システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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いざ、謁見!

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『皆の者、我が水と生命の女神ネスである。今回はそこなトールヴァルド・デ・アルテアンの願いにより、この地に顕現した。この中に悪しき心を持つ者など居らぬとは思うが、その様な者がもしも居ったならば、我が使徒や眷属達に討伐を申しつけるゆえ、間違っても其方達が、我が守り慈しむ民を苦しめる様な事が無い事を願う。この国の王は良き統治を行うべく日々努力をしておると聞き及ぶ。皆の者もそれに力を貸すがよい。さすれば其の方達も天恵を得る事が出来るであろう』 
 空に浮かぶネスの像がそう言うと、徐々に空に溶けるようにフェードアウトしていった。
 うむ…自画自賛だが、良い感じじゃね?
 目の前で整列していた騎士さんとか兵士さんとか、ネスにお言葉を貰ったと、感動しすぎて涙まで流してる人もいるし。
 戦争とかの時には、ちょくちょく出してたんだけど…初めて見たら感動するのかねえ。
 そもそも、3Dのネスを空中投影してる事自体が、この地球でいったら中世レベルの世界ではオーバーテクノロジーだから、やっぱ神様の御力って考えるんだろうなあ。
 ま、これでここに整列する騎士や兵士も信心深くなった事だろう…新人だけに…。
 俺、上手い事言ったよね?
 メリルよ、何故に横でジト目で俺を見る?
 え、下手な駄洒落? 何故に俺の心が読めるんだ!? もしやエスパーか?
 エスパーが分からない? でも声に出てた? 
 …聞こえていても聞こえないフリをして欲しいの…そんな的確なツッコミは傷つくから…。 

 ま、そんな事はさておき、国王陛下に新商品の献上ですな。
 献上品の運搬には、本当にこんなに沢山の人が集まっても意味は無いんだけど、何故か父さんが張り切ってしまって、
「サンデル国王陛下への献上品だ! これを狙う賊が居るかもしれぬから、全員でしっかりと警護するんだ! 傷1つ付ける事は許されないぞ!」
 とか何とか言い出したもんだから、この場に集まる全員が王城へと続く道の両側にずらっと並んで、その間を俺とメリルが乗る人生遊戯盤を積んだ牽引トレーラーが繋がれた蒸気機関搭載の小型バギーを先頭に、父さんや騎士さんが運転する小型バギーが続く。
 全員が俺達に背を向け、周囲を警戒しているけど…何だ、この状況?
 誰も彼もが一言も発する事なく、身じろぎ一つしないでピシッと直立不動で立ち並ぶ中、場違いな程に間の抜けた蒸気機関のシュポシュポという音だけが響いていた。

 うん、この騎士さん達の姿勢は正しいと思うよ?
 前世で警備員してた時の経験で言えば、出来ない警備員程工事現場を見ていたんだよ。
 警備員っていうか、交通誘導警備員の仕事は、あくまでも交通誘導。
 周囲の車や人を見て誘導するのがお仕事なのに、現場ばっかり見て全然周囲を見ない馬鹿警備員が腐るほど居た。
 まあ、確かに工事現場を見ているのは楽しいよ? でも、俺達は現場監督じゃない。
 それに工事の進み具合とかで規制を動かしたり解除したりの指示は、現場の警備員を仕切ってる俺がやってるんだから、お前らはしっかり車を誘導しろ! と、何度トランシーバーで怒鳴った事か。
 自分の仕事をしっかりと認識し、賊の接近を阻止する為に俺達に背を向けて周囲を警戒するのは、本当に正しい事だ。
 けどさ…ここって、王城に隣接する練兵場だよね…そんなに緊張して警戒する必要あるのかなぁ…。
 そんな事を考えながら、王城へと続く道を、シュポシュポとバギーを運転しながら目指した。


 さて、そんな面倒くさい出迎え…と言っては失礼だが、一幕がありましたが、無事に俺とメリルは謁見の間にたどり着くいた。
 相変わらず豪華絢爛なこの謁見の間。
 いつもの謁見だと多くの貴族とかが並んでいるんだけど、今日はごく少数だけ。
 まあ、急な謁見だったんで、城内に居た貴族さんだけがこの場に集まったみたいだ。
「トールヴァルド・デ・アルテアン伯爵よ、久しいな。メリルの壮健そうで何よりだ」
 一段高い場所に置かれた、メチャクソ重そうな椅子に座った偉そうなおっさん…サンデル・ラ・グーダイド国王陛下だ。
 メリルの実の父親だから、まあ俺の義理の父にあたるお方だが、だからと言ってこういった公の場ではきちんと臣下の礼を取らなければならない。
「ははっ! 畏くも陛下におかせられましては、ご多忙の中、私のような田舎者のために貴重なお時間を割いて頂き、大変感謝しております」
 俺、こういった時のちゃんとした言葉遣い知らねえや…不敬じゃないよね?
「陛下に拝謁の機会を与えて頂けた事、深く感謝いたします」
 メリル…えらく簡単じゃね? まぁ、父親相手なわけだけど。
「そう固くなるな。我の娘と義理の息子に、そう畏まられては背中がムズムズするわい。それで、今日は何か献上品があるとか聞いておるのだが…それか?」
 俺とメリルが跪く後ろに並べられた蒸気機関搭載の小型バギーと、ちょっと大きめのキャスター付きワゴンに乗せられた人生遊戯盤を、めっちゃ興味深そうに見つめている国王陛下。
 えっと、この謁見の間ってもの凄く高そうな毛足の長い絨毯敷かれてるんですけど、そんなバギーを持って来ちゃって大丈夫?
 絨毯痛まないかな? ちゃんと車輪は拭いた? 汚したとか怒られても、俺は知らんよ?
「はい、こちらが今回国王陛下に献上いたします、蒸気機関搭載の小型バギーと人生遊戯盤にございます」
 ま、あの陛下のキラキラした目を見てたら、そんあ心配はなさそうだな。
 そんじゃ、ちょっと使い方とかの説明しましょうかね。
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