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解脱への道
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あの夜、ユズキに手渡されたメモに書かれていた言葉。
それは、モークシャマールガ。
ジャイナ教で有名な、解脱への道という意味を表す言葉だ。
え? そもそもジャイナ教を知らん? では、教えて進ぜよう。
インドの宗教だ。
それだけかって? うん、実は俺も良くは知らん。
インドの宗教と言えば、有名なのはゴータマ・シッダールタつまりお釈迦様を開祖とする仏教が有名だ。
仏教はインドだけでなく、中国に伝わり、やがて日本にも伝わり広まった宗教で、身近な宗教だ。
もしかすると、世界で最も信者が多いとされるキリスト教よりも、日本国内では仏教徒の方が多いのではないだろうか。
これは単純にお寺とお墓の数が、キリスト教の教会とお墓に対して圧倒的に多い事からの推測だ。
単に日本人は無くなったらお寺で葬式って流れ名だけで、きちんとした仏教徒という分けではないだろうが。
昨今では、結婚式は教会で、死んだらお坊さんにお経を…って感じなんだから、日本人は節操のない無宗教人だろう。
かく言う俺も、結婚式はチャペルだったし、祖父母の葬式の時はお寺だった。
前世の俺は事故死したけど、きっとお墓は一族代々の墓に俺も入ってるんだろう。
おっと、話が逸れてしまった。
そんな有名な仏教とは違い、ジャイナ教ってのはほぼインド国内でしか広まっていない。
前世の俺の時代でも、インドにはジャイナ教の僧侶はいたのだが、数は少ないとかなんとか。
一説によると、仏教にも影響を与えた宗教らしく、2,000年を越える歴史があるとかなんとか。
ま、俺にはこの程度しか知識は無いんだが…。
さて、問題のメモの言葉、モークシャマールガだが、何で俺がそんな言葉を残したのかが、今考えるべき事だと思う。
というか、すでに答えは想像が付いている。
単純にその単語の意味は、解脱への道。
では解脱とは何ぞや?
悟りを得、自由の境地に到達する事であり、すなわち輪廻転生の輪から外れる事を意味する。
解脱への道とは、つまりその境地に至るまでの方法というか成すべき事を指していて、信仰、知識、振る舞いを、常に正しく実践しなさいという、ジャイナ教の教えの事だ。
では、何で俺が目覚めた時に、そんな言葉が書かれたメモを渡す様にユズキに預けたのか?
つまりは、俺が気を失う事を前提としていた。
もっと言えば、その時の記憶をなくす事すら前提としていたって事だ。
俺が気を失い、記憶まで消える…そんな事が出来るのは、サラかリリアさん、もしくは輪廻転生管理局その物だけだ。
いや、はっきり言おう。
輪廻転生管理局だけだ。
しかも、その指揮をとったのは、どう考えても管理局長その人。
俺は気を失う前、管理局にとって都合の悪い事に気付いてしまった。
なので、近い将来起こるであろう記憶の消去の対策として、メモを書いていた。
そして、それをユズキに預け、大事な記憶が消え去った時に、またそれを思い起こせるようにしていた。
ほぼ、これで間違いない。
あのメモを手渡された時、瞬時に考える事が出来たのは以上だ。
さて、では管理局にとって都合の悪い事とは何ぞや?
