システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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本当に地下なの?

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「と、言う事でじゃな、もふりんと共に皆を妾の迷路の一画へ案内せよ」
 ボーディに命じられたカジマギーは、
「はっ! 主の命ずるままに」
 一見して幼女としか見えないカジマギー。
 もふりんと並べると、年齢的には変わらない様に見えるのだが…
「かっちゃん、いっしょにあんないちようね!」
「ええ。主の迷路であれば、私にお任せください」
 会話だけを聞いていると、もふりんの幼児性が際立っている。
 というか、カジマギーの口調が大人すぎるのだろうか?

 しかし、そんなカジマギーの会話も、アルテアン家のレディース一行には、
「そうよねぇ。こんなに可愛い娘なのに、カジマギーなんて可愛くないわ。かっちゃん…いいじゃない!」
 ウルリーカは、カジマギーの呼び方が気に入った様だ。
「ええ、本当に可愛いです…ぎゅ~ってしても良い?」
 メリルは両手をワキワキさせながら、はぁはぁと息も荒く、非常に怪しい動きでカジマギーに迫る。
「もふりんちゃんも可愛いですよねえ」
 そんなメリルは目に入らないのか、もふりんを見てホッコリしているのは、ミルシェともう一人、
「ええ…私の子供も…もふりんちゃんみたいだったら…」
 何か妄想を始めていたミレーラ。
「ふむ。モフリーナ殿の眷属のふりん殿も、ボーディ殿の眷属のカジマギー殿も、見た目にそぐわず優秀だな」
 冷静な分析を始めたマチルダ。
「確かにな。戦いでも見た目に惑わされては、痛い目を見るからな」
 微妙にズレているイネス。
 そんなアルテアン家の女達を一歩引いた所で見ていたナディアは、『この人達、面倒くさい』と、思っていたとかいないとか。
 カジマギーはメリルに抱きしめられ、ウルリーカに頭をわしゃわしゃ撫でくりまわされ、ミルシェとミレーラがもふりんと何故か手を繋いでクルクル回り、マチルダが腕を組んで顎に手を当てて難しい顔で考え事をし、イネスが何か納得顔でうんうん頷く。
 わちゃわちゃと騒がしい団子状態となっていた一行であったが、ナディアの一言で次の行動へと移る事になった。
「皆様、あまり時間も無い事ですし、そろそろボーディ様の地下迷路型ダンジョンへと案内していただいては?」
 もふりんとカジマギーを含め、全員が『はっ!』と、声を揃えた。
 ナディアも、『完全に目的を忘れてましたね…』と思ったが、言葉にせずに飲み込んだ。

「そ、そうでちた! い、いそいでいかないと!」
「承知。では、我が主のダンジョンへと参りましょう」
 揉みくちゃにされながら、もふりんが慌てて、カジマギーが冷静に、全員に声を掛けた。
「いまから、かっちゃんのあんないで、めいきゅうにいきまちゅ。こころのじゅんびはよろちいでちゅか?」
 もふりんが、急に真面目な顔でそう告げた…撫でりこ撫でりこされまくっていたため、髪の毛はボサボサだが。
『はーーい!』
 ナディア以外の全員が、声を揃えて返事する。
「では皆様、これより地下の迷路型ダンジョンへとご案内します。カウントダウン開始…3…2…1…」
 心の準備などとても出来ない様な短い時間で、あっという間にカウントダウンを始めたカジマギー。
「GO!」「ごうー!でち」
 その掛け声を最後に、またまた風景は一変するのであった。

 転移したのは、大陸の地下に広がると言う、ボーディご自慢の迷路型のダンジョンの一画。
 地下の迷路と聞いていた一行は、そのあまりにも地下らしからぬ様相に、面食らっていた。
「ちょっと、かっちゃん…ここって本当に地下なの?」
 キョロキョロと辺りを見回したウルリーカは、どうにも信じられないとばかりに、カジマギーに詰め寄る。
「はい。主の管理する地下迷路の一画にございます」
 そう言われるのは想定内とでも言うように、ごく自然に落ち着いた対応をするカジマギー。
 誰もが驚くのも無理はない。
 何せ、ここには空があるのだ。
 しかも、燦々と輝く太陽もある。
 もちろん、太陽の光が暖かく降り注いでいるのは、体中で感じている。
 しかも緑の香りを乗せた風も吹いている。
「疑似的に外の風景を再現しました。視覚、嗅覚、触覚、聴覚に関しては、ほぼ完璧に再現できているかと思います」
 自慢げにカジマギーが言うだけの事はある。
 更に驚くべきことに、辺り一面、空高くまで伸びた樹々が生い茂り、視界いっぱいにそれが壁まで成しているのである。
「これは、茂み…いえ、生垣かしら?」
 メリルの視界いっぱいに広がるのは樹ではある…が、それは明らかに生垣と言った方が良い緑の壁。
「はい、その通りでございます。この生垣がこの迷路の壁となっております」
 カジマギーが生垣の葉を愛おしそうに撫でる。
「よく見たら、すっごい棘がいっぱい生えてますよ?」
 ミルシェがその緑の壁に近づき、そっと葉っぱをどけると、人の指ほどもある凶悪な棘が顔を出す。
「皆様、その棘には出来れば触れぬ様にお願いします。毒を持っておりますゆえ。とは言っても、この生垣を故意に破壊しようとするか、乗り越えようなどとしなければ、毒は出ない様になっておりますが」
 カジマギーは何でも無い事の様に、平然と説明するが、一行は生垣から一歩二歩と後退る。
「勿論、今から皆様をご案内する場所の生垣には、棘の様な怪我の恐れの有る物は排除してありますので、ご安心を」
 一行の遊び場は、ちゃんと遊び場として場を整えてくれているらしかった。

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