839 / 1,466
そうしよう!
しおりを挟む
まあ、あの竜が凄い神様であるとい事が判明したとしても、それは私とリリアだけがこの世界で知っている秘密である。
実際には、まだこの世界にその問題の神様である竜の姿はどこにも見当たらないのだから、本筋とは関係ない事である。
では、本筋の話がどうなっているかと言うと…これが、ごくいつものトールヴァルド邸でのドタバタ喜劇と変わらない。
はぁ…早くお役目が終わらないかなあ…。
「えっっと、サラはさっきから誰に向かって説明口調で語ってるのですか?」
日常業務であるソファーでの昼寝の最中に、リリアが私に話しかけて来た。
こいつは、ド変態なくせに、妙に仕事に対してだけは真面目だ。
管理局の仕事もそうだが、この屋敷でのメイドの仕事も、日々真面目に熟している。
今も掃除道具一式を持って、この屋敷の応接室へとやって来た…私が昼寝をしている、この応接室にだ!
これじゃゆっくり寝れないじゃないか! まあ、静かに掃除してくれるのであれば、特に言う事も無いのだが。
「何を半開きの目で私を見ているんですか? いい加減に仕事をしないと、大奥様にいいつけますわよ?」
んぉ!? それはやぶぁい!
大河さんなら問題ないけど、大奥様は危険だ…。
「そう言えば、伯爵様も先ほど何か仰っておられましたわねえ…あっ! そうそう、あのダンジョン大陸でしたっけ? 違ったパンゲア大陸でしたわね、あそこの3人の王の手伝いに誰か派遣するとか何とか…後で私がサラを推薦しておきます」
な…んだと? 推薦だと?
「何でだよ! やだよ、あんなとこに行くの! むっちゃ真面目な王女とダンジョンマスターしかいねーだろーが!」
「丁度いいではないですか。真面目に仕事しなければ、ドラゴンの餌にでもされるでしょうけれど」
ドラゴン…って、あの島に置き去りにした竜じゃないよな?
モフリーナのダンジョンのあの黒竜の事だよな?
アレ、どっかの神様竜と違って、メチャクソでんじぇらすドラゴンだぞ!?
「さって、では私は洗濯でもしましょうかね。この部屋はサラが隅々まで掃除してくれるでしょうし」
そう言って、リリアは掃除道具を私の前に置いた。
「ちなみに、この部屋の掃除が終わったら、次はトイレですからね?」
ぐっ…やるしかないのか…だが、トイレなんてどうせ汚れるんだから、てけとーでいいじゃん。
「もしも汚れが残っている様でしたら、推薦してあげますから。水洗トイレだけに」
こやつ、出来るな!?
「それじゃ、お願いしますね~。ああ、忙しい忙しい…」
ぱたぱたと足音を残して、リリアは洗濯場のある屋敷裏へと小走りで駆けて行った。
「はぁ…仕方ない、ちゃちゃっと掃除しますかねえ…」
面倒臭いけど、あんな真面目人間ばっかの大陸なんて行きたくねぇから、仕方ないか…。
私は箒を手に取り、取りあえず掃き掃除に取りかかかった。
「あ、言い忘れてましたが、部屋は角まできっちり掃除する様に。丸く掃除したら、折檻ですからね?」
開いたままだった扉から、リリアが顔を出すと、そう言ってまた廊下を小走りで駆けて行った。
あいつ、何時の間に戻って来たんだ?
「はぁ………」
長い溜息を付いて、私は部屋の隅っこから掃除を始めるのであった。
お、俺は決して第5王女様であるマーリア様とメリルとが勝手にした約束を忘れてたりはしてないぞ?
忘れるもんか! 忘れたらあの王妃連合の鞭打ち刑が…もう1回ぐらい受けてもいいかな?
いやいや、駄目だ駄目だ!
最中は、ちょっと気持ちよ…い、痛かったんだから! 2度と受けたくないぞ!
ホントニ、ホントダヨ?
冗談はさておき、王家に献上した蒸気機関搭載の小型バギーのカスタムカーを考えなきゃなあ。
メリルが勝手に約束したとはいえ、あれもCM料の一種と思えば安い物。
だけど、何の案も持たずにドワーフ親方のところで話し込むと、また興が乗って長時間あーだこーだしそうだから、ある程度の案は練っておかねばな。
とは言え、王家に献上したのは、ユリアちゃんが持つきつねさん号とはちょっと形状が違う。
基本、操縦席は1人乗りだ。
地球でお馴染のオフロード用の4輪バギーそっくりで、ハンドルはバイクと同じ形状できつねさん号の廉価版。
対してユリアちゃんのきつねさん号は、助手席もある2人乗りで車と同じく丸いハンドルが付いている、高級仕様。
どちらも悪路走行に向いているとはいえ、これが大きく異なる為、どっちをベースにするべきかが問題かもしれない。
きつねさん号などマーリア様は見た事が無いのだから、王家に献上したバギーをベースにすれば良いような物だが、もしも王都にユリアちゃんが帰った時に、きつねさん号をマーリア様が見たらどう思うだろう?
ううむ…ここは一層の事、きつねさん号をすっとばして、コルネちゃんのくまさん号をベースにしちゃおうか?
王都って基本的に走破性能が必要な程には道も荒れてないし、そもそも王女様が車を運転して王都外に出る事も無いはずだから…嫁のうさぎさん号やコルネちゃんのくまさん号と同等品にしとくか。
うん、そうしよう!
