システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ぴんぽ~~ん!

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『んで、それが俺を呼び出した理由なのか?』
 真っ白な部屋の中央で、卓袱台を挟んで向かいに座る(?)光に包まれた何者かに向かって、ぼんやりと光る全身を蒼い鱗に覆われた竜の様な物が口を開いた。
『そう。ちょっと面倒なお願いだとは思うけど、どうにもここの核心に彼は近づいているみたいだから、ちょっと思考を明後日の方向に逸らしてみようかと思ってね』
 光に包まれたそれは、魚の名前がぎっしりと書かれている、どこかの寿司屋で観た事がある様な湯のみで茶をズズズっと啜った。
『まあ、それは良いけどよ…だれか案内は居るのか?』
 その湯飲みに視線を固定したまま、竜の様な物が訊ねると、
『ああ、それは丁度いいのが…』
 そう言って、光の塊は湯呑を卓袱台に置くと、光で良くは見えないのだが、多分手を叩いたのだろう。
 パンパンと音が真っ白な空間に響き、
『召喚、サラ、リリア』
 そう大声で叫んだ。
『お、おい…召喚なんて出来るのか?』 
 蒼い鱗の竜(面倒なので竜とします)が、ちょっと驚くが、
『いや、出来ないよ? 雰囲気雰囲気。ポチっとな』
 そう言って、いつの間にか卓袱台に乗っていたのか、赤いボタンを押すと、ピンポーンっと、どこかのクイズ番組の様な気の抜けた音が鳴り、真っ白な空間に小さな空間の揺らぎが起きる。
『いやいや、それってやっぱ召喚じゃね?』
 驚く竜の事など無視し、空間の歪みを見つめる光の塊。
 やがてその歪みからは、サラとリリアが姿を現した。
 あまりに大きさが違うからか、どうにもサラとリリアが小人に見える。
 具体的には、トールと妖精さんほどには大きさに差がある。
 歪みから完全にサラとリリアが姿を現すと、しゃぼん玉の様な物に包まれて、ぷかぷかと真っ白な空間を漂う。
『2人共、よく来てくれた。実は斯々然々という訳で、2人には彼の手助けをして欲しいのだよ』
 それを聞いたサラは、ふわふわ浮かぶ玉の中で首を傾げた。
 同じくリリアは、疑問に思った事をはっきりと口にした。
『かくかくしかじかって、ぜんっぜん理解できませんけど?』
 ご尤も。
『まあ、詳細は彼に聞いてよ。僕も色々と忙しいんだよね。一緒に向こうに送るからさ』
 そう言って、また卓袱台の上の赤いボタンを押した。
『ちょ、局長! どこに送るつもりですか? ってか、もう話は終わりですか!?』
『えええええええええ! サラちゃんを呼び出すだけ呼び出して、はい、さいならですか!? サラちゃんは局長にとって都合のいい女って事ですか!?』
『お、おい! いきなり打ち合わせも無しでどこに送るつもりだ! これでも俺は他の世界では神もしてるんだぞ!?』
 リリア、サラ、竜が、口々に文句を言うが、
『ああ、もう面倒くさ…いや、それじゃ、人気のない所に送るから…そこで好きなだけ打ち合わせしてね』
 そう言うと、さっさとボタンを押す光の塊、いや輪廻転生局の管理局長。
『ちょ、局長!』『うぉーーーい! 何しにサラちゃんは呼び出されたんじゃーー!』『今、面倒くさいって言い掛けただろ!』
 リリアが慌てふためき、サラの頭に血が昇り、竜が言い直した部分に文句を言おうとした時、
『ぴんぽ~~ん!』
 またまた気の抜けた音が辺りに響いたかと思うと、瞬間、3人? の姿は、この真っ白な空間から綺麗さっぱり消えた。
『さって、それじゃ僕はちょっと寝るとしようかな~~~♪』
 光のベールに包まれたソレが立ち上がると、卓袱台は何処かへと消え去り、やがて光の塊ごとこの次元から消え去った。
 後に残るは、どこまでも真っ黒な宇宙の様な空間だけだった。

「で?」「ここは?」「何処なんだ?」
 サラとリリアと竜は困惑していた。
 あの真っ白な空間からいきなり飛ばされたと思ったら、360度見渡す限りの海。
 その大海原の真ん中で、まるで漫画にでも出て来そうな、ぽつんと浮かぶ無人島。
 本当に漫画の様に、小さな島のど真ん中には、ヤシの木が1本生えている。
 歩けば数分で1周出来そうな小さな無人島には、ヤシの木の根元に何故か小さな泉がこんこんと湧き出ている。
 ふと頭上を見上げると、ヤシの木には何故かバナナを始めとし、あり得ない種類の果物が生っている。
 いや、果物だけでは無い。
 本当に何故だか分からないのだが、お肉のパックだのパンだのと、生きていくだけでなく、何気に贅沢な品々も生っていた。
 おまけに泉の隣には、どっかのダンジョンではミミックが化けている様な、それこそ絵にかいたような宝箱がある。
「コレ、開けても大丈夫?」「さ、さあ…サラ、試しに開けてみたら?」
 サラとリリアが宝箱を前に躊躇していると、
「グダグダと考える前に、まずは行動だ!」
 一欠けらも躊躇いの無い竜が、いきなり爪の先で宝箱の蓋を開けた。
 そして、そこには…手紙が1通入っていた。
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