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好きなだけお食べ
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翌日、王都を出発する朝の事。
俺はいつも通りに起き、身支度を整え、朝食を頂き、そしてコルネちゃん、ユリアちゃんと共に、王都の父さんの邸を騎士さん操車による馬車で練兵場へと出立した…らしい。
実は、全然覚えていないのだ。
俺の記憶は、ホワイト・オルター号で大勢の人に見送られて、空へと飛び立った後からの事。
それまでに起こっていた事や俺の行動、言動は、全部コルネちゃんから聞いた話で、記憶の片隅にも残っちゃいねえ。
どうやら、俺はずっと難しい顔をしていたらしい。
ホワイト・オルター号のコックピットで我を取り戻した俺は、後ろで俺を見つめる愛しい妹達の座るソファーへと向かった。
腰を落ち着けたところで、コルネちゃんが言うには、
「何を話しかけても、お兄さまは生返事ばかりでした」
だ、そうです。
「とても難しい…そう、普段とは違って、何か真剣に考えている様なお顔でした」
普段とは違ってって…どゆいみ?
「昨晩のお父さまとのお話の後から、何かずっと考えている様な、大きな悩みを抱えている様な…」
ああ、うん…確かに色々と考え込んじゃってたかもね。
「はっ! まさか、あのお邸のメイドのどなたかを見染められて、口説き方を考えていらっしゃったとか!?」
「ちゃうわ!」
コルネちゃんって、ほっとくとたまに暴走するよな…。
「では、何をお考えになっておられたのですか?」
言っても良いんだろうか、愛する妹に…。
「おにいちゃん、ここにおっきなしわつくってかんがえこんでた!」
コルネちゃんとの会話の最中、ユリアちゃんが可愛らしく眉間を人差し指で指し乍ら、むぅ~~っと唸っていた。
「そんな顔してたか? ごめんごめん。ちょっと考え事をしていてね」
ユリアちゃんにまで、心配かけちゃってたか。
「お兄さま…それで、どの様な悩み事なのですか? まさか、第5王女様に懸想などしておられませんわよね?」
だーかーらー! 何でそっち方面に俺の悩みを持って行こうとするかな、コルネちゃんは。
俺って、そんなに好色家に見えるのか?
「違うって…。まあ、コルネちゃん達にも関係が無いって事も無いから、言っても良いかもしれないな…」
俺が考えていた事を話そうとすると、コルネちゃんがユリアちゃんに何やら小声で囁いた。
「やっぱり、新しい義姉さまが出来るみたいです…」「おねえちゃんがふえるの?」
ちょ、何を囁いてんだよ!
「だーかーらー! そこから離れなさいって!」
何で不満顔なんだよ、コルネちゃん。
もしかして、あの5人だけだと不満なの? 新しい義姉が欲しいの?
いや、俺は5人で手いっぱいだから…。
「あっ、分りました! ユリアちゃん…とうとう、ナディア達がお兄さまの毒牙にかかる時がきたのです…」「どくが? がにどくがあるの?」「その蛾じゃなくて…」
大暴走しやがった!
「コルネちゃん、それは言ってはいけない。俺も忘れようとしてるんだから! ってか、ちょっとそっち方面から思考を切り替えような!」
ほんと、我が妹ながら怖いわ…色々と…。
「それで、私達にも関係あるというのは?」
今度は真面目な顔で(さっきまでも真面目そうだったが…)、俺の話を聞く体勢になるコルネちゃん。
ユリアちゃんも真似っこしてはいるが、いつの間にかお皿に盛られたクッキーが気になる様だ。
うん、食べていいよ…好きなだけお食べ。
「ああ、その話だったな。コルネちゃんは、昨日の父さんとの話は覚えてるよな」
クッキーを頬張るユリアちゃんの隣で、背筋をきっちり伸ばして座るコルネちゃんに確認する。
「ええ、確か若かりし頃のお母さまに、だんだん私が似て来ているとか…嬉しかったです」
そこか! 覚えているのは、そこなのかよ!
「ああ、それも有ったけど、俺が気になっているのは、そこじゃない」
「ま、まさかお兄さま! お父さまの様に、私の胸の大きさを…」
さっと両手で胸を隠すコルネちゃんに、思わずズッコケそうになった。
「いや、ちいさ…じゃなくて、それも違うから!」
「今、小さいと言い掛けましたわよね? ですわよね!?」
話が進まん! 父さん、なんて土産を残しやがったんだ!
「そんな事は無いぞ! コルネちゃんは、絶賛成長期なんだから、これから背もごにょごにょ…も、まだまだ成長する!」
俺も、何言ってんだろうね…。
「本当ですか?」
「本当です! 女神ネス様に誓って、本当です!」
全然、話が進まん!
「おにいちゃん、おねえちゃん…あのね、あのね…」
そんな時に、ユリアちゃんが、もじもじしながら何かを言いたそうにしていた。
「どうした?」「どうしたの、ユリアちゃん」
すると、上目遣いで俺とコルネちゃんを交互に見たユリアちゃんは、大決心したかのように、こう言った。
「くっきーのおかわりちょうだい」
ずこーーーーー!
