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怪しくなってきたぞ
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俺の憶測でしかないのだが、やはりコルネちゃんはコルネちゃんなりに、帰りの飛行船内での話に思う所があったのだろう。
帰宅後に行われた、我が家の女性だらけの会議という名のコルネちゃんの報告会にて、父さんの話と現実との違いを語った様で、その時に同席したナディア達が、昨夜のうちに再調査に出かけた…んじゃないかと思う。
確かにコルネちゃん達が指示せずとも、俺もそう言っただろうから、特にそれについては問題ない。
この大陸の地図を作る為に走り回ったのは、ナディア達と蜂達なのだから、再調査も同じメンバーの方が良いだろう。
だからと言って、俺に一言も無しに行かなくても良いとは思うけど…。
取りあえずは、彼女達が帰って来てから、もう一度山脈の向こうに付いては考えよう。
だが、まずは俺の口からも説明をするのが筋じゃないだろうか?
いや、帰宅して結構なお時間が過ぎてはいるんだが、そこは俺のスーパー会話術で何とかしてみせましょう!
「…ってのが、父さんの戦争の時の話と、あの山脈の向こう側の状況なんだ」
その日の晩飯の後、その場で俺の考えを話す事にしたのだ。
「なるほどね。コルネちゃんから話は聞いてはおりましたし、メリルさん達がナディアさん達を即座に再調査に向かわせた事からも、事の重大さは何となく認識はしてましたよ、トールちゃん」
母さんの微笑みが怖い。
「う、うん…母さんも、その時の戦争を知ってるんだから、何か感じた事とかある?」
「感じた事…違和感…今、思い出してみると確かに違和感というか疑問はあるわねえ」
ふむふむ…やはり当事者の意見は重要だ。
「あの時のヴァルナルって、本当に格好良く見えたのよ! 出会った時とは見違える様だったわ!」
いや、それ…違うから。
「お義母様…それはちょっとトール様の伺いたい事とは違う様な…」
うん、マチルダもそう思うよね、ね!
「え? ああ、そうね…んんっ! あの時の戦争の事ね。そうねえ…何故か敵が私達の住む街を急襲してきたのは、おかしいと言えばおかしいわよね」
「ん? それはどういう事?」
奇襲を仕掛ける事なんて、そう珍しくも無いと思うんだが。
「だって、最前線から私達住んでいた町までは、途中に街が3つもあったのよ? 間にあった街には被害が一つも無かったの。これって、よく考えたら変じゃないかしら」
それは確かに変だ…。
「母さんの住んでた街って、王国にとって重要な街だったとか、何か特殊な生産物があったとか…敵が狙う何かがあったんじゃ?」
敵国の重要拠点を先に潰すってのは、やっぱ戦争のセオリーだよな。
「いえ、ただの普通の街よ? イモと豆の一大産地とか言われてたけど、それってそんなに特殊な生産物?」
母さんの話によると、広大な畑一面にイモと豆が植えられてたとか。
「いや、それなら主食の麦畑とかがある地域を狙うな…」
「そうよねえ…あれって、何でだったのかしら。その所為で、母さんの父さんと母さん…つまりは、貴方やコルネちゃんユリアちゃんにとっての祖父母が亡くなったのよ。お父さんのご両親は、最前線に一番近い街だったせいで、もっと早くに…」
あ、ちょっと母さん泣きそう。
コルネちゃんや嫁ーずも、ハンカチで目元を抑えてるし…。
「そうだったよね…辛い事を思い出させてごめん…」
戦争って嫌いだ。
特に善良な市民が被害に遭う様な戦争は特に。
戦争したけりゃ、兵士だけでやれば良いんだ。
何の関係も無い市民を巻き込むなよな…。
「本当よね…。あの戦争で亡くなった人は大勢いるけれど………あら?」
何かを語り出そうとしていた母さんだったが、何か深く考え込み始めた。
「どうしたの、母さん」
「いえ、ちょっと思い出してたのだけれど…あの人が敵の大将首を討ち取ったのは、トールちゃんも知ってるわよね?」
子供の頃に何度も聞かされたから、いやって程に知っている。
「ああ、うん。知ってるけど…それで勲民になって領地を貰ったんだよね」
ま、王国の片隅の領地だけどさ。
「そうね、それは間違いないのだけれども…あの人が私と姉さんを助けるために駆けつけて、敵を蹴散らした勇姿は今でも忘れない…って、話が逸れたわね。あの人が敵をバッサバッサと切って捨ててたのだけれども、よく考えたら…敵の死体って、最後に父さんが討ち取った敵の大将首しか見ていないのよ」
『えっ!?』
この場の全員…つまりはユズユズとドワーフメイド衆を除く全員が、一斉に声をあげた。
「いえ、それも違うわね。良心を亡き者にした憎い仇だったから、あの人が敵の大将を討ち取った時に、すぐに見に行ったんだけど…どうにも顔を思い出せないのよ…敵の大将の…何かこう…記憶に靄が掛かっている様な…」
確かに敵の生首なんてモザイク案件間違いなしだけど、この肝っ玉母さんがそんな記憶に封をする様な事は無いだろう。
何かおかしいぞ?
倒した敵の姿が見えない事や、そもそも父さんが討ち取った憎い敵の大将の顔も分からないなんて事、あるんだろうか。
これは、本格的に怪しくなって来たぞ、おい!
