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番外)ある日のトール
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この世界…と言うか、この星のこの時代、実は植物紙という物は、特段珍しくもない。
どうやら輪廻転生システムのバグで過去に飛ばされた物知り転生者がいるようで、植物紙もそこで開発されていたらしい。
この植物紙は、現代地球でよく目にしていた紙とは違い、結構ざらざらしているし、真っ白という分けでもない。
どっちかというと、ちょっと和紙やわら半紙に近い感じかな?
わら半紙といえば、本当に材料に藁を使っていたのは、ごく初期だけだと聞いた事が有るが、俺が子供の頃に見た物は、まだわらの欠片が紙の表面に見えてたりしたもんだ。
それを引っ掻いて取って遊んでたりしたもんだ。
いや、ちょっと話が逸れた。
兎に角、品質はともかく、植物紙はそこそこ世間様には出回っている。
しかーし! この紙ってやつは、そこそこお値段がするのだ。
現代地球であれば、A4のコピー用紙500枚で500円以下で買えるのだが、こちらの世界では大体その10倍程度はするのだ。
って事は、紙1枚で10円程はするって事になる。
だから、もしもノートとか作ったりすれば、それはそれは高額なノートになってしまうのだ。
何でこんな話をしているのかというとだな…俺の現状が、その高価な紙に埋もれている事にある。
漫画やアニメで良く目にする、偉い人が忙しくて本人が隠れるほどに積み上げた書類…なんて事は、現実ではありえない。
というか、俺は前世で実際に目にしたことが無い。
あくまでも漫画やアニメを面白おかしくする為であって、もの凄く誇張した表現…だったはず…だ。
そりゃ、何ヶ月何年も仕事を放ったらかしにしたら、そうなるだろうが、あり得るか?
そんな状態になっている事自体、その企業はもうかなりヤバい状態って事なんだぜ?
人手の問題なんだったら、さっさと雇い入れるべく動くべきだ。
書類の山に埋もれるほどに仕事が順調であるならば、なおさらだろう。
紙の安い地球でさえそうなのに、紙の価値の高いこの世界で書類に埋もれる事なんてあるのか?
答えは、ある! でした。
父さんの領地と俺の領地の政務・税務関連の書類。
俺がオーナーである商会と、領地に店を構える諸々の商店等からの売り上げや税金等に関する書類。
保護地区に住むエルフ、ドワーフ、人魚さん達からの要望や報告。
領地内の揉め事に関する事柄や人の出入りに関する物、結婚に出産に転居に移住と、数え上げればきりがない程、日々書類がやってくるのだ。
大体、毎日軽トラックの荷台一杯ぐらいは有る気がする…気がするだけで、実際は知らんけど。
我が家の嫁ーず、ドワーフメイド衆、ユズユズも出来処理はガンガン進めているので、最終的に俺の決済が必要な物だけが俺の執務室に運ばれてくるのだが、それでもこの状態。
この山積みの紙って、一体総額で幾らかかってんだろう?
ぼ~~っと、そんな事を考えながら、目の前にうず高く積み上げられた書類を見上げていると、
「トール様! ぼーっとしてないで、さっさと手を動かしてください!」
メリルに怒られた。
「そうですよ、トールさまには色々と世間様に対しての秘密も多いのですから、ご自身で頑張って頂かないと」
マチルダにそう言われては、何とかするしかない。
「あぃ…」
サイン続きでだんだん痛くなってきた右手をさすりながら、俺は書類の山の切り崩しに向き合った。
はぁ、これっていつ終わるのだろうか…せめて晩ご飯前には終わらないかなあ…
どうやら輪廻転生システムのバグで過去に飛ばされた物知り転生者がいるようで、植物紙もそこで開発されていたらしい。
この植物紙は、現代地球でよく目にしていた紙とは違い、結構ざらざらしているし、真っ白という分けでもない。
どっちかというと、ちょっと和紙やわら半紙に近い感じかな?
わら半紙といえば、本当に材料に藁を使っていたのは、ごく初期だけだと聞いた事が有るが、俺が子供の頃に見た物は、まだわらの欠片が紙の表面に見えてたりしたもんだ。
それを引っ掻いて取って遊んでたりしたもんだ。
いや、ちょっと話が逸れた。
兎に角、品質はともかく、植物紙はそこそこ世間様には出回っている。
しかーし! この紙ってやつは、そこそこお値段がするのだ。
現代地球であれば、A4のコピー用紙500枚で500円以下で買えるのだが、こちらの世界では大体その10倍程度はするのだ。
って事は、紙1枚で10円程はするって事になる。
だから、もしもノートとか作ったりすれば、それはそれは高額なノートになってしまうのだ。
何でこんな話をしているのかというとだな…俺の現状が、その高価な紙に埋もれている事にある。
漫画やアニメで良く目にする、偉い人が忙しくて本人が隠れるほどに積み上げた書類…なんて事は、現実ではありえない。
というか、俺は前世で実際に目にしたことが無い。
あくまでも漫画やアニメを面白おかしくする為であって、もの凄く誇張した表現…だったはず…だ。
そりゃ、何ヶ月何年も仕事を放ったらかしにしたら、そうなるだろうが、あり得るか?
そんな状態になっている事自体、その企業はもうかなりヤバい状態って事なんだぜ?
人手の問題なんだったら、さっさと雇い入れるべく動くべきだ。
書類の山に埋もれるほどに仕事が順調であるならば、なおさらだろう。
紙の安い地球でさえそうなのに、紙の価値の高いこの世界で書類に埋もれる事なんてあるのか?
答えは、ある! でした。
父さんの領地と俺の領地の政務・税務関連の書類。
俺がオーナーである商会と、領地に店を構える諸々の商店等からの売り上げや税金等に関する書類。
保護地区に住むエルフ、ドワーフ、人魚さん達からの要望や報告。
領地内の揉め事に関する事柄や人の出入りに関する物、結婚に出産に転居に移住と、数え上げればきりがない程、日々書類がやってくるのだ。
大体、毎日軽トラックの荷台一杯ぐらいは有る気がする…気がするだけで、実際は知らんけど。
我が家の嫁ーず、ドワーフメイド衆、ユズユズも出来処理はガンガン進めているので、最終的に俺の決済が必要な物だけが俺の執務室に運ばれてくるのだが、それでもこの状態。
この山積みの紙って、一体総額で幾らかかってんだろう?
ぼ~~っと、そんな事を考えながら、目の前にうず高く積み上げられた書類を見上げていると、
「トール様! ぼーっとしてないで、さっさと手を動かしてください!」
メリルに怒られた。
「そうですよ、トールさまには色々と世間様に対しての秘密も多いのですから、ご自身で頑張って頂かないと」
マチルダにそう言われては、何とかするしかない。
「あぃ…」
サイン続きでだんだん痛くなってきた右手をさすりながら、俺は書類の山の切り崩しに向き合った。
はぁ、これっていつ終わるのだろうか…せめて晩ご飯前には終わらないかなあ…
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