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だけど、父さん…
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父さんの2度目の正座も、何とかコルネちゃんの許しを得る事が出来て解放された…良かったね、父さん…。
まあ、今度こそゆっくりお茶だ。
ちなみに、コルネちゃんの説教の間中、ユリアちゃんはお寝んねしたままだ。
意外と神経太いね、ユリアちゃんってば…。
さて、お茶といっても何か目新しい話題がある分けでも無く、しかもお寝んね中のユリアちゃんの邪魔も出来ない。
そんな状況だからか、自然に身内の話が話題になって行く。
最初は、俺の邸での母さんの事とか、王女様との無理やりの契約の事とかで笑い合っていたのだが、何気に俺が聞いたのがいけなかった。
「そう言えば、母さんと父さんは昔の戦争の時に出会ったんだよね?」
何気ない、俺のこの一言がいけなかったのだろう。
「ああ、そうだぞ。出会った時、父さんと母さんはまだ15歳だった。あの頃の母さんは、そうりゃ~もう、輝きまくっていた」
父さんの熱の入った母さん語りが始まてしまった…。
「当時の母さんは、そりゃぁもう、言い寄る男が絶えないぐらいの超美人でな。しかもスタイル抜群だったんだよ」
そこで、チラッとコルネちゃん(の胸辺り)を見る父さん。
「お父さま、何か?」
だから、それがセクハラって思われる行動なんだよ! ちょっとは勉強しろ、クソ親父!
「い、いや…コルネは母さんに似て美人だなっ…と思ってな」
それを聞いたコルネちゃんは、ちょっと嬉しそう。
誤魔化せたのか? 乗り切れたか?
「お母さまに似ていると言われると、とっても嬉しいです。でも、さっき私の胸を見ましたわよね?」
誤魔化せて無かった!
「そ、そんな事は無いぞ! きっとコルネはこれから大きくな…………あっ!」
父さん、何を自爆してんだよ!
「お父さま、後程お母さまに連絡をしますので、その時に通信を代わって頂いてもよろしでしょうか?」
めっちゃ微笑んでるのに、目だけが激怒してるコルネちゃん……怖いよ!
「あ、うん…はい…」
また父さんが小さくなっちゃったけど、俺はフォローせんからな。
とは言え、父さんのセクハラは今に始まった事じゃないから、ここはサラッと流して話を続けよう。
「まぁまぁ、コルネちゃん落ち着いて。父さんは、あとで母さんに厳しくお説教してもらおう」
何とかコルネちゃんを宥めないとね。
「ええ、そうですわね…お兄さま。お父さま、覚悟しておいてくださいね」
「あ、ああ…うん…」
父さん、涙目…。
良し、これで一旦終了だ。
雰囲気を変える為にも、何か話題転換しないと…、おっと、そうだ!
「えっと…そうだ、その母さんと出会った時の戦争で、父さんと母さんの両親が亡くなったんだよね」
話題を戻そう。
「あ? ああ、うん…そうだな。あの戦争の最中に、俺と母さんの両親の住んでた街に敵が雪崩れ込んでな…」
その話には、流石にコルネちゃんも、少しだけしんみり。
「母さん達が住む街に急いで駆けつけたんだが、間に合わなくてな。父さん悔しくて悔しくて…。亡くなったご両親の横で、母さんとお義姉さんが抱き合って泣いていたよ。あの姿は、一生忘れる事は出来ないだろうな」
母さんのお姉さんって事は、マチルダの母親で、俺の伯母さんだな。
「父さんのご両親は、いつ?」
「ああ、その少し前だ。父さん達一家は、母さんの隣の領に住んでたんだが、そっちもほぼ同時に襲われたんだ。父さんは最前線で戦ってたんで、どちらも間に合わなかったよ…」
当時を思い出しているのか、父さんは目を閉じて少しだけ上を向いていた。
もしかして涙が溢れるのを堪えてるのかもしれない。
俺もコルネちゃんも、ただ黙って父さんの気持ちが落ち着くのを待った。
「そう言えば、その戦争の相手国って、この前の例の馬鹿皇帝との戦争の時に滅んだでしょう? 父さんも少しはすっきりしたんじゃない?」
あの、個性的なダンジョンマスター達との出会いと、中二病の馬鹿皇帝に、おっそろしい化け物との戦いは、多くの国を巻き込んだが、結局は俺達が薙ぎ払って終結したんだから、きっと父さん母さんの両親を亡き者にした敵国ってのも消滅しただろう。
「ん? ああ…この前の戦争か。いや、俺達の両親を屠ったのは全然別の国だぞ?」
「「えっ!?」」
これには、流石に俺もコルネちゃんもビックリ!