帰宅後に行われた、我が家の女性だらけの会議という名のコルネちゃんの報告会にて、父さんの話と現実との違いを語った様で、その時に同席したナディア達が、昨夜のうちに再調査に出かけた…んじゃないかと思う。
確かにコルネちゃん達が指示せずとも、俺もそう言っただろうから、特にそれについては問題ない。
この大陸の地図を作る為に走り回ったのは、ナディア達と蜂達なのだから、再調査も同じメンバーの方が良いだろう。
だからと言って、俺に一言も無しに行かなくても良いとは思うけど…。
取りあえずは、彼女達が帰って来てから、もう一度山脈の向こうに付いては考えよう。
だが、まずは俺の口からも説明をするのが筋じゃないだろうか?
いや、帰宅して結構なお時間が過ぎてはいるんだが、そこは俺のスーパー会話術で何とかしてみせましょう!
「…ってのが、父さんの戦争の時の話と、あの山脈の向こう側の状況なんだ」
その日の晩飯の後、その場で俺の考えを話す事にしたのだ。
「なるほどね。コルネちゃんから話は聞いてはおりましたし、メリルさん達がナディアさん達を即座に再調査に向かわせた事からも、事の重大さは何となく認識はしてましたよ、トールちゃん」
母さんの微笑みが怖い。
「う、うん…母さんも、その時の戦争を知ってるんだから、何か感じた事とかある?」
「感じた事…違和感…今、思い出してみると確かに違和感というか疑問はあるわねえ」
ふむふむ…やはり当事者の意見は重要だ。
「あの時のヴァルナルって、本当に格好良く見えたのよ! 出会った時とは見違える様だったわ!」
いや、それ…違うから。
「お義母様…それはちょっとトール様の伺いたい事とは違う様な…」
うん、マチルダもそう思うよね、ね!
「え? ああ、そうね…んんっ! あの時の戦争の事ね。そうねえ…何故か敵が私達の住む街を急襲してきたのは、おかしいと言えばおかしいわよね」
「ん? それはどういう事?」
奇襲を仕掛ける事なんて、そう珍しくも無いと思うんだが。
「だって、最前線から私達住んでいた町までは、途中に街が3つもあったのよ? 間にあった街には被害が一つも無かったの。これって、よく考えたら変じゃないかしら」
それは確かに変だ…。
「母さんの住んでた街って、王国にとって重要な街だったとか、何か特殊な生産物があったとか…敵が狙う何かがあったんじゃ?」
敵国の重要拠点を先に潰すってのは、やっぱ戦争のセオリーだよな。
「いえ、ただの普通の街よ? イモと豆の一大産地とか言われてたけど、それってそんなに特殊な生産物?」
母さんの話によると、広大な畑一面にイモと豆が植えられてたとか。
「いや、それなら主食の麦畑とかがある地域を狙うな…」
「そうよねえ…あれって、何でだったのかしら。その所為で、母さんの父さんと母さん…つまりは、貴方やコルネちゃんユリアちゃんにとっての祖父母が亡くなったのよ。お父さんのご両親は、最前線に一番近い街だったせいで、もっと早くに…」
あ、ちょっと母さん泣きそう。
コルネちゃんや嫁ーずも、ハンカチで目元を抑えてるし…。
「そうだったよね…辛い事を思い出させてごめん…」
戦争って嫌いだ。
特に善良な市民が被害に遭う様な戦争は特に。
戦争したけりゃ、兵士だけでやれば良いんだ。
何の関係も無い市民を巻き込むなよな…。
「本当よね…。あの戦争で亡くなった人は大勢いるけれど………あら?」
何かを語り出そうとしていた母さんだったが、何か深く考え込み始めた。
「どうしたの、母さん」
「いえ、ちょっと思い出してたのだけれど…あの人が敵の大将首を討ち取ったのは、トールちゃんも知ってるわよね?」
子供の頃に何度も聞かされたから、いやって程に知っている。
「ああ、うん。知ってるけど…それで勲民になって領地を貰ったんだよね」
ま、王国の片隅の領地だけどさ。
「そうね、それは間違いないのだけれども…あの人が私と姉さんを助けるために駆けつけて、敵を蹴散らした勇姿は今でも忘れない…って、話が逸れたわね。あの人が敵をバッサバッサと切って捨ててたのだけれども、よく考えたら…敵の死体って、最後に父さんが討ち取った敵の大将首しか見ていないのよ」
『えっ!?』
この場の全員…つまりはユズユズとドワーフメイド衆を除く全員が、一斉に声をあげた。
「いえ、それも違うわね。良心を亡き者にした憎い仇だったから、あの人が敵の大将を討ち取った時に、すぐに見に行ったんだけど…どうにも顔を思い出せないのよ…敵の大将の…何かこう…記憶に靄が掛かっている様な…」
確かに敵の生首なんてモザイク案件間違いなしだけど、この肝っ玉母さんがそんな記憶に封をする様な事は無いだろう。
何かおかしいぞ?
倒した敵の姿が見えない事や、そもそも父さんが討ち取った憎い敵の大将の顔も分からないなんて事、あるんだろうか。
これは、本格的に怪しくなって来たぞ、おい!
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