システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
872 / 1,466

出てこーーーーーい!

しおりを挟む
 さて、王都と領地をとんぼ返りの旅とは言っても、全速力で王都に向かうほどでもない。
 昼前に領地を出発した、俺、コルネちゃん、ユリアちゃんの3人だが、本日は空の上でのんびりと1泊する予定だ。
 まあ、頭の卯色のこの辺に妖精が姿を隠して俺を監視してるだろうけどな…ここか? このへんか?
 手を振り回したところで、完璧に姿を消した妖精たちに当たることも無い…あ、当たった?
 うん、当たったな…だって、『ぷぎゃ!』って声が聞こえたし。
 でも姿を見せないとは、中々根性のあるやつだ。
「うむ、いかなるアクシデントがあろうとも姿を消し続けるその根性、素晴らしい!」
 とりあえず褒めてみた。
 すると、その瞬間から、妙に俺の頭や身体に纏わりつく気配が…妖精だな?
 ってか、褒めて欲しくて俺の手の届く範囲に集まったりしてないだろうな?
 おい、誰だ! 俺の服の中に潜り込もうとしてる奴は!
 ちょ、それは絶対に違うからな! 不意のアクシデントの時の話だぞ、褒めるのは! 
 お前ら、自分からアクシデントを起こそうとしてるだろ! それは絶対に違う!
 ってか、開き直ったのか? おい、もうここまでしてんだから、何とか言えよ!
 結局、誰も話さなかったが、結構な数の妖精さん達が俺を監視している事だけは判明した。
 シャワーの最中も、トイレの最中も、妖精たちはお構いなしに纏わりついてくる。
 服を脱いだ瞬間に、余計に纏わりついてきてる様に感じるのは、絶対に気のせいなんかじゃ無い。
 結局、その夜は早々にベッドに横になったわけなのだが…翌朝、俺の布団の中に、姿は見えずとも、ガラスで出来たガチャ玉の様な物が大量に転がっているところから察するに、絶対に妖精さん達がシールド張ったままで寝たんだと思う。
 姿を消してる意味無いんじゃないかなあ…それ。

 さて、このホワイト・オルター号での空の旅では、俺がコックさんをしている。
 前世で離婚してからというもの、自炊生活をしていた中年だった俺は、そこそこ料理も出来るのだ。
 とは言うものの、そんなに手の込んだ料理などできるわけもなく、ごく簡単なスープとか、頑張ってハンバーグもどきを作るぐらいだ。
 本当は、前世でも趣味の1つだった釣りで鍛えた魚捌きを見せたいところではあるが、あいにく今回は積み込んでいない。
 コルネちゃんやユリアちゃんに、『お兄さま、素晴らしい腕です!』『おにいちゃん、すっごーい!』と言ってもらいたかったが、それは次回のお楽しみとしよう。
 あ、王都からの帰りでもいいかな?
 でも、王都って内陸だから新鮮な海の幸とか手に入らないんだよなあ。
 池とか川とかの淡水魚だと、泥抜きしないとちょっと匂うしなあ…やっぱ帰ってからかな。
 往路では、昼と晩夕、翌朝の合計3回の食事となるのだが、そのどれもマイ・シスターズは喜んでくれてはいたが、俺が料理が出来る事に驚かれた程度で、感謝感激雨霰とはいかなかった。
 いつか異世界転生物の主人公の様に、素晴らしい異世界料理を振舞ってやろう!
 あ、でも和食ならドワーフメイド衆の方が、圧倒的に腕は上だよな…。
 そもそも、凝った洋食なんて、俺は作れないし。
 何度かふわとろオムレツにも挑戦したけど、一回も出来た試しは無いし………………。
 何で、あんなに転生者って、料理のレシピとか知ってるんだろう…。

 ちくそー! 地球でもチートな能力持ちしか、異世界では活躍できないってのかよ!
 どうせ、俺には自慢できる能力なんざねーよ!
 せいぜい、魂のエネルギーがとんでもなくでかいって程度だよ!
 それも使い道が良くわかんねーよ! 
 謝罪と賠償を要求する!
 こんな設定考えた奴、出てこーーーーーい! 

『えっと…何だか、彼…荒れてるみたいだけど…理由が…』
 真っ白な空間で、どういう理屈かは分からないのだが、真っ赤に熱せられたぐるぐる渦巻の熱線の電気コンロに土鍋を乗せて、こたつに入りながらそれを摘まみながら冷酒でまったりしている、どこかの管理局の偉いさん。
 こんなほろ酔いの時にも、しっかりとトールヴァルドを観察しているようである。
『でも、荒れてる内容がねえ…放っておいてもいいかな?』
 しかし、そんな観察対象にチートな料理スキルを与えるわけでも無いらしい。
『まあ、この映像と心の声は、念の為にサラに送っておくかな』
  そう言って、ガラス製のお猪口を傾ける、どっかの局長であった。
 無論、いきなり映像やらトールヴァルドの心情などなどを無理やり送りつけられ、脳に焼き付けられたサラは、
『ふんぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
 と、突如襲った謎の頭痛にで、地下の自分の部屋の中を転がりまわった。

『あ、よく考えたら、サラに強制的に情報送る必要もなかったな。あいつも自分でログを見れるんだから、時間だけ教えれば良かったのか…ま、いっか。情報送ったぞ』
 ふと鍋の中身を箸で突きながら、どこぞの局長がサラに情報を送った旨を伝えたのだが…。
『良くねーわ! サラちゃん、ゲロまみれのヨダレまみれで転げまわっちまったじゃねーーーかーー!』
 全部、駄々洩れだったようだ。
『あ、めんごめんご』
『そんなんで許すと思って…思って…おーい! おーーーい! ………。ちっくしょう! 通信切りやがったな、あんのクソ局長めーーーーー!』
 局長、サラからの苦情は一切受け付けないようだった。 
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...