システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
858 / 1,466

第142回 トール様の嫁会議での決定事項

しおりを挟む
 あの後すぐにナディアは執務室を出て行った。
 やっぱり光学迷彩を発動したままなので、勝手に扉が開いた後に閉まるという、どっかのホラー映画っぽい事になったのだが、原因を知っていたので驚く事も無かった。
 1人になった(と思う)俺は、黙々と仕事を熟し、ネス湖がオレンジ色に染まる前には、本日分の仕事を片付けた。
 出て行ったナディアが、一体嫁ーずとどんな話をしたのかは気になる所だが、誰も何のアクションも起こさないので、まあ大丈夫だろう。
 仕事で凝り固まった肩をグルグルまわして解しながら、俺はディナーの為に食堂へと向かった。
 すでに母さんを筆頭に、コルネちゃん、ユリアちゃん、嫁ーずにナディアに天鬼族3人娘が席に着き、和やかに話をしていた。
 やっぱ、あんなことを言いつつも、ナディアはちゃんと空気を読んでくれてたんだな…一安心。
 そして、食事も程よい会話を挟みつつ愉しく頂く事が出来た。
 会話と言えば、母さんもユズカも母子共に順調な様で、ユズカは悪阻もそうきついという訳でも無く、母さんに到っては悪阻などほとんどないと言う。
 毎日2人で湖の近くを運動がてら散歩しているらしく、今日はちょっと肌寒かったとか話していた。
 まあ、お腹の子供と母体が無事であれば問題ないのだが、ちゃんともう一枚何かを羽織る様に言っておいた。

 食後は、応接室というか最近ではほとんど家族しか使わなくなったので居間と言っても過言では無い部屋の巨大ソファーセットに、母さん、コルネちゃん、ユリアちゃんと嫁ーず5人に、ナディア、アーデ、アーム、アーフェンが座る。
 男は俺だけなんだけど…まあ、気にしないで良いか。
 さて、のんびりお茶でも頂きながら、王女様の専用車をいつ献上に王都に行くか相談しようかな…。
 可愛い(肉食系だが)嫁達に囲まれ、厳しく(怖く)も優しい、何時までも若い母さんに、そろそろ女性らしい身体へと変化しつつある可愛い妹と、まだまだ幼いもう一人の妹。
 そして俺の眷属でもある妖精達。
 うん、これぞ異世界での勝ち組の日常の光景だよなあ…俺流スローライフ万歳!
 

 と、思ってた時が俺にもありました。
「では、全員揃ったところで、第142回 トール様の嫁会議での決定事項を発表します。司会進行は、私マチルダです」
 お茶を愉しんでいると、急にマチルダが立ち上がり、そんな事を言いはじめた。
「は、はいぃ?」
 周りを見回すと、俺以外誰も驚いていない。 
 え、コレ知らないかったの、俺だけ?
 いやいや、そもそも嫁会議って142回もやってるの!?
「今回の嫁会議の議題を提示してくださったのは、トール様の眷属であるナディアさんです。議題は、『妖精族もトール様との子供が欲しい』という物です。これは、アーデさん、アームさん、アーフェンさんも同意見との事ですが、再度お伺いいたしますが、この内容に間違いありませんね?」
 えっと、ナディア…マジで話したのか?
「はい、その通りで間違い御座いません。この場にいる我々4名、誰も異論はございません。と言うか、熱望しております」
 天鬼族3人娘も、ナディアの言葉に揃って頷く。
「了解いたしました。では、この発表の場に先だって行われた会議で話し合いました、ナディアさんの議題についての結果を発表いたします」
 俺が呆気に取られていると、ナディア、アーデ、アーム、アーフェンの妖精族一同が、小さく息を飲んでいた。
「まず、大前提として、私達嫁連合は反対は致しません」
 嫁連合…て…
「「「「やったーーー!」」」」
 マチルダの発表に、思わずと言った感じで立ち上がり、ぴょんこぴょんこと飛び上がりながら喜ぶ妖精一同。
 ところで、そこに俺の意見は入る余地は無いの?
「皆さん、落ち着いてください。まだ続きが御座います」
 そう言ったのは、第一夫人としての貫禄が出て来た(様な気がする)メリル。
「「「「あ、はい…」」」」
 その言葉に従い、大人しく座り直した4人。
「ごほんっ! 先ほど、『大前提として、私達嫁連合は反対しない』とお伝えしましたが、許可するには条件がございます」
 いや、許可って…俺の事だよね? だよね?  
 意見を言ってもいいかな? そもそも、何で嫁ーずが許可出すの?
「その条件とは、まず私達5人に子供が出来る事…これが条件です」
 マチルダの言葉に、ナディア以下天鬼族3人娘も深く頷き答えた。
「「「「当然ですね!」」」」
 えっと…当然なの?
 もしかして、嫁達が全員妊娠したら、俺はナディア達に性的に食べられちゃうって事なの?
「条件はご了解頂けたようですね。まあ、その日はそう遠くはないかと思いますよ。もちろん、4人の協力があれば、さらにその日は近くなる事でしょう」
 ナディア達に、何の協力させるつもりなの?
「「「「了解しました!」」」」
 了解すんのかーーーい!
 そんな発表を優しい目で見つめる母さんと、呆れた顔でお茶を啜っているコルネちゃん。
 ちなみにユリアちゃんは、コルネちゃんにもたれ掛かって、船をこいでいた。
「では、発表は以上です」
 言うだけ言ったマチルダは、何事も無かったかのように、ソファーに深く腰掛けると、少し冷めたお茶を口に含んだ。
 嫁ーずはにこやかに、妖精一同はとてもわくわくと嬉しそうな顔で俺を見ている。
 
 えっと…この後、俺どうしたらいいんだ?
 めっちゃ気まずいんですけど!
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...