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本当にこれでいいのか
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ちょっと緊張しながらだったが、俺は蒸気機関搭載の小型バギーの性能と特徴、そして幾つかの使い方を説明した。
王城内での騎士の移動って使用例を説明していた時に、誰かが『それなら街中でも巡回警備にも使えるかも…』と、ぼそりと呟いた。
いつもは貴族が立ち並ぶこの謁見の間だが、今日は貴族も少なく閑散としていたからかどうかはわからないが、その呟きは妙にこの謁見の間の誰もの耳に届くほどに響き渡った。
「なる程のぉ…使い方は工夫次第ではかなりある様じゃのぉ。トールヴァルド卿、そのばぎーとやらは追加で発注する事は出来るのか?」
おっと、陛下も有用性に気付いたみたいだな?
「はい、勿論でございます、陛下。数によってはお時間をいただく事にはなりましょうが、可能でございます」
もちろん、追加発注分からは儲けさせて頂きますよ…むっほほほ~!
「うむ、それは重畳。して、もう一つの献上品である…その箱は?」
気付かれてしまいましたか…ってか、普通に並べてるから気付くだろうけど。
「はい、陛下。こちらは人生遊戯盤でございます」
「人生遊戯盤とな?」『人生遊戯盤?』
おっと、陛下だけでなく、この場にいた貴族も近衛の騎士さんも首を傾げたな?
ま、名前だけじゃ、こいつは理解出来ないよな。
しかも、箱が真っ白で≪人生遊戯盤≫しか書かれてないから、見ても分からんだろうし。
真っ白の箱に黒い文字で書かれたゲーム名の≪人生遊戯盤≫…見ただけじゃ怪しさ爆発だよ…この箱のデザイン誰だ?
いや、変なイラスト描かれるよりは良いけど…それにしても、もちょっと考えて欲しかった。
せめてフォントぐらいは凝っても良かったんじゃなかろうか?
箱の中央にクロ文字で小さくゴシック体でゲーム名だけだと、見た目微妙だなあ…せめて金文字だったらブランド品っぽかったけど、中身はそこまで高級品じゃないしね…ただのボードゲームだし…。
「どうしたのじゃ、トールヴァルド卿…急に口を閉ざして…具合でも悪いのか? それともその献上品は何か問題でも…」
ありゃ、陛下が心配するほど黙り込んでた?
あ、何、メリル…その冷たい目は? え、さっさと説明しろって?
りょ、了解しました!
「あ、え、え~…申し訳ありません陛下。こちらは怪しい品ではございませんし、何の問題もございません。この人生遊戯盤は、4、5人で遊ぶことが出来る道具にございます」
俺が目くばせをすると、人生遊戯盤が乗せられたキャスター付きワゴンを、そっと俺の横までメイドさんが押して来てくれた。
「この人生遊戯盤の遊び方は、少々口で説明するよりも、実際に遊戯した方が分り易いのですが…まずはルール説明書がこちらにございますれば、どうかご一読を…」
ルール説明用の小冊子は20冊程持って来てたんで、陛下を始めこの場にいる貴族さんや騎士さん、その他の使用人さん達が何人かで観る事が出来る様に、先程のメイドさんと騎士さんに配ってもらった。
「では、簡単に遊び方を説明させて頂きます。まずは小冊子の1ページ目をご覧ください」
陛下だけでなく、この謁見の間に集まっている人々にゲームのルール説明をしている俺。
異世界…もとい、異星に来て、俺は何をしているんだろう?
そんな葛藤が無かった訳ではないが、ここは謁見の間で国王陛下の前なのだから、ぐっとそれを押さえて説明をせねば。
説明とは言っても、実際にゲームを広げなければ理解し辛い部分もあるので、陛下に断りを入れてからゲームを広げる。
一通り説目を終えると、あとは実際に遊んでみるのが一番良いのだが…。
「ふむ、なるほど。では…その人生遊戯ばーんとやらは、何個持ち込んだのじゃ? ほう、10個とな? では、この場でやってみせるが良い。ああ、謁見の間であるとかわしの前であるとかは気にするでない。言葉遣いにもマナーについても、一切不問とするゆえ、そのばーんで遊んでみせよ。多少羽目を外しても構わん。身分や礼儀作法など一切無視せねば、そのばーんの本質が分からぬからな、この場は無礼講だ」
陛下の鶴の一声で、取りあえず5グループでゲーム開始。
真っ赤な毛足の長い高級絨毯の上、5組の人生遊戯盤が広げられる事となった。
豪華な謁見の間に散らばり、絨毯に座り込んで、お城の使用人さん達や騎士さん達と一緒にゲームをする貴族…そして、それを見つめる国王陛下。
何だ、この光景は?
本当にこれでいいのか、グーダイド王国?
王城内での騎士の移動って使用例を説明していた時に、誰かが『それなら街中でも巡回警備にも使えるかも…』と、ぼそりと呟いた。
いつもは貴族が立ち並ぶこの謁見の間だが、今日は貴族も少なく閑散としていたからかどうかはわからないが、その呟きは妙にこの謁見の間の誰もの耳に届くほどに響き渡った。
「なる程のぉ…使い方は工夫次第ではかなりある様じゃのぉ。トールヴァルド卿、そのばぎーとやらは追加で発注する事は出来るのか?」
おっと、陛下も有用性に気付いたみたいだな?
「はい、勿論でございます、陛下。数によってはお時間をいただく事にはなりましょうが、可能でございます」
もちろん、追加発注分からは儲けさせて頂きますよ…むっほほほ~!
「うむ、それは重畳。して、もう一つの献上品である…その箱は?」
気付かれてしまいましたか…ってか、普通に並べてるから気付くだろうけど。
「はい、陛下。こちらは人生遊戯盤でございます」
「人生遊戯盤とな?」『人生遊戯盤?』
おっと、陛下だけでなく、この場にいた貴族も近衛の騎士さんも首を傾げたな?
ま、名前だけじゃ、こいつは理解出来ないよな。
しかも、箱が真っ白で≪人生遊戯盤≫しか書かれてないから、見ても分からんだろうし。
真っ白の箱に黒い文字で書かれたゲーム名の≪人生遊戯盤≫…見ただけじゃ怪しさ爆発だよ…この箱のデザイン誰だ?
いや、変なイラスト描かれるよりは良いけど…それにしても、もちょっと考えて欲しかった。
せめてフォントぐらいは凝っても良かったんじゃなかろうか?
箱の中央にクロ文字で小さくゴシック体でゲーム名だけだと、見た目微妙だなあ…せめて金文字だったらブランド品っぽかったけど、中身はそこまで高級品じゃないしね…ただのボードゲームだし…。
「どうしたのじゃ、トールヴァルド卿…急に口を閉ざして…具合でも悪いのか? それともその献上品は何か問題でも…」
ありゃ、陛下が心配するほど黙り込んでた?
あ、何、メリル…その冷たい目は? え、さっさと説明しろって?
りょ、了解しました!
「あ、え、え~…申し訳ありません陛下。こちらは怪しい品ではございませんし、何の問題もございません。この人生遊戯盤は、4、5人で遊ぶことが出来る道具にございます」
俺が目くばせをすると、人生遊戯盤が乗せられたキャスター付きワゴンを、そっと俺の横までメイドさんが押して来てくれた。
「この人生遊戯盤の遊び方は、少々口で説明するよりも、実際に遊戯した方が分り易いのですが…まずはルール説明書がこちらにございますれば、どうかご一読を…」
ルール説明用の小冊子は20冊程持って来てたんで、陛下を始めこの場にいる貴族さんや騎士さん、その他の使用人さん達が何人かで観る事が出来る様に、先程のメイドさんと騎士さんに配ってもらった。
「では、簡単に遊び方を説明させて頂きます。まずは小冊子の1ページ目をご覧ください」
陛下だけでなく、この謁見の間に集まっている人々にゲームのルール説明をしている俺。
異世界…もとい、異星に来て、俺は何をしているんだろう?
そんな葛藤が無かった訳ではないが、ここは謁見の間で国王陛下の前なのだから、ぐっとそれを押さえて説明をせねば。
説明とは言っても、実際にゲームを広げなければ理解し辛い部分もあるので、陛下に断りを入れてからゲームを広げる。
一通り説目を終えると、あとは実際に遊んでみるのが一番良いのだが…。
「ふむ、なるほど。では…その人生遊戯ばーんとやらは、何個持ち込んだのじゃ? ほう、10個とな? では、この場でやってみせるが良い。ああ、謁見の間であるとかわしの前であるとかは気にするでない。言葉遣いにもマナーについても、一切不問とするゆえ、そのばーんで遊んでみせよ。多少羽目を外しても構わん。身分や礼儀作法など一切無視せねば、そのばーんの本質が分からぬからな、この場は無礼講だ」
陛下の鶴の一声で、取りあえず5グループでゲーム開始。
真っ赤な毛足の長い高級絨毯の上、5組の人生遊戯盤が広げられる事となった。
豪華な謁見の間に散らばり、絨毯に座り込んで、お城の使用人さん達や騎士さん達と一緒にゲームをする貴族…そして、それを見つめる国王陛下。
何だ、この光景は?
本当にこれでいいのか、グーダイド王国?
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