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初期投資は?
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どこまでも続く蒼く澄んだ海と、真っ白で美しい砂浜。
天高く燦々と輝く太陽は、その光でクリスタルブルーの海を彩る波間を照らす。
我が領にある保護地区の最南端。
そこは、青い海と空が何処までも続く、南国リゾート地と見紛うばかりの絶景が広がる場所だ。
虎バスを降りた俺達は、ヤシの並木から見えるその絶景広がる地へと、ユズカに先導されながら向かった。
そして、俺達の目にその絶景が飛び込んできた時、俺達は絶句した。
「なんじゃこりゃー!」
思わずどこかの刑事ドラマ史上、最も有名な刑事の殉職シーンの様に叫んでしまったのは仕方ない事なんじゃないだろうか。
何せ、一緒に来た嫁ーずもユズキも、何故かお弁当持ってここまで来たコルネちゃんとユリアちゃんも、お口をあんぐり開けて驚いていのだから、そりゃ俺だってチンピラに撃たれた刑事みたいに叫ぼうってもんだ。
何をそんなに驚いているのかと言うと、目の前の砂浜には、ユリアちゃんのきつねさん号…とはちょっと違うかもしれないけど、4輪バギーが何十台も鎮座し、傍らにはドワーフさん達がワラワラと立っているのを見たからだ。
あ、よく見たら本当にちょっと…いやかなり違うな。
きつね山号は、丸いハンドルが付いているし、ボディー自体は丸みを帯びた可愛らしい物なのだが、ここに並ぶバギーは、ハンドルはバイクの様だし、そもそもバイク同様に跨る形状だ。
きつねさん号のように、車体全体をガード出来る様なロールケージも無い。
大きめの車輪と武骨なバンパーガードを備えているのはきつねさん号と変わらないのだが、どう見ても強度の高そうな極太のサスペンションが装備されている。
タイヤも良く見れば、キャラメルパターンの物で、マッディな悪路でも走行できそうだ。
うん、興味ない人が聞いたって、全然理解できない事だな…。
バギー自体の大きさも色々とあって、剥き出しの蒸気機関が1個の小型の物から複数個搭載されている大型の物まで。
えっと…これなんだ、ユズカ?
「これが私の提唱するアクティビティーです! ジャングルや森の中、そして砂浜までもコースに取り入れた、1周約3Kmにもなるワイルドでエキサイティングなバギー体験アクティビティーです!」
おお、そう来たか!
「もちろん、ここに造ったのはあくまでもテストコースです。最終的には、あのトンネルのある山の近くにコースを造って、ガンガン人を集めて儲けるのです! 主に、私とユズキのリッチな生活のために!」
………。
「ま、まあ…成功したら当然だけど、使用料とかの一部はお前達夫婦に払ってやるけど…初期投資はどうすんだ?」
長大でワイルドでスリリングなコースであっても、安全性を疎かには出来ない。
安全性の確立の為には、何度も何度も実証実験を繰り返す必要がある。
もちろん装備類もしっかりした物を開発せねばならないし、そもそもバギーの製作費とコースに使う土地代も必要。
かなりの初期投資が必要なのだが、こいつ等ってそんなに金持ってたっけ?
「ぐっへっへ…そこは旦那~、お願ぇしますよ」
「どこの時代劇の下っ端だよ!」
「でも成功間違いなしでっせ、旦那ぁ~。ほれほれ、奥方さん達も喜んでいるじゃ~ねぇですかい」
そうユズカに言われ、バギーを見てみると…嫁ーずとコルネちゃん、ユリアちゃんは、早速バギーに跨ってドワーフさん達の説明を聞いている所だった。
確かに、俺もちょっと興味ある…楽しそうだ。
前世、俺は新婚旅行にグアムに行ったんだ。
そこで4輪バギーで熱帯樹林の間の悪路を走った事がある。
到着した先は、真っ青なグアムの海と白い砂浜で、確かに楽しかったし感動したのを覚えている。
その後に入った海の中に、白くででっかいナマコがうじゃうじゃ居たのも覚えてるけど…あれは、キモかった…。
そもそも、俺はアクティビティーは嫌いじゃない。
温泉スパリゾートでは、ダンジョン体験施設を造ったりもしたのだから。
勿論、お子様でも絶対に怪我しないように、モンスターを貸し出してくれているモフリーナと様々な検証をしたおかげで、ダンジョン体験者もモンスターも、今ではスポンジのような物で出来た剣でぽこぽこ殴り合うだけになっている。
殴られたモンスターは、『やーらーれーたー!』と言って、お子様にお菓子をあげて逃げて行ったり、攻撃する時でも『いくよ、いくよ~? ここ狙うから、剣をこう構えて…そうそう! それじゃ、えいっ!』とか、もうヌルゲー仕様にしているので、結構家族連れには人気のスポットとなっているのだ。
まあ、来園者だけでなく、痛くもないし楽だという理由で、この体験施設で働きたいっていうモンスターが増えて困ってるとモフリーナがぼやいたりもしてたけど…。
つまり、俺はアクティビティーには理解がある男なのだ。
「ああ、もう分った分かった! アクティビティー完成までの投資は、俺が全部出してやるよ。儲かったら返済する事!」
「「「やったーーー!」」」
俺の言葉に、何故かユズカだけでなく、コルネちゃんとユリアちゃんも、諸手を挙げて喜んでいた。
ま、我が領の名物が増えるなら、それはそれでいっか。
※こっそり新作投稿しています。
姫様はおかたいのがお好き
不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!
