システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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母ちゃんか!?

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 明けて翌朝。
 俺は巨大なベッドの上で、素っ裸で大の字で寝ていた。
 嫁ーずは、夜明けと共に起き出したのだろうか、俺1人だった。
 やたらと気だるいのは、もしかして裸で布団も掛けずに眠っていたため、風邪でもひいちゃったからかな?
 うん、朝方はまだ微妙に肌寒いし、注意しないとだめだな…へっくち!

 重い足を引きずる様に食堂に向かうと、ものすごく艶々した嫁ーずが俺の到着を待っていた。
 すでにテーブルには、ほかほかの湯気を立ち昇らせたお味噌汁の入った鍋が置かれており、俺の着席と同時に、ドワーフメイド衆がご飯とお味噌汁をよそってくれた。
 おかずはメインが鮭の切り身を焼いた物に、卵焼きとお漬物と、人魚さん特製の海苔…旅館の朝食か?
 しかし、やっぱドワーフ村の和食って最高だな!
 転生・転移物のラノベなんかでは、必死になって元日本人が和食を再現したり、米を探したりしてたけど、ドワーフの村だと普通にあるからな。
 探さなくても有るって、超素敵!
 最近は、嫁ーずも和食の良さに気付き、箸まで使いこなしている。
 中世ヨーロッパ的な世界では、食事のマナーとしては、何本もナイフにフォークにスプーンを使いこなさなければならない。
 だが、俺の領地からこの世界に箸文化を広げるのだ!
 違った…ドワーフ族から広げるのだ!

 え、何を箸を握りしめて熱くなってるのかって? 
 そりゃ、ドワーフさんの文化を、世に広めようと…。
「飯が冷めんうちに喰わんね!」
 あ、はい…ごめんなさい。
 我が家のドーワーフメイドさん…ロリ可愛いのに、何か母ちゃんみたい…。
「何が言っただな?」
 いえ、何にも言ってませんです!

 もぐもぐと朝食を食べていると、嫁ーずのこしょこしょ会話がちらほらと耳に入る。
「…気付いてない?」「結構、元気かも…」「あの…もう止めた方が…」「そう言いながら、一番ノリノリだったのでは?」「私は激しい方が好みだぞ!」
 う~~ん…あの不穏な内容の会話な気がするが…ここで会話に参加すると、碌でも無い事になりそうな気がする。
 何でも首を突っ込む異世界勇者じゃないんだから、俺は大人しくするとしよう。
「奥様方、昨夜は随分と遅くまでお愉しみでしたね?」
 な~んて考えていると、ユズカが会話に参加してた。
「「「「「しぃーーーーーー!」」」」」
 うん、やっぱ危険な香りがする。
「…そういうユズカは、何で知ってるんですか?」
 あ、こしょこしょ話にユズカも参加しよった!
「だって…ユズキが寝かせてくれなくて…」
「「「「「まぁ!」」」」」
 おいおいおいおい…飯の最中に、そんな話すんなや…
「でも、奥様方の方が凄いですよねえ…朝方まであんなに激しく…」
「「「「「しぃー! しぃーー! しぃーーー!」」」」」
 朝方まで? はて、俺が記憶しているのは風呂からあがって、ベッドに連行されて…そう遅く無い時間までのはずだけど…
「…え? そうなんですか!? 寝てても…ふんふん…なるほど!」
 めっちゃ嫌な予感がする…ここは見ざる、言わざる、聞かざるが一番だな。
 諺の使い方は間違ってた様にも思うけど。
 タイミング悪く(良く?)食堂に入って来たユズキだったが、
「わっかりましたー! 今夜にでもユズキに試してみます!」
 訳も分からないうちに、何かを夜に試される事になった。
 顔を青くして、俺に何やら視線で訴えているが…俺に何か出来るはずがなかろう?
 ユズキよ…成仏してくれ…なんまいだー。
「「「「「がんばー!」」」」」
 嫁ーずは、めちゃくちゃ良い顔でサムズアップしていた。
 うん、背筋にお母ん…じゃなかった、悪寒が走ったけど、自慢のポーカーフェイスを貫こう。

 危険な朝食タイム(ご飯は美味しかったです)を、何とかやり過ごした俺は、通信部屋へとやって来た。
 無論、父さんと母さんに、コルネちゃんを領都リーカの屋敷に戻す話をしようと思ってだ。
 通信に出た、執事のセルバス・ジェンさんから、残念な事に父さんは王城にお仕事に行った…と聞いた。 
 セバスチャンじゃないのが残念な、謎執事能力使いの万能執事さん、お久しぶりっすね。
 え、ついこの間会ったばかり? あ、そ…そうだったね…あはははははは…。
 んじゃ、母さんは? あ、在宅してるの? んじゃ代わってもらっていいかな? いいともー! 
 え、つまらない? ジョークにセンスが無い? もっとセンスを磨け? 厳しいな、この執事。
 ってな事も有りましたが、少し待つと母さんが登場。
『トールちゃん! お母さんの装備を持って来てくれる日取りが決まったのかしら!?』
 あ、それもあったな…でも、今回は違うのだ。
「えっと…ちょっと違うんだよ。領都リーカの屋敷の裏にある神樹を覚えてるよね?」
『ええ、それは勿論。尊いネス様のご神木ですから…まさか、ご神木に何かあったの?』
 おっと、流石は母さん! 勘がイイネ!
「んっと…実は…かくかくしかじか…で」
『た、大変じゃないの!』
「って事で、コルネちゃんをリーカの屋敷の方に…』
 うむ、大変なのだ
『不許可です! コルネは行かせません!』
 Why!? 
『だって、母さんの目の届かない所にコルネを行かせたりしたら…トールちゃんの毒牙に…』
「うぉぉい! 俺を何だと思ってんだ!」
 まるで俺が愛する妹に手を出す様な言い方すな! 
 俺にも分別ぐらいあるわ!
『あ、だけど連日搾り取られてるトールちゃんなら、逆にすっからかんで安心出来るのかしら?』
「何の話だよ!」
 逆に安心って、青春街道ど真ん中の俺に向かって何言ってんだよ! 
 あ、ちなみに…性春じゃないよ?
『でも、近いうちに一度は、ナディアちゃんとアーデちゃん達を、そっちに向かわせるわね』
 まあ、それでも当分は凌げるかな。
「んじゃ、取りあえずはそれでお願い」 
『うふふふふふ…楽しみにしておいてね』
 はて…あの大樹を救うプロジェクトの、どこに楽しみがあるって言うんだろう?
 ああ、久々にナディア達と会えるからか。
 確かに、そりゃ楽しみだな。
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