システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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意味が分からん!

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『山の向こうは森』『森の中は木がいっぱい』『大きな岩あった』『人いない』『岩に道ある』『池あった』『獣いた』『人いない』『ひよこいた』
 う~~む…クイーンが蜂達から聞き取りした物をそのまま書いているのだが、意味が分からん。
 人がいないって、大事な事だから2回書いたのか?
『森の先は砂』『砂の先は海』『ひよこばいばい』
 うん、これは分かるぞ。
 つまりは森を抜けたらスバ字があって、海に出るって事だよな?
『海、辛くない』『海の向こうに砂』『砂の向こうに森』『ひよこいない』
 ん? ちょっと待て!
 塩辛く無い海って、湖の事か? 地図にはそんなの描かれて無いぞ? 
『そこに人いた』『少しだけいた』『羽なかった』『ひよこ羽ある』
 湖の向こうには人がいて、羽が無い? って事は普通の人族かな?
『森もどった』『森光った』『ナディア飛んだ』『アーデ倒れた』『アーム苦しんだ』『アーフェン泡ふいた』『ひよこ来た』
 お、ここだな? 
 だけど、森が光ったって何の事だ?
 危険を察知してナディアが飛び上がったって事かな? 
 アーデ、アーム、アーフェンは避けられずに苦しんで泡ふいて倒れたって事?
『穴あった』『穴はいった』『ひよこ鳴いた』『海だった』
 また分けわからん。
 穴…って洞窟かな? 洞穴とかか? 光ったって、穴が? 
 気が付いたら、海だったって事でいいのかな? 
 ってか、誰ださっきからヒヨコヒヨコって言ってるのは!
 蜂ってひよこ好きなの? もしかして餌なの?

 だめだ、読めば読むほど意味不明だ。
 俺と同じように、嫁ーずも首を傾げている。
 蜂達はやり切ったって感じで、かいてもいない汗を拭う仕草をしてる。
 妙におっさん臭い仕草だな、おい。
 取りあえず、蜂達には見て来た事を全部地図に描き込んでもらおう。
 ホワイト・オルターに積んできていた地図を、暇そうにしていたブレンダーに取りに行って貰う。

「なあ、これで何かわかる事あるか?」
 クイーンが蜂達の情報を箇条書きにした紙を見つめつつ、嫁ーずに意見を聞いてみたのだが、
「これではちょっと…」
 うーん…と考え込むメリル。
「何が何だか…」
 まあ、ミルシェがそう言うのも頷ける。
「わ、わかりません…ねぇ…」
 困り顔のミレーラ。
「私は頭脳労働が苦手だからな!」 
 いや、そこは自慢する事じゃ無いと思うぞ、イネスよ。
「憶測であれば…ですが、もう少し精度の高い情報が欲しい所ですねぇ」
 嫁ーずの頭脳担当マチルダも、やっぱりそう思う?

 そんな感じで俺達5人が、う~んう~んと悩んでいると、ブレンダーが飛行船から地図を持って来てくれた。
 よし、蜂達よ! 見た事を全て地図に追加で描き込むのだ!
 どこに湖があったのか、人がどの辺に住んでたのか、穴の位置、岩の位置、道の位置…兎に角全部だ。
 蜂達が情報をクイーンに次々に伝え、それをクイーンが地図にちょこちょこと描き加えていく。
 その様子をじっと見つめていた俺と嫁ーずは、岩だの穴だの道だのが徐々に描き込まれて行くにつれて、徐々に手に身体に力が入ってくのを感じた。
 握った手に喘が滲むのが分かる。
 地図に描き加えられて言ったのは、完全な円形の湖と、湖と山脈の間の森に造られた巨大な五芒星。
 そして、その中心にある、これまた巨大な穴。
「お、おい…これは…」
 地図をじっと見つめていた俺の口から、思わず声が漏れた。
 別に誰かに答えを求めての物では無かったが、
「ええ、これは…」
 俺に応えるかのように、マチルダの口からも声が漏れ出た。 
「トール様、これは…」
「まさかとは思いますが…」
「人工物?」
 メリル、ミルシェ、ミレーラが続けて声をあげた。
「間違いなく、魔道具に刻む陣だな」
 頭脳労働が苦手なイネスが、俺達が思ってた事を言葉にした。
「いや、待て! それはおかしいだろ? だってこの地をナディアや蜂達が去年ぐらいに調査してこの地図を作ったんだぞ? その時には何も無かったんだよな?」
 思わずクイーンを含む蜂達にそう問いかけると、全員(全蜂?)が揃って頷く。
「だよな! なのに、何で今頃になってこんなのが出来てるんだ?」
 蜂達は揃って首を横に振った。
「駄目だ、全然意味が分からん! もう、ナディア達の回復を待っ…て…いや、待てよ?」
 俺が叫びそうになる寸前で、とある事に思い当たり、もう一度地図を覗き込んだ。
「どうされましたか、トール様?」
 そんな急に黙り込んだ俺の顔を、下から覗き込むメリル。
「そうだよ、その手があったんだよ!」
 ガバッと顔を上げた俺に、ちょっと仰け反る嫁ーず。
「すぐに連絡しなければ!」
 俺はダッシュでホワイト・オルター号に置きっぱなしにしていた荷物へと、応接室を飛び出した。

 この時、ちゃんと蜂達によって描き加えられた地図を、もっと良く見ておけばよかったと、全員が後々になって後悔した。
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