システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ずどーーーーーーーん!

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 どうやら俺の住む屋敷は、このアルテアン領トールヴァルド地区において、聖なるネス湖に佇む美しい城と認識されているらしい。
 メリルが懇切丁寧に、そう教えてくれた。
 いや、俺…城と呼べとか言ってないよね? 
 え、街の皆が勝手にそう呼んでるって? マジっすか…。
 この屋敷は ❝ 白鳥の城 ❞ って呼ばれてる? 誰が呼んでるの? 街の皆が? そうっすか…。
 もうお城でもいいけど、絶対に陛下には ❝ 城 ❞ って言わないでね。
 もう陛下に言っちゃったの? 誰が? メリルさんですか…そですか…まあ、お父上だもんね…。
 それで、何か言われた? 是非観たいと? はぁ…んじゃ近いうちに招待しましょうか…怒られないなら、もう何でもいいや。

 俺がガックリと肩を落として落ち込んでいる間にも、ドワーフメイド衆とユズユズ、されにリリアさんに、ナディアやアーデ達妖精族一同が、力を合わせて母さん達の荷物をエッチラオッチラと母さんが逗留することになっている部屋へと運び入れていた。
 出産と育児の為に母さん達はこの屋敷に暫くの間逗留するわけだが、実はこれにもとっても大事な意味がある。
 それは、将来的に嫁ーずカが妊娠・出産した時の為のお勉強という、今後絶対に必要になる、とてもとて大事な事なのだ。
 まだ現状では妊娠していないが、ヤル事はしっかりとヤッてる(ヤリまくっているとも、絞り取られてるともいう)のだから、何時妊娠したとしてもおかしくない。
 それは俺達夫婦だけでなくユズユズ夫婦にとっても言える事。
 もしそうなった時に、経験豊富な人が近くに居てくれるという分けでも無い。
 その時になって慌てたって遅いんだから、事前にちゃんと妊娠・出産や育児に関する知識や経験を母さんから学ぶ事が、実は目的でもある。

 当然ではあるが、第一目標は、良い環境でしっかりと元気な赤ちゃん(妹望む)を無事に産んでもらう事。
 環境的には、ゴミゴミとした王都とは違い、美しい湖に面したこの屋敷は、とても穏やかなので、環境的には良いはずだ。
 外見的にはね…。
 人魚さん達のミイラ大量製造サバトが開催されている事は、黙ってて欲しい。
 あれ、絶対に妊婦さんにとって良い影響を与えてなんてくれないから、絶対。
 まあ、朝靄の中、ネス湖の周りを散歩したりする分には、本当に気分の良い土地だけどね。

 さて、一旦落ち着いた事だし、母さん達の事はドワーフメイド衆や妖精族に任せて、俺はちょっとドワーフさんの工房へ。
 取りあえず今まで乗っていた新型蒸気自動車に関してのあれやこれやを話に行きましょうかね。
 これも改良を重ねて、将来的には量産する予定なのだ。
「んじゃ、ちょっと行ってくるから、後は任せたよ」
 そうリリアさんに言付けて、俺は玄関前に駐車していた車へと向かうと、
「ぉにぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん! どこいくのぉぉぉぉぉぉ!?」
 吹き抜けの玄関ホールへ、ずどーーーーーーーん! ともの凄い効果音を伴って、3階から幼女が降って来た。
 うん、声を聞いた時にすぐわかったよ、ユリアちゃん。
「いや、ちょっと車の改良の事で工房へと…」
 振り返ると、同じく、ずどーーーーーーーん! と、純白の創界シスターことコルネちゃんも降って来た。
「ユリアちゃん、ちゃんと階段を使わなきゃダメでしょう!」
 ああ、コルネちゃんがユリアちゃんを追いかけて来たんだ…変身までして…。
 ってか、そもそも君も降って来たよね、3階から。
 床に盛大に罅が入ってるのは、気のせいじゃないと思う。
「だってぇ、おにいちゃんがユリアにないしょでおでかけしようとしてたんだもん!」
 いや、だからお仕事をですね…。
「お兄さま、どこへ行かれるんですか? あ…リリース」
 コルネちゃんの変身解除のキーワードと共に、純白の創界シスターのフル装備は、眩い光とともにくひまわりのペンダントに吸い込まれ、コルネちゃんが素顔を現した。
「えっと、ユリアちゃんにも言ったんだけど、ちょっと車の改良のために工房へと…」
 何でコルネちゃんに睨まれてるんだろう?
「ユリアちゃんを連れて、一緒に行く事は出来ないのですか?」
 ああ、うん…まあ…。
「大丈夫だと思うけど…来る?」
 そうコルネちゃんに答えつつ、ユリアちゃんへと視線を向けると、満面の笑みでユリアちゃんは、
「いっしょにいくー! おねえちゃんも!」
「しょうがないわねえ…ではお兄さま、そう言う事で」
 何がそう言う事なのか分からないが、一緒に行くんですね…分りましたよ…。

「あ、そうだ! ユリアねえ、おにいちゃんにおねがいあったんだ!」
 俺に、お願い? 
 どうしたどうした、小遣いでも欲しいのかい? 良いだろう、幾らでもお兄ちゃんがあげようじゃないか。
「お小遣いかな?」 
 俺がニッコリ笑ってそう言うと、ぶんぶんと首を振ったユリアちゃんは、
「ユリアも、おくるまほしい!」 
 …何か、とんでも無い事を言い出した。
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