システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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100億ボルト

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 真っ白な空間の奥にある、またまた真っ白な扉の先には、今までの部屋とは対照的に真っ暗な空間が広がっていた。
 いや、真っ暗とは語弊がある。
 良くみると分かるのだが、壁や天井、床に至るまでが暗いガラスケースの様な物が整然と並んでいた。
 ケースの一つ一つは、確かに暗いのだが、中を見つめると細かな光の点が無数に浮かんでいるのがわかる。
 そんなガラスケースだらけの空間を、まるで滑る様に真っ白なスーツ姿の局長が進む。
 その手には首根っこをつままれたサラがぶら下ったまま。
 脚すら動かさずその空間を進む局長が、ある一点で音もなく止まると、天井からガラスケースが目の前に降りて来た。
 それは正四角柱と呼ぶべき形状をしており、ガラスケースというより、キューブと呼んだ方がしっくりくる形状をしていた。

 そのガラス状のキューブは、この巨大な白スーツの局長の両手で抱える程はあるるという事は、かなりの大きさとなる。
「サラよ、目覚めているのはわかっているんだぞ?」
 局長がそう言うが、
「…………」
 摘まみ上げられているサラは、ピクリともしない。
「ふむ…まだ目覚めないのか…では、次は100憶ボルトぐらいの雷を…」
「だーーーー! そんなもん喰らったら死んでまうわ!」
 局長に摘まみ上げられていたサラが、慌て藻掻きジタバタしはじめた。
「やはり起きておったか。ほれ」
 そう言って、局長はサラをキューブへ向かい放り投げる。
 その勢いが強すぎたのか、方向が悪かったのかは定かではないが、サラは尻からキューブへ激突。
「んぎゃ! なにすんじゃい!」
 サラが、文句を言う気持ちも分からなくはない。
「貴様が寝たふりなんぞしとるのが悪い。まあ、それは別に良いが、ちょっとこの第2,243,287次元宇宙を見てみろ。例の実験星に送り込んだ魂と貴様の現地活動用の素体の動きを」
 そう言ってキューブ指さす局長。 
「貴様が仕事もせずに遊びまわってるおかげで、危うく例の魂が危険領域に辿り着くところだったぞ」
 真剣な表情で、サラがじっとキューブを見つめていたが、
「でも何とか回避したんですよね? なら、おーるおっけー!」
 などと、無い胸を張って偉そうに言った。
「たわけがーーーー! 貴様がサボっておるから、私が回避したのだ!」
 局長がプルプル震えながら、サラに別の意味で雷を落とした。
「え~回避できたならいいじゃないですか~」
「こ・ん・の・馬鹿垂れがーーー! 何のために貴様に現地用ボディーを与えたと思てるのだ!」
 それを聞いたサラは、
「ちっちっち! 現地用ボディーではありませぇん~! 現地活動用サイバネティックス・ボディでぇすぅ。局長だったらぁ、言葉は正確に使って欲しいものですねぇ~」
 ぷぷぷっと笑いながら、サラは局長の間違いを指摘する。
 ちょっとイラッとくる話し方だ。
「ぐっ…そうか、現地活動用サイバネティックス・ボディだったな」
「マジ勘弁して欲しいわぁ。こんな物覚えの悪い上司をもったぁ、優秀なサラちゃんってぇ可哀そすぐるぅ~」
 滅茶苦茶勝ち誇った顔のサラに、もはやプルプルを通り越して、ブルブルガクガクと拳を握りしめ身体を震わせながら怒りをこらえる局長。
 しかし、そこは局長。サラよりも大人である。
 大きく何度か深呼吸を繰り返した後、落ち着いた声でサラにこう言った。
「それで、そのボディーを与えられた貴様は、現地で何をしておったのだ? ん?」
 声色から、やはり内に何かを秘めてはいる様ではある。
「え? 大河さんの記憶しているアニメを鑑賞してましたけど、何か?」
 あっけらかんと言い放ったその言葉に、我慢の限界が来たのか、
「やっぱりサボっとるじゃねーか、このクソボケがーーー!」
 そう怒鳴るや否や、局長は目の前に浮かんでいたサラを握しめ、思いっきり振りかぶって彼方へと見事なオーバースローで放り投げた。
「んにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
 一直線に暗い空間を飛んで行ったサラの叫び声が聞こえなくなったかと思うと、
『ずがぁーーーーーん!』
 何かが遥か彼方で何かにぶつかる音が、この暗い空間に響き渡った。
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