなぁ…」
リリアの手に握られている物を見たサラがジリッと1歩退るが、リリアもジリッと1歩詰め寄る。
「そ~んなことは無いですよ~? ちなみに、私は倫理観を無視した変態なだけですからねえ」
「一番やべーヤツじゃねーか!?」
一気に迫りくるリリアの魔の手から逃げ出そうと、サラがダッシュをするのだが、如何せん狭い地下室の中の一画での事。
何故か荒縄をアメリカのカウボーイが馬や牛を捕まえる時の様に、頭上でヒュンヒュンと回したかと思うと、サラに向かってそれを放つ。
まるで生きているかの様に荒縄はサラの身体へと巻きつききつく縛り上げた。
「んなぁ!? お前はカウボーイか!?」
縄に絡めとられたサラガ叫ぶが、
「いえ、ただの緊縛術ですが? ここからM〇開脚でベッドに固定して…」
ド変態の魔の手から逃げる事など、サラには出来るはずも無く、リリアがあれよあれよと言う間に、サラをあられもない姿でベッドに縛り付けていく。
「や~~~め~~~れ~~~!!」
庭の片隅のそのさらに地下から、サラの絶叫が漏れ聞こえてきたりした。
しかし、トールを始めとした家人は全員邸の中だし、人通りもまばらなこの邸の周囲では、誰もその絶叫を耳にする者は居なかった。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる