システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
853 / 1,466

止めてください!

しおりを挟む
「っと言う訳で、我等満場一致で、お主の分身は人型にするのは止めた」
 ボーディが無い胸を張って俺に向かってそう言うと、モフリーナとモフレンダも大きく頷く。
「何でだーーーーー!?」
 そりゃ叫びたくもなるだろう? だって俺の広がりに広がった夢が、急速にしぼんで行くんだぞ?
「そんなの決まっておるじゃろ! お主の様な幼女趣味の男に幼女なんぞ渡せるものか!」
「幼女じゃない、両性を備えた幼い天使だ!」
 全然違うだろーが!
「どっちも大差ないわ、この馬鹿者がー!」
 ツルペタのじゃロリ汚れダンジョンマスターのボーディと、マジで怒鳴り合っていると、
「トールヴァルド様、我々ダンジョンマスターが満場一致で決めた事です。あ、それからちょっと失礼して…えいっ!」
「いてっ!」
 モフリーナに残酷にして無慈悲な宣告をされた上、髪の毛を1本引っこ抜かれた。
「はい、これでサンプル採取完了です。では、完成しましたらまたご連絡いたしますね」
「ちょ、俺の可愛い天使は!?」
「固い石膏製のモンスター型の分身を用意いたしますので、ゆっくりとお待ちください…ね?」
 俺の反論なぞ一切聞き入れませんよ? と、言わんばかりの顔で笑うモフリーナ。
 クソッ! ここで諦めてしまったら…
「では、お主の希望する様な愛玩用の分身は、サラとリリアに造って貰うが良い。ただし、おまけで管理局の完全な監視が付いて来るがの」
「ぐっ…そ、それは…嫌だ…。はあ、分かったよ」
 渋々納得する、聞き分けの良い、大人なトール君。
「…いや、思いっきり文句言ってた思うのじゃがのぉ」 
 何故かでっかいため息を付いたボーディが、ぼそりとそう呟いた。

 その後、管理局や俺の分身に関して、ダンジョンマスターズと色々と話をしたはずなのだが、記憶にない。
 俺の分身がエンジェルで無いという事実が、何時までも俺の頭の中でグルグル回っていたのが原因だと思う。
 話も一段落ついた(らしい)所で、ボーディから、
「今より元の世界に戻るから、解脱や解放魂魄統轄庁の事は一切考えるんじゃないぞ? 管理局に感づかれるでな。まあ、そっちは妾達に任せておけ。悪い様にはせんから」
 そう言われ、俺が手を出せる事など、もう無いのだと気付かされた。
「まあ、この問題は、お主にしか出来ぬ事もある。暫しゆるりと過ごすが良い。色々と面白い話も聞けたしのぉ。妾達の方で、色々と動いておこうぞ」
「そうすか。んじゃ、おねげぇしますわ」
 はぁ…天使ちゃん…。
「なんじゃ、元気が無いのぉ。そんなに幼女が好きなんじゃったら、赤子でも作れば良かろう? 嫁も5人もいる事じゃし」
「それは、俺に死ねと言ってるのか?」
「何でそうなるんじゃ!」
 ボーディ―は、我が家の夜の夫婦生活事情を知らないから、そう簡単に言えるんだ。
「……性活事情…」
 今、確かに漢字で生活が性活になってた! 絶対なってた!
 モフレンダ君は、何でそんなにド直球なのかな? 
「なるほど。奥様方との夜の運動は大変なのですね…5人もいると」
 分ってくれるか、モフリーナさん!
「「「ハーレム野郎は、死ねばいいのに」」」
「何でそんな時だけ声が揃うんだよ!」
 ちくそー!  

 そんなドタバタもあったが、ボーディの、
「あの3人に偽情報を流し続けさせるのも大変じゃから、そろそろ戻るぞ。お主も、そそろそ頭を切り替えろ」
 そう言われ、大きく深呼吸した俺が小さく頷くと、
「では戻りますね…はい、お疲れさまでした」
 モフリーナによって、一瞬で元に…戻ったのかな?
 ってか、本当に黒竜の胃の中にいたの?
「では、我らは執務に戻ります。神トールヴァルド様、またお会いできる日を心待ちにしております」
「次は、もう少しゆっくりとお話がしたいと存じます…神様…」
「次に来られたら、私の教会をご案内いたしますね」
 ヘーリ・オース、ディー・アーナ、テーラ・マテールが、そう言って深く腰を折ると、そっと扉を押し開き出て行った。
 あ、そうか…さっきまでは、あんな扉無かったな。
 やっぱあの黒竜の胃の中にいたんだな、俺。
「さぁ、それではお主もそろそろ家に帰るが良い。後のことは万事任せておくのじゃ。立派なモンスターの石膏像を造って進ぜよう」
「モンスターは諦めるけど、石膏は止めて!」
 俺の心の叫びなぞ、一切聞く耳持たないぞっという顔のボーディ。
「…また来い。次は手土産期待」
「焼き菓子でもいいかな?」
「…それでOK…」
 何時までたっても会話が長続きしないモフレンダ。
「それでは帰りましょう」
 そう言って、俺の手を取り立ち上がるモフリーナ。
 もふりんとカジマギーは、にこにこしながら手を振ってくれた。

 こうして、良く理解できない難解なダンジョンマスターズとの会談を終えて、俺は帰宅する事となった。
 でも、マジで石膏だけは止めてください、お願いします!
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...