システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
786 / 1,466

長い旅路

しおりを挟む
 ホワイト・オルター号のコックピットで、俺はユリアちゃんのちっちゃなお尻の感触を楽しむと同時に、断続的に突き刺さるユリアちゃんのお尻の骨からの攻撃に耐えながら、この大空を我が家に向かって飛んでいた。
 いや、正確には父さんの領地の領都リーカにある父さんの屋敷に向かってだ。
 俺の様子を微笑ましく眺めていたのは母さんだけで、実は嫁ーずとナディアには汚物を見るような目で俺を見ていたのだが…それを知ったのは、もちょっと後での事。
 まあ、ナディアがリーカ到着直前に、
「マスターがユリアーネさまをお膝にのせていた時の顔は、モザイク案件でした」
 とか言って来たから分かったのだが。 
 ってか、誰がモザイク案件か!
 何でピンポイントでそんなアレな言葉を知ってんだよ!
 痛いのを我慢してユリアちゃんをお膝に乗せていたというのに。
 全くもって、トール君は、ぷんぷん激おこ丸だぞ?
 ま、誰もそれに関しては特に何も言って来なかったので、今回は許して進ぜよう。
 あ…でもコルネちゃんが、ユリアちゃんを俺から奪って抱きしめ俺を睨んでる。
 お兄ちゃん、コルネちゃんに何でそんな目で見られるんだろう…おかしいなあ…。

 さて、領都リーカの上空に差し掛かった飛行船は、ゆっくりと父さんの屋敷と大樹を中心に、大きく弧を描く様に旋回し、屋敷の前庭…というか空き地へとゆっくりと降下した。
 ここでの予定は、母さんとナディア、コルネちゃんとユリアちゃんを一時降ろす事。
 ま、着替えや必要な物をこの地で買い込んでもらうつもりだ。
 俺の領地で購入してもいいのだが、母さんの馴染みの職人が多くいるこの領都リートの方が、色々と揃うし母さんの好みも分かっているので都合が良い。
 特に下着なんかは好みの物を用意しないと、後で「ちょっとトールちゃん、ブラ買ってきて」とか言われても困るからな。
 母さんお馴染みの服飾職人さんは、妙齢のおばさんなんで、本当に色々と都合良いんだ。
 あと、コルネちゃんに久々に大樹の世話をお願いしたいという建前も有る。
 実際には世話なんてものは不要で、妖精族の誰かが大樹の保有エネルギー量をチェックしてもらえばいいだけの事なんだが、一応コルネちゃんのお役目はネスの新樹の巫女。
 ついでにユリアちゃんは、その補助をする神子って立場でもあるからね。

 あ、そう言えば…
「コルネちゃん、そう言えば暫く着てなかったと思うけど、巫女服ってサイズ的にどうなんだ?」
 王都に行っているほんのちょっとの間に、コルネちゃんも色々と成長しているようだし。
 どこがって言ったら…言葉にしたら刺されそうだから言わないけど、あちこちね。
 そんな俺に、コルネちゃんはまたもや蔑む様な目で俺を見やると、
「新しい巫女服を王都で誂えましたから大丈夫です。私が今まで着ていた物は、ユリアちゃんように仕立て直しているので、お兄さまが心配なさる必要はございません」
 やんわりとだけど、きっぱりとこの話題は拒絶されてしまった。
 うん、年頃の女の子に服のサイズとか聞いたらまずかったかな?
 でも、ほら…兄妹だから、別にいいじゃん、ちょっとぐらい。
 特に最近成長著しい胸部とか乳とかおっぱいとかのサイズは、お兄ちゃん知りたいんだけどなあ…。
 あ、嫁ーずまでもが刺し殺されそうなぐらいに尖がった氷柱の視線になった…いえ、もう良いです…。

 取り合えず3人を降ろして一服した俺と嫁ーずは、一路我が家へと飛び立った。
 何だかなあ…今回の王都行きは、滅茶苦茶疲れたなあ…。
 家路と続く空は、すでに遠く茜色に染まりつつあった。
「トール様、帰ったらお義母さまとの会議での事でお話が有ります」
 ため息をつきながら、やっと終わりに近づいたやけに長かった今回の旅路について回想していると、メリルにそんな事を言われた。
「皆さんも、忘れてませんわよね?」
 残る4人の嫁ーずに向かいメリルが問うと、
「「「「 もちろんです! 」」」」
 声を揃えて返事をした。

 そんな嫁ーずの言葉に、思わず口遊んでしまった懐かしいあの歌…。
「北国〇~♪ 旅〇空~♪ 流れ〇雲遥か~♪ 時に人恋しく~…あっ!」
 俺の歌に聞き入っていた嫁ーず…しまったかも! これ、前世の歌じゃねーか!
 すると、少し潤んだ目でメリルが俺を見つめて、
「トール様…」
 え、泣きそう…? 
「ちょうど良かったです! 思わず歌ってしまう程に、人恋しかったのですね。帰ったら、たっぷりと私達で癒してあげましょう、みなさん!」
「「「「 はいっ! 」」」」
 ちょ! そういう意味じゃないから! 
 その癒しは危険だから!
 絶対に俺が頑張るナニだよね?
 それ、俺の癒しじゃないから!
 だ、誰も聞いちゃいねぇ!

 俺の長い旅路は、枯れて干からびるまで終わらないのかもしれん…。





※ こっそり新作投稿しています。
  【姫様はおかたいのがお好き】
  不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!


※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
  もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、 
  よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児  
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...