天高く燦々と輝く太陽は、その光でクリスタルブルーの海を彩る波間を照らす。
我が領にある保護地区の最南端。
そこは、青い海と空が何処までも続く、南国リゾート地と見紛うばかりの絶景が広がる場所だ。
虎バスを降りた俺達は、ヤシの並木から見えるその絶景広がる地へと、ユズカに先導されながら向かった。
そして、俺達の目にその絶景が飛び込んできた時、俺達は絶句した。
「なんじゃこりゃー!」
思わずどこかの刑事ドラマ史上、最も有名な刑事の殉職シーンの様に叫んでしまったのは仕方ない事なんじゃないだろうか。
何せ、一緒に来た嫁ーずもユズキも、何故かお弁当持ってここまで来たコルネちゃんとユリアちゃんも、お口をあんぐり開けて驚いていのだから、そりゃ俺だってチンピラに撃たれた刑事みたいに叫ぼうってもんだ。
何をそんなに驚いているのかと言うと、目の前の砂浜には、ユリアちゃんのきつねさん号…とはちょっと違うかもしれないけど、4輪バギーが何十台も鎮座し、傍らにはドワーフさん達がワラワラと立っているのを見たからだ。
あ、よく見たら本当にちょっと…いやかなり違うな。
きつね山号は、丸いハンドルが付いているし、ボディー自体は丸みを帯びた可愛らしい物なのだが、ここに並ぶバギーは、ハンドルはバイクの様だし、そもそもバイク同様に跨る形状だ。
きつねさん号のように、車体全体をガード出来る様なロールケージも無い。
大きめの車輪と武骨なバンパーガードを備えているのはきつねさん号と変わらないのだが、どう見ても強度の高そうな極太のサスペンションが装備されている。
タイヤも良く見れば、キャラメルパターンの物で、マッディな悪路でも走行できそうだ。
うん、興味ない人が聞いたって、全然理解できない事だな…。
バギー自体の大きさも色々とあって、剥き出しの蒸気機関が1個の小型の物から複数個搭載されている大型の物まで。
えっと…これなんだ、ユズカ?
「これが私の提唱するアクティビティーです! ジャングルや森の中、そして砂浜までもコースに取り入れた、1周約3Kmにもなるワイルドでエキサイティングなバギー体験アクティビティーです!」
おお、そう来たか!
「もちろん、ここに造ったのはあくまでもテストコースです。最終的には、あのトンネルのある山の近くにコースを造って、ガンガン人を集めて儲けるのです! 主に、私とユズキのリッチな生活のために!」
………。
「ま、まあ…成功したら当然だけど、使用料とかの一部はお前達夫婦に払ってやるけど…初期投資はどうすんだ?」
長大でワイルドでスリリングなコースであっても、安全性を疎かには出来ない。
安全性の確立の為には、何度も何度も実証実験を繰り返す必要がある。
もちろん装備類もしっかりした物を開発せねばならないし、そもそもバギーの製作費とコースに使う土地代も必要。
かなりの初期投資が必要なのだが、こいつ等ってそんなに金持ってたっけ?
「ぐっへっへ…そこは旦那~、お願ぇしますよ」
「どこの時代劇の下っ端だよ!」
「でも成功間違いなしでっせ、旦那ぁ~。ほれほれ、奥方さん達も喜んでいるじゃ~ねぇですかい」
そうユズカに言われ、バギーを見てみると…嫁ーずとコルネちゃん、ユリアちゃんは、早速バギーに跨ってドワーフさん達の説明を聞いている所だった。
確かに、俺もちょっと興味ある…楽しそうだ。
前世、俺は新婚旅行にグアムに行ったんだ。
そこで4輪バギーで熱帯樹林の間の悪路を走った事がある。
到着した先は、真っ青なグアムの海と白い砂浜で、確かに楽しかったし感動したのを覚えている。
その後に入った海の中に、白くででっかいナマコがうじゃうじゃ居たのも覚えてるけど…あれは、キモかった…。
そもそも、俺はアクティビティーは嫌いじゃない。
温泉スパリゾートでは、ダンジョン体験施設を造ったりもしたのだから。
勿論、お子様でも絶対に怪我しないように、モンスターを貸し出してくれているモフリーナと様々な検証をしたおかげで、ダンジョン体験者もモンスターも、今ではスポンジのような物で出来た剣でぽこぽこ殴り合うだけになっている。
殴られたモンスターは、『やーらーれーたー!』と言って、お子様にお菓子をあげて逃げて行ったり、攻撃する時でも『いくよ、いくよ~? ここ狙うから、剣をこう構えて…そうそう! それじゃ、えいっ!』とか、もうヌルゲー仕様にしているので、結構家族連れには人気のスポットとなっているのだ。
まあ、来園者だけでなく、痛くもないし楽だという理由で、この体験施設で働きたいっていうモンスターが増えて困ってるとモフリーナがぼやいたりもしてたけど…。
つまり、俺はアクティビティーには理解がある男なのだ。
「ああ、もう分った分かった! アクティビティー完成までの投資は、俺が全部出してやるよ。儲かったら返済する事!」
「「「やったーーー!」」」
俺の言葉に、何故かユズカだけでなく、コルネちゃんとユリアちゃんも、諸手を挙げて喜んでいた。
ま、我が領の名物が増えるなら、それはそれでいっか。
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