770 / 1,466
お兄ちゃん心配です
しおりを挟む
王都も、随分と多くの蒸気自動車が走り回る様になったんだなあ。
まあ、普及できるようにかなり簡素な造りの魔道具式の蒸気機関を組み込んだ物ではあるが、それでも大きさ的には日本の軽四の1BOX程はある。
しかも価格も価格も比較的抑えてはいるが、それでも平均的な王都民の年収の3倍近くになる。
のっぺらしたボディーに商店とかの名前が入ってるところを見ると、結構な豪商とかが購入してるのかな?
少量の水とごく小さい炎で蒸気を作り出し、それを動力源としている事から、とても燃費的には良い。
燃料の魔石も、親指ほどの大きさの物1個で、距離的には300kmほどは走るだろう。
予備の魔石といったって大きい物じゃないから置く場所に困る事も無いから、ほとんどの車が数個は積んで走っているそうだ。
ま、我が家が多数保有している蒸気自動車は、ドワーフの職人さんが魔改造しまくってるんで、蒸気機関部が複数搭載されてたり、仕組みは良く知らんけどクラッチとギアが付いてるんで、もの凄くスピードがでちゃったりもする。
嫁達が普段乗り回しているのは、二人乗りスポーツタイプの蒸気自動車であるドワーフ謹製の『うさぎちゃん号』は、最近さらなる改造が施されて、4WDになったとか…。
すごくコーナーで踏ん張ってくれると、嬉しそうにイネスとミルシェが例のホテルへの道のコーナーを攻めていた。
最近、ドリフトも覚えたとか…え~っと…君達、イニシャルがⅮなんでしょうか…?
ま、事故しなければ、それはいいや。
兎に角、王都の商人さん達にも少しづつ浸透し普及している蒸気自動車。
もちろん貴族たちはもっと豪華仕様をお買い上げになっているし、紋章とか描いたり、特別カラーに塗ったりしていたりするのが多いけど、商人さんは真っ白けっけのボディーが人気。
さっきも言ったが、看板代わりなのかもしれないけど商会とか商店の名前を入れるのに都合が良いってのが理由なのかな。
おかげで昭和の頃の道路みたいに、すれ違う蒸気自動車のほとんどが白色。
子供の頃は、道路に向かって石を投げたら、白い車にぶつかるって言うぐらい、とかく白い車が多かったよなあ…あれ? 何で俺ってそんな事を考えてたんだっけ?
あ、そうだ、思い出した!
現実逃避してたんだった。
今は、王城から王都にある父さんの屋敷迄の道のりを、ミニバン風の3列シートの蒸気自動車に乗って、嫁達と父さんと7人で移動している最中だった。
余計なことを考えてると事故するから、運転に集中すべ!
って考えなおしたら、もう父さんの屋敷の前だった。
前世でもたまに居眠り運転した事あったけど、何故か事故した事なかったなあ。
結構、運がいいのかな、俺。
ぼんやりとそんな事を考えながら、父さんの屋敷の門を通り抜け、屋敷の玄関横にある駐車スペース(と、勝手に俺は思っているが、別の用途の為の場所かもしれない)に蒸気自動車を停めた。
全員でぞろぞろと車を降りて玄関に向かっていると、どこからともなく声が聞こえた。
「ぉ………に……い…ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
その声で、咄嗟に屋敷の二階に目を向けてしまった俺は愚か者かもしれない。
直後に、『どーーーーーーーーん!』と、背中…正確には腰あたりにとてつもない衝撃を受けた俺は、冗談の様に吹っ飛んで豪華な玄関前に顔面から突っ込んだ。
「いててて…何が…」
身体を片手で支え起こした後、両手で顔を摩りながら衝撃を受けた腰の痛みの原因に目を向けようとすると、さらに『ぎゅーーー!』と、その原因が俺を締め付けた。
振り返ると、俺を締め付けていた正体が判明。
いや、誰もがすでに分かっているだろうけど、それはニコニコ顔のユリアちゃん。
ふと嫁達の方を見ると、お腹がちょっと大きくなった笑顔の母さんと、真っ青な顔したコルネちゃんが、嫁達の向こう側に立っていた。
ああ、きっと3人でお庭を散歩してたんだろう。
妊婦には適度な運動も必要だし…などと、他愛も無い事を考えながら、ニコニコ顔で俺を絶賛鯖折り中のユリアちゃんの頭を撫でた。
まぁ、お散布中に俺達の乗った車が入って来たのを発見し、そして俺が降りて来たのを見て、ユリアちゃんが突進してきた…という所だろう。
腰の重りをよしよししながら、俺は痛む腰をさすりつつ、『よっこらせ』と言いながら立ち上がった。
俺が無事なのを確認したコルネちゃんは、明らかにほっとしたような顔。
母さんは…表情変わらんな…ちょっとぐらい、俺の事を心配してくれてもいいんだよ、ママン?
そしてニコニコ顔のユリアちゃんは、立ち上がった俺の腰にくっついたまま。
うん、俺だからよかったけど…これ、一般人に突進してたら重症間違いない案件だぞ、ユリアちゃん。
いや、もしかしたらもっと大変な事件になっちゃうかもしれないから、俺以外の人にはやっちゃ駄目だぞ?
え、父さんには毎日してる? まぁ、父さんならOKって事にしておこう。
でもね、ユリアちゃん。
お兄ちゃんは、コルネちゃんのお見合い話もとても心配だけど、君の場合は色々と別の意味で将来が心配です。
※ こっそり新作投稿しています。
【姫様はおかたいのがお好き】
不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!