吉本〇喜劇じゃないけど、俺とコルネちゃんは、思いっきりズッコケた。
俺はいつも通りに起き、身支度を整え、朝食を頂き、そしてコルネちゃん、ユリアちゃんと共に、王都の父さんの邸を騎士さん操車による馬車で練兵場へと出立した…らしい。
実は、全然覚えていないのだ。
俺の記憶は、ホワイト・オルター号で大勢の人に見送られて、空へと飛び立った後からの事。
それまでに起こっていた事や俺の行動、言動は、全部コルネちゃんから聞いた話で、記憶の片隅にも残っちゃいねえ。
どうやら、俺はずっと難しい顔をしていたらしい。
ホワイト・オルター号のコックピットで我を取り戻した俺は、後ろで俺を見つめる愛しい妹達の座るソファーへと向かった。
腰を落ち着けたところで、コルネちゃんが言うには、
「何を話しかけても、お兄さまは生返事ばかりでした」
だ、そうです。
「とても難しい…そう、普段とは違って、何か真剣に考えている様なお顔でした」
普段とは違ってって…どゆいみ?
「昨晩のお父さまとのお話の後から、何かずっと考えている様な、大きな悩みを抱えている様な…」
ああ、うん…確かに色々と考え込んじゃってたかもね。
「はっ! まさか、あのお邸のメイドのどなたかを見染められて、口説き方を考えていらっしゃったとか!?」
「ちゃうわ!」
コルネちゃんって、ほっとくとたまに暴走するよな…。
「では、何をお考えになっておられたのですか?」
言っても良いんだろうか、愛する妹に…。
「おにいちゃん、ここにおっきなしわつくってかんがえこんでた!」
コルネちゃんとの会話の最中、ユリアちゃんが可愛らしく眉間を人差し指で指し乍ら、むぅ~~っと唸っていた。
「そんな顔してたか? ごめんごめん。ちょっと考え事をしていてね」
ユリアちゃんにまで、心配かけちゃってたか。
「お兄さま…それで、どの様な悩み事なのですか? まさか、第5王女様に懸想などしておられませんわよね?」
だーかーらー! 何でそっち方面に俺の悩みを持って行こうとするかな、コルネちゃんは。
俺って、そんなに好色家に見えるのか?
「違うって…。まあ、コルネちゃん達にも関係が無いって事も無いから、言っても良いかもしれないな…」
俺が考えていた事を話そうとすると、コルネちゃんがユリアちゃんに何やら小声で囁いた。
「やっぱり、新しい義姉さまが出来るみたいです…」「おねえちゃんがふえるの?」
ちょ、何を囁いてんだよ!
「だーかーらー! そこから離れなさいって!」
何で不満顔なんだよ、コルネちゃん。
もしかして、あの5人だけだと不満なの? 新しい義姉が欲しいの?
いや、俺は5人で手いっぱいだから…。
「あっ、分りました! ユリアちゃん…とうとう、ナディア達がお兄さまの毒牙にかかる時がきたのです…」「どくが? がにどくがあるの?」「その蛾じゃなくて…」
大暴走しやがった!
「コルネちゃん、それは言ってはいけない。俺も忘れようとしてるんだから! ってか、ちょっとそっち方面から思考を切り替えような!」
ほんと、我が妹ながら怖いわ…色々と…。
「それで、私達にも関係あるというのは?」
今度は真面目な顔で(さっきまでも真面目そうだったが…)、俺の話を聞く体勢になるコルネちゃん。
ユリアちゃんも真似っこしてはいるが、いつの間にかお皿に盛られたクッキーが気になる様だ。
うん、食べていいよ…好きなだけお食べ。
「ああ、その話だったな。コルネちゃんは、昨日の父さんとの話は覚えてるよな」
クッキーを頬張るユリアちゃんの隣で、背筋をきっちり伸ばして座るコルネちゃんに確認する。
「ええ、確か若かりし頃のお母さまに、だんだん私が似て来ているとか…嬉しかったです」
そこか! 覚えているのは、そこなのかよ!
「ああ、それも有ったけど、俺が気になっているのは、そこじゃない」
「ま、まさかお兄さま! お父さまの様に、私の胸の大きさを…」
さっと両手で胸を隠すコルネちゃんに、思わずズッコケそうになった。
「いや、ちいさ…じゃなくて、それも違うから!」
「今、小さいと言い掛けましたわよね? ですわよね!?」
話が進まん! 父さん、なんて土産を残しやがったんだ!
「そんな事は無いぞ! コルネちゃんは、絶賛成長期なんだから、これから背もごにょごにょ…も、まだまだ成長する!」
俺も、何言ってんだろうね…。
「本当ですか?」
「本当です! 女神ネス様に誓って、本当です!」
全然、話が進まん!
「おにいちゃん、おねえちゃん…あのね、あのね…」
そんな時に、ユリアちゃんが、もじもじしながら何かを言いたそうにしていた。
「どうした?」「どうしたの、ユリアちゃん」
すると、上目遣いで俺とコルネちゃんを交互に見たユリアちゃんは、大決心したかのように、こう言った。
「くっきーのおかわりちょうだい」
ずこーーーーー!
吉本〇喜劇じゃないけど、俺とコルネちゃんは、思いっきりズッコケた。
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