システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
887 / 1,466

はんつけ

しおりを挟む
 何故だろう。 

 その日の嫁ーずは、とっても優しかった。
 晩飯の時も、何故か全員がニコニコしていた。
 そして寝ようとして寝室へと向かったのだが、誰もベッドへと乱入してくる者は居なかった。
 おかしい…静かすぎる。
 いや、別に乱入されて、あんな事やこんな事をしたいとか思ってるわけじゃないぞ?
 嫌いじゃなけど…そりゃ、俺だって色々と滾るし溜まっちゃう青少年だから、そりゃ嫌いじゃないです…はい。
 どっかの異世界物の小説とかみたいに、エッチなシーンだって、本当はてんこ盛りでお届けしたいとか思ってますよ。
 でも、何故か本日…今夜に限っては、何故かとっても静かなのです…何故だろう?
 とにかく、俺はとっても静かで健全な夜を過ごしたのだった。
 こんなに優しい(普通とも言う)嫁ーずは、新婚初期の頃以来かもしれない…。

 それはそれとして、サラとリリアさんは、どこ行ったんだ?

 さて、翌朝。
 いつもの如く、清冽な朝の空気を胸いっぱいに吸い込みつつ、朝の鍛錬を行った。
 これまたいつもの如く、イネスが俺に少し遅れてやって来て、特に言葉を交わすわけでも無く、すぐ隣で剣を振っていた。
 ただ、時折チラチラと俺へと視線を送っていたのだが、怒ってるわけでも悲しんでいるわけでもなく、ただチラチラと見ていた。
 屋敷の窓にもいつもの嫁ーずの姿が見えたが、誰もが俺を優しい目で見つめていた。

 俺が朝食の場に姿を現すと、とても良い笑顔の嫁ーずと、コルネちゃん、ユリアちゃん、そして母さんがいた。
 やっぱりサラとリリアさんも姿を見せなかったのだが、ナディアにアーデ、アーム、アーフェン達も姿が見えない。
 ユズユズとドワーフメイド衆は…いる。
 何で彼女達は姿を見せないんだ? どこかに行ってるんだろうか。
 そうだよ、どっかに行ってるんだよ! そういう事にしておこう!
 考えるの面倒くさいし。
 んで、何で嫁ーずはニコニコしてんだ?
 朝食の場はとっても和やかだったのだが、俺の心中は色々な物がぐーるぐると、どっかの香取の線香みたいに渦巻いていた。

 朝食後、俺は玄関ホールでいつもの如くのんびりと昼寝(朝寝?)をしている、ブレンダーとクイーンとノワールをなでなで。
 最近、さっぱり戦闘も無く、ブレンダーもクイーンもだらけ切っている。
 ノワールは元々モフリーナとの連絡役だったのだが、その役目も無くなったので、こいつもだらけまくっている。
 あれ? そういや、クイーン以外の蜂達って、どこ行ったんだろ?
 クイーン、蜂達は? え、ナディア達に連れられてどっか行った?
 ああ、なるほど…ナディア達は蜂達を連れて出かけているのか。
 お散歩かな? あ、大樹に行ってるのかもしれないな。
 でも、何で蜂達を連れて行ったんだろう…護衛? は、必要ないだろうし。
 ま、いいや。
 そんで、君達に聞きたいんだけど、サラとリリアさんがどこ行ったか知らない?
 あ、知らないのか。え、昨日は見た?
 そっか、ありがと。
 ナディア達は散歩に行ってるとして、サラとリリアさんはどこ行ったんだろうなあ…。

 居たら居たで五月蠅くて迷惑ばっか掛けるサラだけど、居ないとちょっと寂しい…かもしれない。
 あんな駄メイドでも、居ないと寂しく感じるなんて、それだけ我が家に馴染んだって事かもしれないな。
 リリアさんとは、まだそんなに長くは無い(とは言え、数年の付き合い)けど、サラとはもう7年? 8年? ぐらいの付き合いだ。
 あんな絶壁でアホで成長しないお調子者でサボりまくりの駄メイドでも、我が家の良いムードメーカーなんだな。
 まあ、その内帰ってくるだ…
「だーれーがー、絶壁でアホで成長しないお調子者でサボりまくりの駄メイドですかーーー!」
「うぉ! いきなり出てくるな! びっくりするだろうが、この粗忽メイド!」
 俺の後ろに立つな!
「まあ、貴方様の仰っている事も、概ね間違いではありませんが…」
「おお、リリアさん! 姿を見なかったから、心配したよ」
「それは申し訳ございません」「ちょ! 私は!?」
 ちょっとサラは黙ってろ! 今はリリアさんと話してるんだから。
「それで、リリアさんはどこに行ってたん?」
「実は管理局の仕事で、少々出かけておりまして、先ほど戻ってきた所なのです」「…えっと、私には聞かないんですか?」
 何かサラが言ってる気がするけど、無視だ。
「なる程…そっちの仕事か。多分、俺には言えない事も有るんだろうから、まあいいよ。皆に、ネス様の仕事でたまに出かけるって言っておくんで、もしもそっち系の仕事で邸から姿を消す時は誰かに言っといてね」
「ご配慮、有難うございます。もし今後同様の事がありましたら、どなたかに伝言いたします」「…大河さん、私に冷たくね?」
 うんうん、そうしてくれたら有り難い。
 ところで、ナディア達の姿が見えないんだけど、何か知ってる? あ、知らないんだ。  
 まあ、それは別に良いや。
 どうしても連絡しなければならない用事がある分けでも無いし。

「…………」
 気付くと、サラが体操座りして、何やら床にのの字を書いていた。
 そこ、大理石っぽい材質だから、お尻冷えるよ?  
 ま、次からは下痢ピー駄メイドと呼べばいいか。
「誰が、下痢ピー駄メイドかー! 私を、はんつけにすんなー!」
「半けつ?」「はみけつですか?」
 俺がとリリアさんがサラの叫びに首を捻ると、
「ちゃうわ! はみけつだー! 仲間はずれって意味だよ!」
 そんなん知ってるわけ無いやん。
 せめて、はみごって言ってくれ。
「私はてっきり、パンツからケツがはみ出ているのかと思いました」
「あ、俺は半分だけケツがパンツから出てるのかと!」
「ですよね~!」「だよな~!」
 俺はリリアさんと2人で深く頷いた。
「だーかーらー! 私も仲間にいれろーーーー!」
 玄関ホールでは、とっても声が響くので、大声を出すのは止めましょう。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...