システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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頑張ってねえ

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『……と言って、双六大会するどー! って、あの人騒いでますけど、どうします?』
 薄暗い地下室の片隅で、メイド服のスカートの裾を大胆に引き上げ、半跏趺坐で向かい合って冥想するサラとリリア。
『確かにサラの言う様に、どうもご自身で造り上げた呪法具に絶対の自信を持っているようですけれど…』
 サラの言葉に続き、リリアも誰かさんの様子を報告した。
 2人とも口は全く動いていないのは、相手が輪廻転生局の局長であるので、それも当然ではある。
 管理局長との打ち合わせなどの会話では、2人共その意識を肉体から切り離し、時空を超えて局長の展開した次元の狭間の真っ白な空間へ飛んで行っているのだ。
『ふむ…やはり、彼は馬鹿なのか? それにしては、真相に近づくスピードは尋常ではないが…』
 呆れているのか感心しているのか、局長の声は尻すぼみだ。
『はいはいはーい! 馬鹿に1票!』
 元気に挙手したサラの言葉に、
『私は、サラが馬鹿である事に1票入れさせていただきます』
『んがっ!?』
 もの凄く蔑んだ目でサラを見ながら、リリアが1票投じた。
『うむ、リリアのいう事は尤もである』
 局長も、リリアの意見に賛同しているらしい。
『んなっ! この超絶可愛く天才なサラちゃんに向かって、何を言うか!』
『『はぁ~~~~~~~~』』
 サラの反論に、リリアと局長は長い長い溜息をつくのだった。

『それで、局長…どういたしましょうか?』
 リリアが言わんとしているのは、トールヴァルドが言い出した、大双六大会の事。
『まあ、参加しても問題はないよ。彼が造り上げた呪法具も、どうせ我々が認可した理で動くものだし、あの世界そのものが我々の掌の上というのは、どうやらまだきちんと理解できてないみたいだし』
 局長がさっと手をP振ると、空中に現在のトールヴァルド邸の様子が映し出された。
 そこには、ニコニコと笑顔を絶やさず、嬉しそうに双六のマス目にイベントを書き込んでいる。
 プレイヤーが動かす駒が止まった時の為らしいのだが…すでに双六というよりは、サイコロを使った人生ゲ〇ムにしか見えなくなっている。
 トールヴァルドの…いや大河芳樹の中では、双六=人生〇ームなのかもしれない。
『まあ、どうせあのサイコロを触ったぐらいで、どうにかなる様な物でも無いのですが…あの双六に参加するのですか、私たちが?』
 宙に浮かぶ水晶に映し出されている映像を見ながら、ちょっとどころか、かなり嫌そうな顔のリリア。
 それもそのはずで…。
『4畳半ぐらいあるね、あの双六…』
 局長も、ソレを見て呆れていた。
 まあ、マスも少々大き目ではあるが、それでもどう見繕っても、マスが100以上あるのは確実。
『けっ! 暇なんですよ、あの人は』
 鼻をほじりながら、サラが言うと、
『う~む…あまり暇を与えると、要らぬ事に情熱を傾けるな、彼は…。ちょっとあいつに相談してみるから、一先ず2人は彼の双六大会にでも参加しなさい』
『え~~~!?』『わかりました』
 不満たらたらのサラと、快く引き受けるリリア。
『まあ、そうすれば我々のがあの世界の人々に洗脳を掛けているなどという疑惑も晴れるでしょう』
 局長はそう言うが、
『ホンとは思考誘導しまくってますけどねえ~』
 サラの一言で、全て台無しである。
『可愛いもんじゃないですか。まだまだ彼には、我々の力を侮ってもらってくれているほうが、何かと都合良いですからね』 
 そう言うと、リリアはサラに向かって黒い笑みを浮かべた。
『んじゃ、君たちは彼と楽しく遊んでなさい』
 局長はそう言ったが、
『楽しめるのでしょうか…あのマスの数で…』
『サイコロ1個ですよ? しかも、あの屋敷全員参加!? 朝から晩まで掛かりそうな悪寒…いや予感がするんだけど…』
 リリアとサラにそう言われても、局長は表情一つ変えず…いや、そもそも顔なんて見えないただの光の塊なのだが…。
 とにかく、局長は、
『それじゃ、頑張ってねえ』
 そう言って、サラとリリアを白い空間から強制的に退去させ、次元の狭間を閉じてしまった。

「はあ…面倒くさ!」
 薄暗い地下室の片隅で、スカートの裾が乱れるのも着せず、組んでいた足を延ばすサラ。
「パンツが見えますよ、サラ。いえ、むしろ見せてつけているのかしら、私に?」
 リリアは、組んでいた足を解くと、サラの股間を前のめりで齧りつく様に凝視。
「んなわけあるか! 見るな! 寄るな! こ、こら、スカートの中に手を入れようとすんな!」
 密室の中での何か、R18的なナニかが起ころうとしていた。
 
 トールヴァルド邸の地下室の片隅でこんな事が起きているなど、屋敷の主であるトールヴァルドには、当たり前だが知る由もなかった。
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