システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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お兄ちゃん心配です

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 王都も、随分と多くの蒸気自動車が走り回る様になったんだなあ。
 まあ、普及できるようにかなり簡素な造りの魔道具式の蒸気機関を組み込んだ物ではあるが、それでも大きさ的には日本の軽四の1BOX程はある。
 しかも価格も価格も比較的抑えてはいるが、それでも平均的な王都民の年収の3倍近くになる。
 のっぺらしたボディーに商店とかの名前が入ってるところを見ると、結構な豪商とかが購入してるのかな?
 少量の水とごく小さい炎で蒸気を作り出し、それを動力源としている事から、とても燃費的には良い。
 燃料の魔石も、親指ほどの大きさの物1個で、距離的には300kmほどは走るだろう。
 予備の魔石といったって大きい物じゃないから置く場所に困る事も無いから、ほとんどの車が数個は積んで走っているそうだ。

 ま、我が家が多数保有している蒸気自動車は、ドワーフの職人さんが魔改造しまくってるんで、蒸気機関部が複数搭載されてたり、仕組みは良く知らんけどクラッチとギアが付いてるんで、もの凄くスピードがでちゃったりもする。
 嫁達が普段乗り回しているのは、二人乗りスポーツタイプの蒸気自動車であるドワーフ謹製の『うさぎちゃん号』は、最近さらなる改造が施されて、4WDになったとか…。
 すごくコーナーで踏ん張ってくれると、嬉しそうにイネスとミルシェが例のホテルへの道のコーナーを攻めていた。
 最近、ドリフトも覚えたとか…え~っと…君達、イニシャルがⅮなんでしょうか…?
 ま、事故しなければ、それはいいや。
 兎に角、王都の商人さん達にも少しづつ浸透し普及している蒸気自動車。
 もちろん貴族たちはもっと豪華仕様をお買い上げになっているし、紋章とか描いたり、特別カラーに塗ったりしていたりするのが多いけど、商人さんは真っ白けっけのボディーが人気。
 さっきも言ったが、看板代わりなのかもしれないけど商会とか商店の名前を入れるのに都合が良いってのが理由なのかな。
 おかげで昭和の頃の道路みたいに、すれ違う蒸気自動車のほとんどが白色。
 子供の頃は、道路に向かって石を投げたら、白い車にぶつかるって言うぐらい、とかく白い車が多かったよなあ…あれ? 何で俺ってそんな事を考えてたんだっけ?

 あ、そうだ、思い出した!
 現実逃避してたんだった。
 今は、王城から王都にある父さんの屋敷迄の道のりを、ミニバン風の3列シートの蒸気自動車に乗って、嫁達と父さんと7人で移動している最中だった。
 余計なことを考えてると事故するから、運転に集中すべ!
 って考えなおしたら、もう父さんの屋敷の前だった。
 前世でもたまに居眠り運転した事あったけど、何故か事故した事なかったなあ。
 結構、運がいいのかな、俺。

 ぼんやりとそんな事を考えながら、父さんの屋敷の門を通り抜け、屋敷の玄関横にある駐車スペース(と、勝手に俺は思っているが、別の用途の為の場所かもしれない)に蒸気自動車を停めた。
 全員でぞろぞろと車を降りて玄関に向かっていると、どこからともなく声が聞こえた。
「ぉ………に……い…ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
 その声で、咄嗟に屋敷の二階に目を向けてしまった俺は愚か者かもしれない。 
 直後に、『どーーーーーーーーん!』と、背中…正確には腰あたりにとてつもない衝撃を受けた俺は、冗談の様に吹っ飛んで豪華な玄関前に顔面から突っ込んだ。
「いててて…何が…」
 身体を片手で支え起こした後、両手で顔を摩りながら衝撃を受けた腰の痛みの原因に目を向けようとすると、さらに『ぎゅーーー!』と、その原因が俺を締め付けた。
 振り返ると、俺を締め付けていた正体が判明。
 いや、誰もがすでに分かっているだろうけど、それはニコニコ顔のユリアちゃん。
 ふと嫁達の方を見ると、お腹がちょっと大きくなった笑顔の母さんと、真っ青な顔したコルネちゃんが、嫁達の向こう側に立っていた。
 ああ、きっと3人でお庭を散歩してたんだろう。
 妊婦には適度な運動も必要だし…などと、他愛も無い事を考えながら、ニコニコ顔で俺を絶賛鯖折り中のユリアちゃんの頭を撫でた。
 まぁ、お散布中に俺達の乗った車が入って来たのを発見し、そして俺が降りて来たのを見て、ユリアちゃんが突進してきた…という所だろう。
 腰の重りをよしよししながら、俺は痛む腰をさすりつつ、『よっこらせ』と言いながら立ち上がった。
 
 俺が無事なのを確認したコルネちゃんは、明らかにほっとしたような顔。
 母さんは…表情変わらんな…ちょっとぐらい、俺の事を心配してくれてもいいんだよ、ママン?
 そしてニコニコ顔のユリアちゃんは、立ち上がった俺の腰にくっついたまま。
 うん、俺だからよかったけど…これ、一般人に突進してたら重症間違いない案件だぞ、ユリアちゃん。
 いや、もしかしたらもっと大変な事件になっちゃうかもしれないから、俺以外の人にはやっちゃ駄目だぞ?
 え、父さんには毎日してる? まぁ、父さんならOKって事にしておこう。

 でもね、ユリアちゃん。
 お兄ちゃんは、コルネちゃんのお見合い話もとても心配だけど、君の場合は色々と別の意味で将来が心配です。



※ こっそり新作投稿しています。
  【姫様はおかたいのがお好き】
  不定期更新ですが、( `・∀・´)ノヨロシクオネガイシマス!


※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
  もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、 
  よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児    
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