システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
785 / 1,466

わかるよね?

しおりを挟む
 夜間の空の上で行われたらしい、アルテアン家の女会議は、どうやら一瞬で終わった様だ。
 結果は推して知るべし…そう、計画を強力に後押しする事が満場一致で決まったらしい。
 アルテアン家の女では無いにも拘らず、何故か妖精族代表として参加していたナディアがそう伝えて来た。
 当の本人の意向は、一切反映されなかったらしい…無念…。

 俺は、まんじりともせずベッドの上で天井を見上げていた。
 天井を見上げ思うのは、あのパンゲア大陸の至る所に立っている俺の像。
 ネスや太陽神、月神、大地神の像を造るのは一向に構わない。
 教会とかに飾られているマリア像とかと一緒で、綺麗な女性や少女達の像は、見ていて苦にならない。
 ある種の芸術と言ってもいいぐらいだ。
 信者たちにも、心に安らぎを与えてくれるだろう。
 そこに俺の像?
 そんな物を見て、人々はどう思う?
 神社とかお寺に有る様な仏像とかでもないんだぞ?
 単なる男の俺の立像って、需要あるのか?
 前世でもたまにどっかの駅前とか公園とか商店街の端っことかに、何の変哲もないどっかのおっさんの像とか建ってるのを見たことあるが、あんなの誰の像か名前すら知らねえし興味もねえ。
 それと同列になるんだぞ、俺の像。
 きっと、パンゲア大陸の人々も、ネスの像の添え物として造られた俺の像を見て、『こいつ、誰?』ってなるに違いない。
 はぁ…祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…いや、全然関係はないけど、そんな気分だなあ…。
 ぼへぇっと意味も無い事をあれやこれやと考えているうちに、いつの間にか俺の意識はまどろみの彼方へと沈んでいった。

 翌朝、最高にして最低な目覚めの時を俺は迎えた。
 何が最高かって? 
 もちろんユリアちゃんが、
「お・に・い・ちゃ・ん…あっさだよぉぉぉぉ!」
 っと、起こしに来てくれた事だ。
 んじゃ何が最低なんだってか?
 それは、「どーーーーん!」とか言いながら、ユリアちゃんが全力で寝ている俺に駆け寄ってランニング・ボディ・プレスをかましてくれたからだな。
 うん、この狭い部屋で全力で助走してからのジャンピングは、強烈だったよ。
 お兄ちゃん、思わず内臓がお口とお尻から飛び出しそうだった。
 まあ、出たのが『ぐぇ!』っていう、カエルが潰れたた時の様な声だけだったけど。
 腹を抱えて悶絶している俺を見たユリアちゃんは、けたけたと俺を指さして笑顔で喜んでいたけど、
「ほ、他の人にはしちゃだめだから…ね? お約束だから、ね?」
 と、注意だけはしておいた。
 注意を聞いてくれる気があるのかどうか分らんけど、
「そんなことより、ごはんいこう!」
 と、身だしなみも整えてない俺の手を引っ張って(かなりの馬鹿力)、食堂へと走る幼女。
 お兄ちゃん、まだパジャマなんだけどなあ…家族しかいないから、まあいっか。

 食堂では、女性陣全員が、身なりをきちんと整えて俺を出迎えてくれた。
 …ぼさぼさ髪とパジャマ姿でこの女性陣の前に出るのは恥ずかしいけど、こればっかりは仕方ない。
 だって、ユリアちゃんに手を引っ張られ(肩が抜けるぐらいの力で)たら、嫌とは言えないだろ?
 俺が恥ずかしい思いをするぐらいは、我慢できるってもんだ。
 まあ、女性陣からのとてもとても残念な人を見るような視線が、俺の精神をがりがりと削ったが…。
 冷たい視線にゾクゾクしながら(変な性癖は覚醒してないぞ?)も朝食を終えた俺は、一旦自室にて身だしなみを整えたのち、操縦席へと座った。
 相も変わらずコックピットの後ろでは、女性陣が楽しそうにワイワイとお茶しながら談笑している。
 まだ着陸までは間が有るのでここに座る必要も無いんだが、あの輪の中に入るのを躊躇われたから、ここに一人で座ってるってわけ。
 俺の気持ち、わかるよね? 
 え、分かんない?
 そっか…分かんないかぁ…。

 あ、でも味方が一人は居たんだ!
 それはコックピットに座る俺のお膝の上に座って、両足をプラプラしているユリアちゃん。
 操縦席に座ってみたいって言ったけど、流石に一人では何をするか分からなかったから、俺がこうして半分抱っこする形にして一緒に座ってるってわけ。
 それを味方と呼んでいいのかって? 良いんだよ、俺の気持ちの問題だ!
 本来であれば、飛行船本体のせいで、上を向いても何も見えるはずがないキャビンの中で、唯一それが見える場所であるキャビンは、ユリアちゃんにとってはとても興味深い物だったらしい。
 勿論だがキャビンの後方なんて見えるはずもないのだが、それもモニターっぽい物に映し出されており、全周が見えるこの席は、ユリアちゃんにとっては、憧れの席だったとか。
 まあ、今はオートパイロット中なので、それを解除するボタンを押さない限りは問題ない。
 嬉しそうに、あっち見たりこっち見たりするたびに、両足がバタバタするユリアちゃん。
 うん、ちょっと落ち着いてじっとしようね…お兄ちゃん、地味に太ももが痛くなるから…。




※ こっそり新作投稿しています。
  【姫様はおかたいのがお好き】
  不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!


※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
  もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、 
  よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児  

しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...