「この国の北東に山脈があるの知ってるか?」
父さんの言葉に、俺とコルネちゃんは無言で頷いた。
「あの山脈の向こうにある、アルコーン国が俺達の戦ってた敵だ」
知らん国名が出て来た!
「どうやってかは知らないが、ある日突如、あの山脈を越えてグーダイド王国に大軍が攻め入って来たんだ。どうやら鳥系の獣人の国らしく、全員背中に羽が生えていたなあ」
鳥系の獣人かぁ…。
ん? ちょっと待てよ?
アルコーンって、どっかで聞いたような気が…この世界…じゃない、前世の記憶か…な?
あ、もしかして、例の俺の愛読書でもあった、月間ム〇の隅っこに記載されていた、あのギリシャ神話での地上の支配者の事じゃないのか?
確かギリシャ神話の中で天上にいる神がアイオーンで、地上の偽の神がアルコーン…だっけ?
「奴らは強かったぞ…全員が魔法としか思えない火を噴く筒を持っていてな。派手で大きな音と共に、バッタバッタと味方が倒れていったんだ。まあ、父さんの鋼の肉体には通用しなかったけどな」
「火を噴く筒…か…」
父さんの話の中に出て来た、火を噴く筒。
もしかして、それって禁断の銃じゃないのか?
「あとは、何か投げたと思ったら、それが爆発したりな。結局、ガッチリ防具を身に纏った騎士で敵を屠ったり追い払ったんだ」
投げて爆発って…手榴弾?
「だが、あれからもう20年近く経ってるんだなあ…。まあ、また攻めて来ても、ネス様とお前達がいる。だから怖くないし、今度こそ大切な人だけでなく、この国も味方をしてくれる周辺の国も、力を合わせて守り抜こう」
父さんが力強くそう宣言した。
その姿は、先程までセクハラで正座で説教を受けていた姿とはほど遠く、凛々しく且つ雄々しかった。
さっきまでの情けない表情など吹き飛ぶかのような、その顔は引き締まっていた。
だけど、父さん…一言言っていいかな?
それ、絶対にフラグだから…。
まあ、今度こそゆっくりお茶だ。
ちなみに、コルネちゃんの説教の間中、ユリアちゃんはお寝んねしたままだ。
意外と神経太いね、ユリアちゃんってば…。
さて、お茶といっても何か目新しい話題がある分けでも無く、しかもお寝んね中のユリアちゃんの邪魔も出来ない。
そんな状況だからか、自然に身内の話が話題になって行く。
最初は、俺の邸での母さんの事とか、王女様との無理やりの契約の事とかで笑い合っていたのだが、何気に俺が聞いたのがいけなかった。
「そう言えば、母さんと父さんは昔の戦争の時に出会ったんだよね?」
何気ない、俺のこの一言がいけなかったのだろう。
「ああ、そうだぞ。出会った時、父さんと母さんはまだ15歳だった。あの頃の母さんは、そうりゃ~もう、輝きまくっていた」
父さんの熱の入った母さん語りが始まてしまった…。
「当時の母さんは、そりゃぁもう、言い寄る男が絶えないぐらいの超美人でな。しかもスタイル抜群だったんだよ」
そこで、チラッとコルネちゃん(の胸辺り)を見る父さん。
「お父さま、何か?」
だから、それがセクハラって思われる行動なんだよ! ちょっとは勉強しろ、クソ親父!
「い、いや…コルネは母さんに似て美人だなっ…と思ってな」
それを聞いたコルネちゃんは、ちょっと嬉しそう。
誤魔化せたのか? 乗り切れたか?
「お母さまに似ていると言われると、とっても嬉しいです。でも、さっき私の胸を見ましたわよね?」
誤魔化せて無かった!
「そ、そんな事は無いぞ! きっとコルネはこれから大きくな…………あっ!」
父さん、何を自爆してんだよ!
「お父さま、後程お母さまに連絡をしますので、その時に通信を代わって頂いてもよろしでしょうか?」
めっちゃ微笑んでるのに、目だけが激怒してるコルネちゃん……怖いよ!