ところで、今度の車には、何て名前にすべか?
実際には、まだこの世界にその問題の神様である竜の姿はどこにも見当たらないのだから、本筋とは関係ない事である。
では、本筋の話がどうなっているかと言うと…これが、ごくいつものトールヴァルド邸でのドタバタ喜劇と変わらない。
はぁ…早くお役目が終わらないかなあ…。
「えっっと、サラはさっきから誰に向かって説明口調で語ってるのですか?」
日常業務であるソファーでの昼寝の最中に、リリアが私に話しかけて来た。
こいつは、ド変態なくせに、妙に仕事に対してだけは真面目だ。
管理局の仕事もそうだが、この屋敷でのメイドの仕事も、日々真面目に熟している。
今も掃除道具一式を持って、この屋敷の応接室へとやって来た…私が昼寝をしている、この応接室にだ!
これじゃゆっくり寝れないじゃないか! まあ、静かに掃除してくれるのであれば、特に言う事も無いのだが。
「何を半開きの目で私を見ているんですか? いい加減に仕事をしないと、大奥様にいいつけますわよ?」
んぉ!? それはやぶぁい!
大河さんなら問題ないけど、大奥様は危険だ…。
「そう言えば、伯爵様も先ほど何か仰っておられましたわねえ…あっ! そうそう、あのダンジョン大陸でしたっけ? 違ったパンゲア大陸でしたわね、あそこの3人の王の手伝いに誰か派遣するとか何とか…後で私がサラを推薦しておきます」
な…んだと? 推薦だと?
「何でだよ! やだよ、あんなとこに行くの! むっちゃ真面目な王女とダンジョンマスターしかいねーだろーが!」
「丁度いいではないですか。真面目に仕事しなければ、ドラゴンの餌にでもされるでしょうけれど」
ドラゴン…って、あの島に置き去りにした竜じゃないよな?
モフリーナのダンジョンのあの黒竜の事だよな?
アレ、どっかの神様竜と違って、メチャクソでんじぇらすドラゴンだぞ!?
「さって、では私は洗濯でもしましょうかね。この部屋はサラが隅々まで掃除してくれるでしょうし」
そう言って、リリアは掃除道具を私の前に置いた。
「ちなみに、この部屋の掃除が終わったら、次はトイレですからね?」
ぐっ…やるしかないのか…だが、トイレなんてどうせ汚れるんだから、てけとーでいいじゃん。
「もしも汚れが残っている様でしたら、推薦してあげますから。水洗トイレだけに」
こやつ、出来るな!?
「それじゃ、お願いしますね~。ああ、忙しい忙しい…」
ぱたぱたと足音を残して、リリアは洗濯場のある屋敷裏へと小走りで駆けて行った。
「はぁ…仕方ない、ちゃちゃっと掃除しますかねえ…」
面倒臭いけど、あんな真面目人間ばっかの大陸なんて行きたくねぇから、仕方ないか…。
私は箒を手に取り、取りあえず掃き掃除に取りかかかった。
「あ、言い忘れてましたが、部屋は角まできっちり掃除する様に。丸く掃除したら、折檻ですからね?」
開いたままだった扉から、リリアが顔を出すと、そう言ってまた廊下を小走りで駆けて行った。
あいつ、何時の間に戻って来たんだ?
「はぁ………」
長い溜息を付いて、私は部屋の隅っこから掃除を始めるのであった。
お、俺は決して第5王女様であるマーリア様とメリルとが勝手にした約束を忘れてたりはしてないぞ?
忘れるもんか! 忘れたらあの王妃連合の鞭打ち刑が…もう1回ぐらい受けてもいいかな?
いやいや、駄目だ駄目だ!
最中は、ちょっと気持ちよ…い、痛かったんだから! 2度と受けたくないぞ!
ホントニ、ホントダヨ?
冗談はさておき、王家に献上した蒸気機関搭載の小型バギーのカスタムカーを考えなきゃなあ。
メリルが勝手に約束したとはいえ、あれもCM料の一種と思えば安い物。
だけど、何の案も持たずにドワーフ親方のところで話し込むと、また興が乗って長時間あーだこーだしそうだから、ある程度の案は練っておかねばな。
とは言え、王家に献上したのは、ユリアちゃんが持つきつねさん号とはちょっと形状が違う。
基本、操縦席は1人乗りだ。
地球でお馴染のオフロード用の4輪バギーそっくりで、ハンドルはバイクと同じ形状できつねさん号の廉価版。
対してユリアちゃんのきつねさん号は、助手席もある2人乗りで車と同じく丸いハンドルが付いている、高級仕様。
どちらも悪路走行に向いているとはいえ、これが大きく異なる為、どっちをベースにするべきかが問題かもしれない。
きつねさん号などマーリア様は見た事が無いのだから、王家に献上したバギーをベースにすれば良いような物だが、もしも王都にユリアちゃんが帰った時に、きつねさん号をマーリア様が見たらどう思うだろう?
ううむ…ここは一層の事、きつねさん号をすっとばして、コルネちゃんのくまさん号をベースにしちゃおうか?
王都って基本的に走破性能が必要な程には道も荒れてないし、そもそも王女様が車を運転して王都外に出る事も無いはずだから…嫁のうさぎさん号やコルネちゃんのくまさん号と同等品にしとくか。
うん、そうしよう!
ところで、今度の車には、何て名前にすべか?
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる