システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
881 / 1,466

全部は帰ってから

しおりを挟む
 父さんの昔語りを一通り聞いた、俺とコルネちゃん。
 その日は王都の父さんの邸に泊まる事になった。
 いや、予定通りなんだけどね。
 俺は用意された来客用の寝室に、コルネちゃんはユリアちゃんを連れて自室へと向かった。
 コルネちゃんが、どう母さんに報告したのか、父さんに通信させたのかは、俺は知らん!
 下手にそんな事に首を突っ込んで巻き込まれたくないからな。
 だから、俺は『おやすみ』とだけ言って、さっさと2人(ユリアちゃんはメイドさんが抱っこしていった)と別れたのだった。

 準備された寝室にはシャワーブースが設置されているので、寝る前に軽く汗を流してすっきりとする事にした。
 このシャワーって、俺の居る寝室よりも高い階でお湯を沸かして壁の中のパイプを通じて流しているだけ。
 本当は、呪法具か魔道具で作成した物を設置したかったのだが、元々のこの邸の持ち主のこだわりで造られた物だとかで、改装はあまり歓迎されなかった。
 使用人さん達の仕事の負担を少しでも減らしたかったのだが、たまの来客の為なのだから、そこまで負担とは感じないそうだ。
 この邸を管理してくれている使用人さん達が、負担に感じて無いんだったら、まあいいか。
 ちなみに、父さん達家族や使用人さん達の使う浴場には、しっかりと魔道具でお湯を出せるようになっている。

 さて、汗を流し着替えも終えた俺は、来客用の為のベッドに飛び込んだ。
 皺も染みも無く、綺麗に洗濯されたシーツと枕。
 そしてしっかりと干された布団から、お日様の匂いがするベッド。
 いや、待てよ…お日様の匂いじゃ無くて、ダニが死んだ臭いとか聞いた事もある。
 真相は知らんけど、あんまり匂いを嗅ぐのは止めておこう。
 とか考えながら、俺はごろんと転がり天井を見上げた。
 さて、さっきの父さんの話で気になる所があった。
 いや、フラグといっても過言ではない、あの話。
 王国の北に位置し、遠く雄大に広がる山脈。
 あの向こうに、父さんや母さんが若かりし頃に攻め入って来た、まだ俺が知らない国。
 その国の名前は、どうにも気になるアルコーン国。
 確か、俺の記憶が確かであるならば、偽の神様とか悪魔とかって意味のギリシャ神話の言葉だったはず。
 もしかしたら違うかもしれないけど、アイオーンが神って意味だったから、多分間違ってても近い意味だと思う。
 しかも全員が羽が生えてるって、それって本当に鳥の獣人なんだろうか。
 そして驚愕すべきは、まだこの世界で見た事も無い銃や手榴弾の存在。
 いや、前世でも本物は見た事ないけど…。
 
 そんな武器を携えてグーダイド王国に攻め入って来たというアルコーン国は、俺の祖父母の仇の国でもある。
 アルコーン国の国民全てが仇とは思わないが、そもそも攻め入って来ていなければ、まだ存命だったかもしれない。
 そう考えてしまうと、何ともやりきれない気持ちになるのは許して欲しい所だ。
 さて、問題は銃と手榴弾だ。
 約20年前に実用化され、量産され、そしてそれを兵士全員に持たせる…国力的にはかなり高いのでは無いだろうか。
 それを押し返した所か、銃弾が降り注ぐ戦場を生身で駆け抜け、敵の将兵を討ち取った父さんって…化け物?
 父さんが化け物ってのは、今に始まった事じゃないけど、それよりもアルコーン国の事だ。
 どうやってあの山脈を越えて来たんだ? 移動手段は何だ? まさか飛んで来たのか?
 いや、何故山脈を越えて攻め入って来たんだ?  その理由は?
 そして最大の問題は、アルコーン国がグーダイド王国に攻め入るのを、本当に止めたのかって事。
 もしも、まだこの国を狙っているとしたら…。
 そして、さらに進化した銃器や武器類を大量生産していたら?
 考えは尽きない…。 
 
 でも、父さんのあの話って、絶対にフラグだよな。
 この先…いや、近い将来、アルコーン国ってのが我が国に攻め入って来るって事なのかな。
 う~~む…今の我が国の戦力で言えば、そうそう簡単に負ける事は無いはずだ。
 いや、大抵の敵には勝てるはずだ…が、空を飛ぶ敵ってのは、ちょっと厄介だな。
 戻ったら、ちょっとその辺を考えてみるか。
 面倒な敵だったりするのなら、サラかリリアさんが教えてくれるはずだしな。
 アルコーン国か…ん? ちょっと待てよ。
 確か、以前にナディアやアーデ、アーム、アーフェンが作ってくれたこの大陸の地図に、そんな国はなかったはずだぞ?
 あの山脈の向こうは…えっと…何があったっけ。
 帰ったら最初に確認する必要があるな。
 それと武器…は、ユズカ提唱の例のミサイルとか火炎放射器の製造も進めるべき…かもしれない。
 ま、全部は帰ってからだな。
 今日の所は寝てしまおうかな。 
 明日は、朝早くに出発だからな。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...