いかんいかん! ここで深く思考をしていると、きっとまた局長に記憶を消されてしまうに違いない。
今は記憶消去の直後で、局長もサラもリリアさんも油断しているだろうが、長々と思考時間を掛けてしまうと、また気付かれてしまう恐れがある。
折角、嫁達が大人しくしているのだから、今夜はぐっすりと寝て、明日の朝は鍛錬でもしながらサラ達の様子を見るとするか。
うむ、今夜はもう寝よう。
これが昨夜の出来事だ。
そして鍛錬と朝食の時のサラとリリアさんの様子を見るに、俺が例のメモを手にした事には気付いていない様だ。
本当に俺の記憶が消えているのかの、確認のための観察はしていたようだがな。
今は大人しくしておこう。
昨日の様に、焦って答えを求める様な事は止めだ。
また記憶を消されでもしたら面倒だからな。
今度は、ゆっくり、少しずつ、あの時何に思い至ったのかを考えるとしようかね。
それは、モークシャマールガ。
ジャイナ教で有名な、解脱への道という意味を表す言葉だ。
え? そもそもジャイナ教を知らん? では、教えて進ぜよう。
インドの宗教だ。
それだけかって? うん、実は俺も良くは知らん。
インドの宗教と言えば、有名なのはゴータマ・シッダールタつまりお釈迦様を開祖とする仏教が有名だ。
仏教はインドだけでなく、中国に伝わり、やがて日本にも伝わり広まった宗教で、身近な宗教だ。
もしかすると、世界で最も信者が多いとされるキリスト教よりも、日本国内では仏教徒の方が多いのではないだろうか。
これは単純にお寺とお墓の数が、キリスト教の教会とお墓に対して圧倒的に多い事からの推測だ。
単に日本人は無くなったらお寺で葬式って流れ名だけで、きちんとした仏教徒という分けではないだろうが。
昨今では、結婚式は教会で、死んだらお坊さんにお経を…って感じなんだから、日本人は節操のない無宗教人だろう。
かく言う俺も、結婚式はチャペルだったし、祖父母の葬式の時はお寺だった。
前世の俺は事故死したけど、きっとお墓は一族代々の墓に俺も入ってるんだろう。
おっと、話が逸れてしまった。
そんな有名な仏教とは違い、ジャイナ教ってのはほぼインド国内でしか広まっていない。
前世の俺の時代でも、インドにはジャイナ教の僧侶はいたのだが、数は少ないとかなんとか。
一説によると、仏教にも影響を与えた宗教らしく、2,000年を越える歴史があるとかなんとか。
ま、俺にはこの程度しか知識は無いんだが…。
さて、問題のメモの言葉、モークシャマールガだが、何で俺がそんな言葉を残したのかが、今考えるべき事だと思う。
というか、すでに答えは想像が付いている。
単純にその単語の意味は、解脱への道。
では解脱とは何ぞや?
悟りを得、自由の境地に到達する事であり、すなわち輪廻転生の輪から外れる事を意味する。
解脱への道とは、つまりその境地に至るまでの方法というか成すべき事を指していて、信仰、知識、振る舞いを、常に正しく実践しなさいという、ジャイナ教の教えの事だ。
では、何で俺が目覚めた時に、そんな言葉が書かれたメモを渡す様にユズキに預けたのか?
つまりは、俺が気を失う事を前提としていた。
もっと言えば、その時の記憶をなくす事すら前提としていたって事だ。
俺が気を失い、記憶まで消える…そんな事が出来るのは、サラかリリアさん、もしくは輪廻転生管理局その物だけだ。
いや、はっきり言おう。
輪廻転生管理局だけだ。
しかも、その指揮をとったのは、どう考えても管理局長その人。
俺は気を失う前、管理局にとって都合の悪い事に気付いてしまった。
なので、近い将来起こるであろう記憶の消去の対策として、メモを書いていた。
そして、それをユズキに預け、大事な記憶が消え去った時に、またそれを思い起こせるようにしていた。
ほぼ、これで間違いない。
あのメモを手渡された時、瞬時に考える事が出来たのは以上だ。
さて、では管理局にとって都合の悪い事とは何ぞや?
いかんいかん! ここで深く思考をしていると、きっとまた局長に記憶を消されてしまうに違いない。
今は記憶消去の直後で、局長もサラもリリアさんも油断しているだろうが、長々と思考時間を掛けてしまうと、また気付かれてしまう恐れがある。
折角、嫁達が大人しくしているのだから、今夜はぐっすりと寝て、明日の朝は鍛錬でもしながらサラ達の様子を見るとするか。
うむ、今夜はもう寝よう。
これが昨夜の出来事だ。
そして鍛錬と朝食の時のサラとリリアさんの様子を見るに、俺が例のメモを手にした事には気付いていない様だ。
本当に俺の記憶が消えているのかの、確認のための観察はしていたようだがな。
今は大人しくしておこう。
昨日の様に、焦って答えを求める様な事は止めだ。
また記憶を消されでもしたら面倒だからな。
今度は、ゆっくり、少しずつ、あの時何に思い至ったのかを考えるとしようかね。
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