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手紙
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『取りあえず、食料その他の物資はその島で調達できるはずだから、計画実行まではそこで寝ててね。時が来たら連絡するから、たまにこの箱を開けてくれたら嬉しいかな。あと、必要な物資はその箱の中に言っておいてね。僕に連絡が来る様になってるよ。ちなみに、あんまり過度な要求は却下されるんでそのつもりで。それと、君の身体は徐々にこの世界に適合するように造り変えるから、身体が変化しても驚かないでくれるかな? それでも肉体的には世界最強にはするつもりだから安心して。ただ、君の脳はいじくれないから、その辺は勘弁して欲しい。それではまた後程。
追伸 間違ってサラとリリアも送っちゃったんで、すぐに元の場所に転送するんで、ヨロシク!』
「ほう、この俺を造り変えると? オリュムポスの原初の支配者である俺をか?」
手紙を読んだ竜は、何やら納得したのか感心したのか、ぶつぶつ呟き、
「へっ?」「はっ?」
手紙を読んだサラとリリアは、最後の追伸の内容を見て間抜けな声を出した。
この小さな島に転送されてきた3人(?)ではあるが、先程の真っ白な空間とは違い、竜の大きさは、人の背丈の2倍より少し大きいぐらいまで縮んでいた。
それに関して本人もサラもリリアも、今までは全く疑問を抱いていなかったのだが、よくよく思い出せば先程の空間ではもっと竜は大きかった。
もしも手紙の内容が正しいとするのであれば、すでに竜の身体は造り変えられ始めているという事だろう。
で、あれば…だ。
サラとリリアは、互いに顔を見合わせた。
『追伸 間違ってサラとリリアも送っちゃったんで、今から元の場所に転送するんで、ヨロシク! ヨロシク…ヨロシク…ヨロシク…』
あの局長のニヤケ顔(見た事あるのか?)が脳裏に浮かび、頭の中でもの凄くおちゃらけた声がリフレインした。
間違った? 送り返す? すぐに…って、何時!?
2人の心の声が一致した瞬間、その場からサラとリリアの姿は空気に溶けるかのように消えて行った。
後に残された蒼い鱗の竜は、
「ふん! どうやら手紙に従うしかない様だな。ま、食い物も有る事だし、ここがどこかは知らないが、のんびりさせて貰うかね」
そう言って、ごろんと宝箱の横に寝ころんだ。
竜が見上げた空は、雲一つない晴天であった。
「ところで、俺は何に協力したらいいんだ?」
実は全然話などしていなかった、竜と局長であった。
「ぶはっ! あの馬鹿局長、マジで飛ばしやがった!」
サラが大きく息を吐き出しながら、局長への文句を吐きだすと、
「はぁはぁはぁ…本当に戻されましたか。サラ、口に気を付けなさい。今度は、あなただけあの島に送られますよ?」
息は荒いが、やけに冷静なリリアがサラに注意をする。
「そうは言いますけどねぇ! あのアホンダラ局長は、私達の苦労なんてこれっぽっちも考えて無いんっすよ!?」
まだ不満タラタラなサラ。
「それは仕方がないでしょう? 局長がたかが実験星の1つを全力で管理しているとでも? 私達の様な下っ端の苦労まで考えるわけが無いではないですか。仮にも他の世界では最高神とも呼ばれたお方ですよ? そんなお方からすれば、我々など羽虫同然。まあ、サラの脳ミソは羽虫というよりミジンコ並みですが」
「だーれーがー、ミジンコかーーー! この超絶変態腐れまん(ピ― ※自主規制)女がーー!」
トールヴァルド邸の地下にあるサラとリリアの部屋で、どったんばったん取っ組み合いのけんかが始まった。
その頃、大海原のど真ん中に残された竜は、ふと気づいてしまった。
「おい…まさか、この島にずっと俺1人か? ちょ、おい! 計画実行って、時が来たらって何時なんだよ! ずっとこのまんま独りなのかよ! 独りぼっちでこの島かよ! ほっとかれたら気が狂うぞ? オイコラ、何か言えよ! 頼むから何か言ってくれよ…泣くぞ、マジっで…」
何か、箱の中に頭を突っ込んで、叫び続けていた。
もしもこの光景を誰かが見ていたら…笑ってしまっていたかもしれない。
とてもとても不謹慎だが……。
「んっ?」
それまでサラとリリアの気配を全く感じなかったトールヴァルドであったが、日課の鍛錬を終えて汗を拭った時、不意に地下から2人の気配を感じ取った。
トールが、『はて…さっきまで気配を一切感じなかったんだけど…?』と、気配のした地下室の入り口方面に視線を向けた。
確かにトールが感じた様に、先程まで2人はこの屋敷…というか、この世界にすら居なかった。
正確には、2人の精神体だけがこの世界には居なかった。
あの島に送られたのも2人の精神体であった。
だから手を触れて開けねばならない宝箱の様な物を空ける事が出来なかったのだが、そんな事はあの蒼い鱗の竜も、トールヴァルドも知る由は無い。
なので、トールヴァルドがこう呟くのも無理はない事なのかもしれない。
「あの2人、もしかしてめっちゃ寝てたのか? 寝坊する奴等は馬車馬の様にこき使ってやらなきゃな…」
トール君、惜しい! 寝てたのではないのだよ、寝てたのでは…。
まあ、実際の所、2人が送られた場所がこの星の何処かなのかも不明ではあるし、サラとリリアが呼び出された場所が、一体どこにあるのかも分からないのだが…。
こうしてサラとリリアがこの世界…この星から消えていた事は、トールだけでなく、この世界の誰にも気づかれる事は無かったのであった。
追伸 間違ってサラとリリアも送っちゃったんで、すぐに元の場所に転送するんで、ヨロシク!』
「ほう、この俺を造り変えると? オリュムポスの原初の支配者である俺をか?」
手紙を読んだ竜は、何やら納得したのか感心したのか、ぶつぶつ呟き、
「へっ?」「はっ?」
手紙を読んだサラとリリアは、最後の追伸の内容を見て間抜けな声を出した。
この小さな島に転送されてきた3人(?)ではあるが、先程の真っ白な空間とは違い、竜の大きさは、人の背丈の2倍より少し大きいぐらいまで縮んでいた。
それに関して本人もサラもリリアも、今までは全く疑問を抱いていなかったのだが、よくよく思い出せば先程の空間ではもっと竜は大きかった。
もしも手紙の内容が正しいとするのであれば、すでに竜の身体は造り変えられ始めているという事だろう。
で、あれば…だ。
サラとリリアは、互いに顔を見合わせた。
『追伸 間違ってサラとリリアも送っちゃったんで、今から元の場所に転送するんで、ヨロシク! ヨロシク…ヨロシク…ヨロシク…』
あの局長のニヤケ顔(見た事あるのか?)が脳裏に浮かび、頭の中でもの凄くおちゃらけた声がリフレインした。
間違った? 送り返す? すぐに…って、何時!?
2人の心の声が一致した瞬間、その場からサラとリリアの姿は空気に溶けるかのように消えて行った。
後に残された蒼い鱗の竜は、
「ふん! どうやら手紙に従うしかない様だな。ま、食い物も有る事だし、ここがどこかは知らないが、のんびりさせて貰うかね」
そう言って、ごろんと宝箱の横に寝ころんだ。
竜が見上げた空は、雲一つない晴天であった。
「ところで、俺は何に協力したらいいんだ?」
実は全然話などしていなかった、竜と局長であった。
「ぶはっ! あの馬鹿局長、マジで飛ばしやがった!」
サラが大きく息を吐き出しながら、局長への文句を吐きだすと、
「はぁはぁはぁ…本当に戻されましたか。サラ、口に気を付けなさい。今度は、あなただけあの島に送られますよ?」
息は荒いが、やけに冷静なリリアがサラに注意をする。
「そうは言いますけどねぇ! あのアホンダラ局長は、私達の苦労なんてこれっぽっちも考えて無いんっすよ!?」
まだ不満タラタラなサラ。
「それは仕方がないでしょう? 局長がたかが実験星の1つを全力で管理しているとでも? 私達の様な下っ端の苦労まで考えるわけが無いではないですか。仮にも他の世界では最高神とも呼ばれたお方ですよ? そんなお方からすれば、我々など羽虫同然。まあ、サラの脳ミソは羽虫というよりミジンコ並みですが」
「だーれーがー、ミジンコかーーー! この超絶変態腐れまん(ピ― ※自主規制)女がーー!」
トールヴァルド邸の地下にあるサラとリリアの部屋で、どったんばったん取っ組み合いのけんかが始まった。
その頃、大海原のど真ん中に残された竜は、ふと気づいてしまった。
「おい…まさか、この島にずっと俺1人か? ちょ、おい! 計画実行って、時が来たらって何時なんだよ! ずっとこのまんま独りなのかよ! 独りぼっちでこの島かよ! ほっとかれたら気が狂うぞ? オイコラ、何か言えよ! 頼むから何か言ってくれよ…泣くぞ、マジっで…」
何か、箱の中に頭を突っ込んで、叫び続けていた。
もしもこの光景を誰かが見ていたら…笑ってしまっていたかもしれない。
とてもとても不謹慎だが……。
「んっ?」
それまでサラとリリアの気配を全く感じなかったトールヴァルドであったが、日課の鍛錬を終えて汗を拭った時、不意に地下から2人の気配を感じ取った。
トールが、『はて…さっきまで気配を一切感じなかったんだけど…?』と、気配のした地下室の入り口方面に視線を向けた。
確かにトールが感じた様に、先程まで2人はこの屋敷…というか、この世界にすら居なかった。
正確には、2人の精神体だけがこの世界には居なかった。
あの島に送られたのも2人の精神体であった。
だから手を触れて開けねばならない宝箱の様な物を空ける事が出来なかったのだが、そんな事はあの蒼い鱗の竜も、トールヴァルドも知る由は無い。
なので、トールヴァルドがこう呟くのも無理はない事なのかもしれない。
「あの2人、もしかしてめっちゃ寝てたのか? 寝坊する奴等は馬車馬の様にこき使ってやらなきゃな…」
トール君、惜しい! 寝てたのではないのだよ、寝てたのでは…。
まあ、実際の所、2人が送られた場所がこの星の何処かなのかも不明ではあるし、サラとリリアが呼び出された場所が、一体どこにあるのかも分からないのだが…。
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