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計画始動だ!
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えっと、ところで…
「な、なあ、コルネちゃん…さっき、ユリアちゃんが車欲しいとか言ってたけど…」
一応、お姉ちゃんであるコルネちゃんこそこそと確認を。
「王都とかでも言ってたの?」
俺のその問いに、ちょっと困った顔で答えるコルネちゃん。
「わ、私も初めて聞きました…どうしましょう…」
うん、どうしようねえ。
「えっと、ユリアちゃん。お車欲しいの?」
「うん! ユリアもおくるまで、おねえちゃんとおでかけするの!」
な、なんですとーーーー!? お兄ちゃんとでは無く、お姉ちゃん…つまりはコルネちゃんとですとーーー!?
「あ、あのお兄さま…」
俺はユリアちゃんの容赦ない一言に膝をガックリと落胆し、地に手を付いてしまった。
ちなみに、これが『 orz 』ってアスキーアートの元だな…うん、知ってたけど…。
「おねえちゃんと、おくるまでおでかけしたーい!」
更なユリアちゃんの追い撃ちは、重要だから2回言ったって事ですね…お兄ちゃん、涙が出そう…。
「あ、あの! お兄さま、しっかりなさってください!」
俺がガックリと落ち込み、それを見ておろおろするコルネちゃんを見て、キャッキャとはしゃぐユリアちゃん。
さすが、元恐怖の大王の欠片をその身に宿した、転移者にしてユリアちゃんのベースとなった仮称・火御華さん(26歳)だけの事はあるな。
俺の心を的確に抉りダメージを与えている。
おのれカオスめ! まだユリアちゃんの身体の中に残ってたのか! しつこい奴め!
「だめなの? おにいちゃん…」
うっ、ユリアちゃん泣きそう。
「あ、え…いや、うん…何とかしよう…」
そう答えるので、俺は精いっぱいだった。
まあ、そんな俺を見るコルネちゃんの目は、とっても冷たかったわけで…お兄ちゃん、ちょっとゾクゾクしちゃったよ…。
「あ、あのね、ユリアちゃん。どうして車が欲しくなったの?」
ゾクゾクで身悶えている俺を無視して、コルネちゃんがユリアちゃんに訊ねると、
「だって、おねえさまがうさぎちゃんごうもってるっていってたもん!」
「「うさぎちゃん号?」」
思わず俺とコルネちゃんが聞き返すと、ユリアちゃんは元気いっぱいに、大きく頷く。
「うん、うさぎちゃんごう!」
コルネちゃんと俺には思い当たる物があった。
「お、お兄さま…もしかして…」
「ああ、コルネちゃん…うさぎちゃん号というのは、あの俺の嫁さん専用小型二人乗り蒸気自動車の事だな…」
皆様、覚えておられますでしょうか?
小型二人乗り蒸気自動車のうさぎちゃん号。
走破性と速度を重視し、実用性を完全に無視した、偵察・斥候用の小型蒸気自動車を、嫁ーずとドワーフさん達が悪乗りしまくって魔改造した、2人乗りのスポーツタイプのオープンカー。
最近では更なる魔改造が施され、スーパーうさぎちゃん号にレベルアップしているそうだ。
たまに早朝とかにネス湖の湖畔を疾走したりしてたらしいが、最近では例の滝の見えるホテルへの森の中の一本道で、往復のタイムを競い合ったりしてるとか。
そんなうさぎちゃん号は、実は玄関前のロータリーの隅っこに停められている。
駐車中はシートを掛けているとはいえ、それはにシートなどの内装を雨風を防ぐための簡易な物。
車体その物は丸っと丸見えなのだ。
どうやら何かの切っ掛けで、うちの嫁ーずとの話の中で出てきたらしく、詳しく話を聞いたユリアちゃんは、あんな車を運転してみたいと思ったそうだ。
まあ、確かに内装はユリアちゃんも好きそうなファンシーなうさぎちゃん柄だけどね。
「そ、そうか。なるほど、アレね。ふむ…でもね、ユリアちゃん」
俺は、ユリアちゃんと目を合わせるべく膝を折った。
「な~に、おにいちゃん?」
くっ…潤んだ瞳で小首を傾げて俺を見上げる…だと?
まさか、魅了のスキルでも持っているというのか!?