※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、
よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児
まあ、普及できるようにかなり簡素な造りの魔道具式の蒸気機関を組み込んだ物ではあるが、それでも大きさ的には日本の軽四の1BOX程はある。
しかも価格も価格も比較的抑えてはいるが、それでも平均的な王都民の年収の3倍近くになる。
のっぺらしたボディーに商店とかの名前が入ってるところを見ると、結構な豪商とかが購入してるのかな?
少量の水とごく小さい炎で蒸気を作り出し、それを動力源としている事から、とても燃費的には良い。
燃料の魔石も、親指ほどの大きさの物1個で、距離的には300kmほどは走るだろう。
予備の魔石といったって大きい物じゃないから置く場所に困る事も無いから、ほとんどの車が数個は積んで走っているそうだ。
ま、我が家が多数保有している蒸気自動車は、ドワーフの職人さんが魔改造しまくってるんで、蒸気機関部が複数搭載されてたり、仕組みは良く知らんけどクラッチとギアが付いてるんで、もの凄くスピードがでちゃったりもする。
嫁達が普段乗り回しているのは、二人乗りスポーツタイプの蒸気自動車であるドワーフ謹製の『うさぎちゃん号』は、最近さらなる改造が施されて、4WDになったとか…。
すごくコーナーで踏ん張ってくれると、嬉しそうにイネスとミルシェが例のホテルへの道のコーナーを攻めていた。
最近、ドリフトも覚えたとか…え~っと…君達、イニシャルがⅮなんでしょうか…?
ま、事故しなければ、それはいいや。
兎に角、王都の商人さん達にも少しづつ浸透し普及している蒸気自動車。
もちろん貴族たちはもっと豪華仕様をお買い上げになっているし、紋章とか描いたり、特別カラーに塗ったりしていたりするのが多いけど、商人さんは真っ白けっけのボディーが人気。
さっきも言ったが、看板代わりなのかもしれないけど商会とか商店の名前を入れるのに都合が良いってのが理由なのかな。
おかげで昭和の頃の道路みたいに、すれ違う蒸気自動車のほとんどが白色。
子供の頃は、道路に向かって石を投げたら、白い車にぶつかるって言うぐらい、とかく白い車が多かったよなあ…あれ? 何で俺ってそんな事を考えてたんだっけ?
あ、そうだ、思い出した!
現実逃避してたんだった。
今は、王城から王都にある父さんの屋敷迄の道のりを、ミニバン風の3列シートの蒸気自動車に乗って、嫁達と父さんと7人で移動している最中だった。
余計なことを考えてると事故するから、運転に集中すべ!
って考えなおしたら、もう父さんの屋敷の前だった。
前世でもたまに居眠り運転した事あったけど、何故か事故した事なかったなあ。
結構、運がいいのかな、俺。
ぼんやりとそんな事を考えながら、父さんの屋敷の門を通り抜け、屋敷の玄関横にある駐車スペース(と、勝手に俺は思っているが、別の用途の為の場所かもしれない)に蒸気自動車を停めた。
全員でぞろぞろと車を降りて玄関に向かっていると、どこからともなく声が聞こえた。
「ぉ………に……い…ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
その声で、咄嗟に屋敷の二階に目を向けてしまった俺は愚か者かもしれない。
直後に、『どーーーーーーーーん!』と、背中…正確には腰あたりにとてつもない衝撃を受けた俺は、冗談の様に吹っ飛んで豪華な玄関前に顔面から突っ込んだ。
「いててて…何が…」
身体を片手で支え起こした後、両手で顔を摩りながら衝撃を受けた腰の痛みの原因に目を向けようとすると、さらに『ぎゅーーー!』と、その原因が俺を締め付けた。
振り返ると、俺を締め付けていた正体が判明。
いや、誰もがすでに分かっているだろうけど、それはニコニコ顔のユリアちゃん。
ふと嫁達の方を見ると、お腹がちょっと大きくなった笑顔の母さんと、真っ青な顔したコルネちゃんが、嫁達の向こう側に立っていた。
ああ、きっと3人でお庭を散歩してたんだろう。
妊婦には適度な運動も必要だし…などと、他愛も無い事を考えながら、ニコニコ顔で俺を絶賛鯖折り中のユリアちゃんの頭を撫でた。
まぁ、お散布中に俺達の乗った車が入って来たのを発見し、そして俺が降りて来たのを見て、ユリアちゃんが突進してきた…という所だろう。
腰の重りをよしよししながら、俺は痛む腰をさすりつつ、『よっこらせ』と言いながら立ち上がった。
俺が無事なのを確認したコルネちゃんは、明らかにほっとしたような顔。
母さんは…表情変わらんな…ちょっとぐらい、俺の事を心配してくれてもいいんだよ、ママン?
そしてニコニコ顔のユリアちゃんは、立ち上がった俺の腰にくっついたまま。
うん、俺だからよかったけど…これ、一般人に突進してたら重症間違いない案件だぞ、ユリアちゃん。
いや、もしかしたらもっと大変な事件になっちゃうかもしれないから、俺以外の人にはやっちゃ駄目だぞ?
え、父さんには毎日してる? まぁ、父さんならOKって事にしておこう。
でもね、ユリアちゃん。
お兄ちゃんは、コルネちゃんのお見合い話もとても心配だけど、君の場合は色々と別の意味で将来が心配です。
※ こっそり新作投稿しています。
【姫様はおかたいのがお好き】
不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!
※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、
よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児
1
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる