システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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便利屋さんじゃない

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 耐えました。
 俺の理性は、この恐ろしい状況でも、必死に耐えきりました。
 何で父さんの邸の応接間で、嫁ーずの胸を揉まなきゃならんのだ!
 必死で『揉め揉め!』と迫る嫁ーずから逃げました。
 逃げたんです! 絶対に揉んでません!
 あ、いや…ミレーラとメリルが俺の両手を取って、自分の胸へと当てはしました。
 何といいましょうか…男の本能といいますか…掌にあたる感触に、ついつい手がもみもみしてしまったのは否めません。
 でも、決して自分から揉もうと思ったことはありません! これは間違いありません!
 なので、そんな蔑んだ目で俺を見ないでください、巨乳メイドさん達! 背筋がゾクゾクしちゃいますから!
 だからと言って、俺が危険な扉を開き始めたのを敏感に感じ取って、さらにグイグイと迫るのは止めようか、嫁ーずよ!
 何だよ、何なんだよ、この支離滅裂な無秩序な応接室の状態は!
 一体、俺にどうしろってんだよ!
 嫁ーずと巨乳メイドさん達のむせ返るような女性臭溢れかえる桃色空間の中で、必死に理性を抑え込んだよ。
 だから、誰だ俺の股間をまさぐってんのは! 俺の理性が飛ぶだろーが! 止めろ、止めてくれーーーーー!
 
 小一時間ほど、この火事場のような、しっちゃかめっちゃか状態は続いたとさ…。

「あのなぁ…何でこんなしっちゃかめっちゃか状態になったか、みんな理解してる?」
 俺の言葉に、少し俯き加減で頷く嫁ーず。
 先程までの乱痴気騒ぎの最後には、俺がちょっとキレ気味だったのを敏感に感じたメイドさん達は、さっさと応接室の扉を閉めて逃げ出した。
 残された嫁ーずも、俺の眉間に寄る皺が深くなったのを見て、段々とトーンダウン。
 漸く落ち着きを取り戻した応接室で、全員が着席すると、どこで見てたのかメイドさん達がお茶とお茶菓子をもって入室。
 俺達の前に配膳を始める、メッチャ冷静で無表情なメイドさん…君達って、凄いね…。
「まあ、理解してくれたのならこれ以上は責めないけど、一言だけ言っておくが、俺は基本的に浮気はしない。そりゃ男だから、セクシーな女性を見れば本能的に視線が向くかもしれないが、それだけだ。みんなが認めた相手以外は、絶対に浮気はしないから、そこだけは理解してくれ。あと、胸の大きさは関係ないぞ。俺が好きになるのは、そんなの関係なく、その人の中身だからな」
 この後も、俺は切々と俺の心情とか女性に対する考え方を語って聞かせ、ようやく全員が落ち着いてくれた…ようだ。

 これで、ようやく俺も落ち着いて話が出来るぞ。
 そういや、クイーン達はどこいった? あ、天上に張り付いてる…お前等、あの騒ぎに巻き込まれないように逃げたな?
 ま、いっか。
 さて、それでは…
「さっきも話したと思うが、モフリーナに応援を頼んだ。いや、モフリーナだけでなく、モフレンダとボーディにもだ」
 俺がそう切り出すと、マチルダから質問が来た。
「ダンジョンマスターが3人という事は、それだけあの山の向こうは危険だという事ですか?」
「いや、そうとも限らない。だが、あのナディア達の状態を考えれば、安全対策は万全にした方が良いだろう」
 俺の答えを聞いたメリルは、
「それでは、ダンジョンマスター達だけで山向こうに?」
 んな面倒なことはしない。
「いや、もうこの場からダンジョン領域を山向こうにまで一気に広めてもらう」
 それが一番簡単だろう。
「でも、そうすると…この国もダンジョン化しちゃうんですか?」
 ああ、そういう心配か、ミルシェ。
「いやいや、ダンジョン化といっても、必ずダンジョンになるって訳じゃない。単にダンジョンとしての領域を広げるだけだ。モンスターが徘徊したりはしないぞ? 思い出してみろ、パンゲア大陸で皆が泊まった部屋だってダンジョン領域の中だぞ?」
 俺の説明に、納得できた?
「そういえば…海中も…」
「そう、その通り、ミレーラ! この大陸からパンゲア大陸までの海の中も一部だがダンジョン領域化されているが、だからと言ってそこにダンジョンが出来てるわけじゃないだろ? それに馬鹿皇帝との戦の跡地だっ、うちの裏庭の一部だってダンジョン化したけど、モンスターが徘徊したりとかの問題は起きてないだろ?」
 すでにこの大陸はダンジョン領域化が進んでいたりするのだ。
「なるほど。つまり、トール様がダンジョンマスターの手綱をしっかりと握っている限り、特にダンジョン領域が広がっても問題は起きないという事ですね」
「マチルダの言う通りだが、手綱を握るというか…そもそもあの3人には変な野望とかないから、問題は起きないだろう」
 マチルダが言いたいのは、俺がダンジョンマスターをしっかりと支配してるから、この大陸が完全なダンジョンにならないって事だろ? そりゃナイナイ、絶対に無い。
 ダンジョンマスターのために、自由に出来る大陸を提供してるんだ。
 しかも日々莫大な収入が得られるように、移住者を大量に送り込んでるんだし、こっちの大陸との行き来が出来るダンジョンの入り口を作らせ、そかもそれを宣伝してるんだから、彼女達がこの大陸のダンジョンを広げる理由がない。
 いや、広げればもっと収入も増えるだろうけど、それで俺の機嫌を損ねてパンゲア大陸を消されたら、大損害だ。
 それぐらいは彼女達だって心得てる。
 だから、今回はあくまでも調査のために領域を広げるだけだ。
 そこまで説明すると、パンゲア大陸創造時に立ち会った嫁ーずも、完全に納得した様だ。
「だが、これでどこからでもあの大陸に飛ぶことができるって事になる?」
 イネス…意外に鋭いな。
「まあ、そういった利点が無い事もないが…いちいち移動するためだけにモフリーナとかにお願いするのもなあ。俺達にはホワイト・オルター号っていう、便利な神器もあるんだから、それは止めておこう」
 ちょっと残念そうな顔のイネスだが、彼女達は便利屋さんじゃないからな。
 
 俺と嫁ーずがダンジョンの領域化の話をしていると、懐の通信の呪法具が懐かしい黒電話の呼び出し音を奏でた。
 これはモフリーナからの着信を伝える呼び出し音。
 どうやら彼女達は第9番ダンジョンに到着した様だ。
 んじゃ、ちょこっと迎えに行きましょうかね。  
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