いかんいかん! これは即刻レジストせねば!
「ぐっ…あ、あのね、ユリアちゃん。ユリアちゃんには、まだお車はちょっと早いかな?」
魅了を振り切り、俺が決死の覚悟で話を切り出すと、
「…だめなの?」
あ、まためっちゃ泣きそうな顔…どうにかせねば、ユリアちゃんんが泣いてしまう………あっ!
「えっと、お姉さん達みたいな車は、まだユリアちゃんが小さいから無理なんだよ。ほら、ペダルやハンドルに手足が届かないでしょう?」
そう言うと、ユリアちゃんの目から涙がポロリと一筋…やぶぁい!
「おくるま…ゆりあ…のれないの? ぅぅう…」
だーーーーーーーーーーー!
「待って待って待って! 違うから、ユリアちゃん違うから!」
「うぐっ…ひっく…ちがうの…?」
泣かないで、ユリアちゃん!
「だ、だから、お兄ちゃんがユリアちゃんでも運転できるお車を造ってあげるから! ユリアちゃん専用のきつねさん号!」
思いっきり口から出まかせのきつねさん号。
だが、その効果は絶大だった。
「きつねさん!!」
涙は瞬時に引っ込み、ものすごく期待に満ち満ち、キラキラ光る目になったユリアちゃん。
「そう、きつねさん号。でも、ちょっとだけ時間かかるけどいいかな? 大人しく良い子で待ってられるかな~?」
「うん! ユリア、ちゃんといいこでまってる!」
満面の笑みの史上最高に可愛いマイシスター。
よしよし、これでちょっと時間稼ぎ出来たぞ。
そんな俺にコルネちゃんが、こそっと耳打ち。
「お兄さま、そんな約束して大丈夫なんですか?」
うむ、任せなさい!
「だ、大丈夫だよ。ちゃんと構想は練ってるから」
そうきっぱりと告げた。
行き当たりばったりの口から出まかせの『きつねさん号計画』始動だ!
俺達の様子を黙ってみてたドワーフの親方が、ぽつりと一言。
「領主さんだば、ほんどは馬鹿け?」
聞こえてるからね…それ…。
※こっそり新作投稿しています。
姫様はおかたいのがお好き
不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!
「な、なあ、コルネちゃん…さっき、ユリアちゃんが車欲しいとか言ってたけど…」
一応、お姉ちゃんであるコルネちゃんこそこそと確認を。
「王都とかでも言ってたの?」
俺のその問いに、ちょっと困った顔で答えるコルネちゃん。
「わ、私も初めて聞きました…どうしましょう…」
うん、どうしようねえ。
「えっと、ユリアちゃん。お車欲しいの?」
「うん! ユリアもおくるまで、おねえちゃんとおでかけするの!」
な、なんですとーーーー!? お兄ちゃんとでは無く、お姉ちゃん…つまりはコルネちゃんとですとーーー!?
「あ、あのお兄さま…」
俺はユリアちゃんの容赦ない一言に膝をガックリと落胆し、地に手を付いてしまった。
ちなみに、これが『 orz 』ってアスキーアートの元だな…うん、知ってたけど…。
「おねえちゃんと、おくるまでおでかけしたーい!」
更なユリアちゃんの追い撃ちは、重要だから2回言ったって事ですね…お兄ちゃん、涙が出そう…。
「あ、あの! お兄さま、しっかりなさってください!」
俺がガックリと落ち込み、それを見ておろおろするコルネちゃんを見て、キャッキャとはしゃぐユリアちゃん。
さすが、元恐怖の大王の欠片をその身に宿した、転移者にしてユリアちゃんのベースとなった仮称・火御華さん(26歳)だけの事はあるな。
俺の心を的確に抉りダメージを与えている。
おのれカオスめ! まだユリアちゃんの身体の中に残ってたのか! しつこい奴め!
