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止めてください!

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「っと言う訳で、我等満場一致で、お主の分身は人型にするのは止めた」
 ボーディが無い胸を張って俺に向かってそう言うと、モフリーナとモフレンダも大きく頷く。
「何でだーーーーー!?」
 そりゃ叫びたくもなるだろう? だって俺の広がりに広がった夢が、急速にしぼんで行くんだぞ?
「そんなの決まっておるじゃろ! お主の様な幼女趣味の男に幼女なんぞ渡せるものか!」
「幼女じゃない、両性を備えた幼い天使だ!」
 全然違うだろーが!
「どっちも大差ないわ、この馬鹿者がー!」
 ツルペタのじゃロリ汚れダンジョンマスターのボーディと、マジで怒鳴り合っていると、
「トールヴァルド様、我々ダンジョンマスターが満場一致で決めた事です。あ、それからちょっと失礼して…えいっ!」
「いてっ!」
 モフリーナに残酷にして無慈悲な宣告をされた上、髪の毛を1本引っこ抜かれた。
「はい、これでサンプル採取完了です。では、完成しましたらまたご連絡いたしますね」
「ちょ、俺の可愛い天使は!?」
「固い石膏製のモンスター型の分身を用意いたしますので、ゆっくりとお待ちください…ね?」
 俺の反論なぞ一切聞き入れませんよ? と、言わんばかりの顔で笑うモフリーナ。
 クソッ! ここで諦めてしまったら…
「では、お主の希望する様な愛玩用の分身は、サラとリリアに造って貰うが良い。ただし、おまけで管理局の完全な監視が付いて来るがの」
「ぐっ…そ、それは…嫌だ…。はあ、分かったよ」
 渋々納得する、聞き分けの良い、大人なトール君。
「…いや、思いっきり文句言ってた思うのじゃがのぉ」 
 何故かでっかいため息を付いたボーディが、ぼそりとそう呟いた。

 その後、管理局や俺の分身に関して、ダンジョンマスターズと色々と話をしたはずなのだが、記憶にない。
 俺の分身がエンジェルで無いという事実が、何時までも俺の頭の中でグルグル回っていたのが原因だと思う。
 話も一段落ついた(らしい)所で、ボーディから、
「今より元の世界に戻るから、解脱や解放魂魄統轄庁の事は一切考えるんじゃないぞ? 管理局に感づかれるでな。まあ、そっちは妾達に任せておけ。悪い様にはせんから」
 そう言われ、俺が手を出せる事など、もう無いのだと気付かされた。
「まあ、この問題は、お主にしか出来ぬ事もある。暫しゆるりと過ごすが良い。色々と面白い話も聞けたしのぉ。妾達の方で、色々と動いておこうぞ」
「そうすか。んじゃ、おねげぇしますわ」
 はぁ…天使ちゃん…。
「なんじゃ、元気が無いのぉ。そんなに幼女が好きなんじゃったら、赤子でも作れば良かろう? 嫁も5人もいる事じゃし」
「それは、俺に死ねと言ってるのか?」
「何でそうなるんじゃ!」
 ボーディ―は、我が家の夜の夫婦生活事情を知らないから、そう簡単に言えるんだ。
「……性活事情…」
 今、確かに漢字で生活が性活になってた! 絶対なってた!
 モフレンダ君は、何でそんなにド直球なのかな? 
「なるほど。奥様方との夜の運動は大変なのですね…5人もいると」
 分ってくれるか、モフリーナさん!
「「「ハーレム野郎は、死ねばいいのに」」」
「何でそんな時だけ声が揃うんだよ!」
 ちくそー!  

 そんなドタバタもあったが、ボーディの、
「あの3人に偽情報を流し続けさせるのも大変じゃから、そろそろ戻るぞ。お主も、そそろそ頭を切り替えろ」
 そう言われ、大きく深呼吸した俺が小さく頷くと、
「では戻りますね…はい、お疲れさまでした」
 モフリーナによって、一瞬で元に…戻ったのかな?
 ってか、本当に黒竜の胃の中にいたの?
「では、我らは執務に戻ります。神トールヴァルド様、またお会いできる日を心待ちにしております」
「次は、もう少しゆっくりとお話がしたいと存じます…神様…」
「次に来られたら、私の教会をご案内いたしますね」
 ヘーリ・オース、ディー・アーナ、テーラ・マテールが、そう言って深く腰を折ると、そっと扉を押し開き出て行った。
 あ、そうか…さっきまでは、あんな扉無かったな。
 やっぱあの黒竜の胃の中にいたんだな、俺。
「さぁ、それではお主もそろそろ家に帰るが良い。後のことは万事任せておくのじゃ。立派なモンスターの石膏像を造って進ぜよう」
「モンスターは諦めるけど、石膏は止めて!」
 俺の心の叫びなぞ、一切聞く耳持たないぞっという顔のボーディ。
「…また来い。次は手土産期待」
「焼き菓子でもいいかな?」
「…それでOK…」
 何時までたっても会話が長続きしないモフレンダ。
「それでは帰りましょう」
 そう言って、俺の手を取り立ち上がるモフリーナ。
 もふりんとカジマギーは、にこにこしながら手を振ってくれた。

 こうして、良く理解できない難解なダンジョンマスターズとの会談を終えて、俺は帰宅する事となった。
 でも、マジで石膏だけは止めてください、お願いします!
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