システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
815 / 1,466

ふん、フン、糞?

しおりを挟む
 さて、この先色々と楽しくなりそうだな…むふふふふふふ…。

「って、あいつは考えてるみたいだけど…。やっぱ馬鹿?」
 そう呟いたのは、真っ白な空間に鎮座する、昭和の東京の下町で寺内石〇店やを営む親父が、度々ひっくり返す事で有名な卓袱台の前に座る、ぼんやりと光り輪郭すらはっきりしない何者かだ。
「まあまあ、そう言いなさんなって。あれでも君の魂の一部を切り取って肉体を授けた分体じゃないか。まあ、君の一部を分け与えたにしては、ちょ~っとオツムが弱い様にも見えるけどね」
 そして、読売ジ〇イアンツの星となった男の父親もひっくり返していたという、伝説の卓袱台の反対側には、これまたぼんやりと光る怪しい何者かが座っていた。
「馬鹿は言い過ぎか。あれは、どちらかというと…考えが浅い、もしくは理解が出来てないって感じかな? あのパワードスーツだっけ? のヘッドギアを付けたら脳波が遮断されるとか、本気で考えてるってのは、ちょっと笑えるが…あはははは…」
 最初呟いた何者かが、そう言って乾いた笑い声を上げると、
「まあ、それは確かにね。確かアレの事はバトルスーツとか言ってたけど、そもそもアレの創造時に認可を出したのは僕だからねぇ。あんなヘッドギア程度で完全に脳波が遮断できるとか考えてる方が甘いよね。そんな事は想定済みで認可してるのにね」
 トールがこっそり考えた作戦は、じつは最初から失敗だった様である。
「それで作ろうとしたのがあれか…まあ、そもそも一度はほとんど答えまでたどり着いてたんだから、もうほっとくか?」
「それでも良いけど、ちょっと予定より早くないかい?」
 白くぼんやり光る物体が、どうも腕を組んでいる様にも見える…本当のところは分からないが。
「ま、あのトールヴァルドという個体は、どう転んでも正解にたどり着くと思うぞ? なら、いっその事、ほっといて成り行きを見るのも面白くないか?」
「ん~それもそうかもね…ま、完全な正解にたどり着くまで、まだ現地時間で10年はかかると思うけど…」
「はんっ! そんな時間、俺達が本気で先を見ようと思えば今すぐにでも見れるぞ? だけど、それじゃ面白くないんだろ?」
 どこか馬鹿にした様な事を言う相方? に、
「そうだねえ…どうせ時間なんて概念を超越しちゃった僕達なんだから、ここは一つゆっくり楽しもうじゃないか」
「ま、それも一興か」
 真っ白な空間に鎮座するちゃぶ台の上…一般的な日本家屋であれば、蛍光灯がぶら下がっているであろう場所には、トールヴァルドが映し出された水晶のような物が、ふわふわと浮かんでいた。
「そうだ…またちょっと悪戯でも仕掛けてみようかな…」
 それはどちらの言葉だったのだろう? 
 真っ白な空間に妙に響いたその声に返事は無く、やがて真っ白な空間に声だけでなく全てが溶け込んで消えてしまった。


「奈良〇春日野 青芝に~♪ 腰をおろ〇ば~ 鹿のフン〇♪ フンフ〇フ~ン、 黒豆や~♪」
 何とな~く、俺が書類を片付けながら、良い気分で鼻歌で吉永の小百〇さんの迷曲を歌っていると、
「トールさま…随分とご機嫌ですけれども…何か良い事でもありましたか?」
 横で書類整理を手伝ってくれていたメリルが不思議そうな顔で訊ねて来た。
「ん? ん~そうだなあ、今日は何だか気分が良いんだよ」
 ちょっと前から考えていはいたが、ずっと手付かずだった一件が、順調に進展したので、ちょと気分が高揚したみたいだ。

 俺が執務室で意識を失ったあの時、ユズキから手渡されたメモの一言、『モークシャマールガ』。
 あの言葉は、俺が前世で愛読していた、日本の某月刊オカルト情報誌『ム〇』にも少しだけ出て来た言葉。
 これはジャイナ教で解脱を意味する言葉であり、輪廻からの完全なる解放を意味する。
 つまりこの言葉は、俺にここから何かを連想しろという、俺が俺自身にあてたメッセージ。
 このメモを見て読めるのは、ユズユズとサラとリリアさんぐらいだろう。
 何てったって、カタカナで書かれていたのだから、嫁ーずが読めるはずも無い。
 つまりは、出来るだけこの世界の人に分からない様にと配慮して、過去の俺が未来の俺へとあてたメモである事は明白。
 その解明の為の第一歩が始まったんだから、気分が高揚しないわけが無いのだが、そんな事は口に出すわけには行かない。
 もちろん、この考えも管理局にチェックされているかもしれないが、この程度までならば問題無さそうで、何もお咎めは無い。
 なので、ここから先、例のブツが出来てから…ぐふふふふふふふふふふ…。
「何がおかしいのですか、トール様?」
 おっと、俺の笑い声が漏れていた様だ。
「ん? ああ、ユズカ発案の例のアクティビティーの想定利益が、かなりとんでもない額になりそうで、笑いが止まらんのだよ」
「へ~! それは凄いですね! 私も近くに出来たら、ぜひ行ってみたいと思ってたんですよ!」
 うん、ちょうどその資料が目の前に合って助かった。
 メリルも上手く誤魔化せたようだ。

 下手に家族を巻き込みたくないし、危険な事は俺だけでこっそりやろうかねぇ。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...