「だめなの? おにいちゃん…」
うっ、ユリアちゃん泣きそう。
「あ、え…いや、うん…何とかしよう…」
そう答えるので、俺は精いっぱいだった。
まあ、そんな俺を見るコルネちゃんの目は、とっても冷たかったわけで…お兄ちゃん、ちょっとゾクゾクしちゃったよ…。
「あ、あのね、ユリアちゃん。どうして車が欲しくなったの?」
ゾクゾクで身悶えている俺を無視して、コルネちゃんがユリアちゃんに訊ねると、
「だって、おねえさまがうさぎちゃんごうもってるっていってたもん!」
「「うさぎちゃん号?」」
思わず俺とコルネちゃんが聞き返すと、ユリアちゃんは元気いっぱいに、大きく頷く。
「うん、うさぎちゃんごう!」
コルネちゃんと俺には思い当たる物があった。
「お、お兄さま…もしかして…」
「ああ、コルネちゃん…うさぎちゃん号というのは、あの俺の嫁さん専用小型二人乗り蒸気自動車の事だな…」
皆様、覚えておられますでしょうか?
小型二人乗り蒸気自動車のうさぎちゃん号。
走破性と速度を重視し、実用性を完全に無視した、偵察・斥候用の小型蒸気自動車を、嫁ーずとドワーフさん達が悪乗りしまくって魔改造した、2人乗りのスポーツタイプのオープンカー。
最近では更なる魔改造が施され、スーパーうさぎちゃん号にレベルアップしているそうだ。
たまに早朝とかにネス湖の湖畔を疾走したりしてたらしいが、最近では例の滝の見えるホテルへの森の中の一本道で、往復のタイムを競い合ったりしてるとか。
そんなうさぎちゃん号は、実は玄関前のロータリーの隅っこに停められている。
駐車中はシートを掛けているとはいえ、それはにシートなどの内装を雨風を防ぐための簡易な物。
車体その物は丸っと丸見えなのだ。
どうやら何かの切っ掛けで、うちの嫁ーずとの話の中で出てきたらしく、詳しく話を聞いたユリアちゃんは、あんな車を運転してみたいと思ったそうだ。
まあ、確かに内装はユリアちゃんも好きそうなファンシーなうさぎちゃん柄だけどね。
「そ、そうか。なるほど、アレね。ふむ…でもね、ユリアちゃん」
俺は、ユリアちゃんと目を合わせるべく膝を折った。
「な~に、おにいちゃん?」
くっ…潤んだ瞳で小首を傾げて俺を見上げる…だと?
まさか、魅了のスキルでも持っているというのか!?
いかんいかん! これは即刻レジストせねば!
「ぐっ…あ、あのね、ユリアちゃん。ユリアちゃんには、まだお車はちょっと早いかな?」
魅了を振り切り、俺が決死の覚悟で話を切り出すと、
「…だめなの?」
あ、まためっちゃ泣きそうな顔…どうにかせねば、ユリアちゃんんが泣いてしまう………あっ!
「えっと、お姉さん達みたいな車は、まだユリアちゃんが小さいから無理なんだよ。ほら、ペダルやハンドルに手足が届かないでしょう?」
そう言うと、ユリアちゃんの目から涙がポロリと一筋…やぶぁい!
「おくるま…ゆりあ…のれないの? ぅぅう…」
だーーーーーーーーーーー!
「待って待って待って! 違うから、ユリアちゃん違うから!」
「うぐっ…ひっく…ちがうの…?」
泣かないで、ユリアちゃん!
「だ、だから、お兄ちゃんがユリアちゃんでも運転できるお車を造ってあげるから! ユリアちゃん専用のきつねさん号!」
思いっきり口から出まかせのきつねさん号。
だが、その効果は絶大だった。
「きつねさん!!」
涙は瞬時に引っ込み、ものすごく期待に満ち満ち、キラキラ光る目になったユリアちゃん。
「そう、きつねさん号。でも、ちょっとだけ時間かかるけどいいかな? 大人しく良い子で待ってられるかな~?」
「うん! ユリア、ちゃんといいこでまってる!」
満面の笑みの史上最高に可愛いマイシスター。
よしよし、これでちょっと時間稼ぎ出来たぞ。
そんな俺にコルネちゃんが、こそっと耳打ち。
「お兄さま、そんな約束して大丈夫なんですか?」
うむ、任せなさい!
「だ、大丈夫だよ。ちゃんと構想は練ってるから」
そうきっぱりと告げた。
行き当たりばったりの口から出まかせの『きつねさん号計画』始動だ!
俺達の様子を黙ってみてたドワーフの親方が、ぽつりと一言。
「領主さんだば、ほんどは馬鹿け?」
聞こえてるからね…それ…。
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