「あ、うん…はい…」
また父さんが小さくなっちゃったけど、俺はフォローせんからな。
とは言え、父さんのセクハラは今に始まった事じゃないから、ここはサラッと流して話を続けよう。
「まぁまぁ、コルネちゃん落ち着いて。父さんは、あとで母さんに厳しくお説教してもらおう」
何とかコルネちゃんを宥めないとね。
「ええ、そうですわね…お兄さま。お父さま、覚悟しておいてくださいね」
「あ、ああ…うん…」
父さん、涙目…。
良し、これで一旦終了だ。
雰囲気を変える為にも、何か話題転換しないと…、おっと、そうだ!
「えっと…そうだ、その母さんと出会った時の戦争で、父さんと母さんの両親が亡くなったんだよね」
話題を戻そう。
「あ? ああ、うん…そうだな。あの戦争の最中に、俺と母さんの両親の住んでた街に敵が雪崩れ込んでな…」
その話には、流石にコルネちゃんも、少しだけしんみり。
「母さん達が住む街に急いで駆けつけたんだが、間に合わなくてな。父さん悔しくて悔しくて…。亡くなったご両親の横で、母さんとお義姉さんが抱き合って泣いていたよ。あの姿は、一生忘れる事は出来ないだろうな」
母さんのお姉さんって事は、マチルダの母親で、俺の伯母さんだな。
「父さんのご両親は、いつ?」
「ああ、その少し前だ。父さん達一家は、母さんの隣の領に住んでたんだが、そっちもほぼ同時に襲われたんだ。父さんは最前線で戦ってたんで、どちらも間に合わなかったよ…」
当時を思い出しているのか、父さんは目を閉じて少しだけ上を向いていた。
もしかして涙が溢れるのを堪えてるのかもしれない。
俺もコルネちゃんも、ただ黙って父さんの気持ちが落ち着くのを待った。
「そう言えば、その戦争の相手国って、この前の例の馬鹿皇帝との戦争の時に滅んだでしょう? 父さんも少しはすっきりしたんじゃない?」
あの、個性的なダンジョンマスター達との出会いと、中二病の馬鹿皇帝に、おっそろしい化け物との戦いは、多くの国を巻き込んだが、結局は俺達が薙ぎ払って終結したんだから、きっと父さん母さんの両親を亡き者にした敵国ってのも消滅しただろう。
「ん? ああ…この前の戦争か。いや、俺達の両親を屠ったのは全然別の国だぞ?」
「「えっ!?」」
これには、流石に俺もコルネちゃんもビックリ!
「この国の北東に山脈があるの知ってるか?」
父さんの言葉に、俺とコルネちゃんは無言で頷いた。
「あの山脈の向こうにある、アルコーン国が俺達の戦ってた敵だ」
知らん国名が出て来た!
「どうやってかは知らないが、ある日突如、あの山脈を越えてグーダイド王国に大軍が攻め入って来たんだ。どうやら鳥系の獣人の国らしく、全員背中に羽が生えていたなあ」
鳥系の獣人かぁ…。
ん? ちょっと待てよ?
アルコーンって、どっかで聞いたような気が…この世界…じゃない、前世の記憶か…な?
あ、もしかして、例の俺の愛読書でもあった、月間ム〇の隅っこに記載されていた、あのギリシャ神話での地上の支配者の事じゃないのか?
確かギリシャ神話の中で天上にいる神がアイオーンで、地上の偽の神がアルコーン…だっけ?
「奴らは強かったぞ…全員が魔法としか思えない火を噴く筒を持っていてな。派手で大きな音と共に、バッタバッタと味方が倒れていったんだ。まあ、父さんの鋼の肉体には通用しなかったけどな」
「火を噴く筒…か…」
父さんの話の中に出て来た、火を噴く筒。
もしかして、それって禁断の銃じゃないのか?
「あとは、何か投げたと思ったら、それが爆発したりな。結局、ガッチリ防具を身に纏った騎士で敵を屠ったり追い払ったんだ」
投げて爆発って…手榴弾?
「だが、あれからもう20年近く経ってるんだなあ…。まあ、また攻めて来ても、ネス様とお前達がいる。だから怖くないし、今度こそ大切な人だけでなく、この国も味方をしてくれる周辺の国も、力を合わせて守り抜こう」
父さんが力強くそう宣言した。
その姿は、先程までセクハラで正座で説教を受けていた姿とはほど遠く、凛々しく且つ雄々しかった。
さっきまでの情けない表情など吹き飛ぶかのような、その顔は引き締まっていた。
だけど、父さん…一言言っていいかな?
それ、絶対にフラグだから…。
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