システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
640 / 1,466

可能なのじゃ!

しおりを挟む
「気色悪いやっちゃのぉ…」
 テスカトリポカを一目見たボーディが、思いっきり毒を吐いた。
 うん、俺もそう思う。あれは、夢にまで出てくる奴だ。
 夜中にトイレに行けなくなるぐらい、気色悪い。
 無数の目は、焦点が何処にあってるのか、何を見てるのか全然わからん。
「マジ、キショ!」
 サラの一言は、俺の心の声を代弁する物だ。

 その後、それぞれがテスカトリポカを見た感想を口々に述べると、アレの戦闘力について喧々諤々討論し始めた。
 まあ、あいつが結界を破れないってのは、元のヒルコの特性というか能力というか、それに準じているようだが。
「テスカトリポカは、ヒルコが凝縮された物とは違う様ですね」
 ナディアの分析では、こうだ。
 ヒルコとして持っていた体積と重量と比較すると、非常に小さくなっている。
 単に体積だけが小さくなり、重量はそのままという凝縮と違って、体積に従い重量も比例して減少している。
 それは足元の地面が人が立っている時と変わらず、足型に沈んだりしていない事で判断できる。
 無数の目は、それぞれが視界を有していると思われる。
 思考形態と傾向は現在では窺い知る事は出来ない。
 サラ曰く、神の力を取り込んでいる可能性があるという点については、一旦保留。
 物理的な攻撃力は、結界を破る事が出来ない(その様子が無い)事から、そう高くは無いと予想。
 何らかの不思議パワーで攻撃してくる可能性はあるが、その可能性と手段は現在は不明。
 取り込まれた寄生虫や人々はもはや分離は不可能と考えられる。
 よしんば切り離せたとして、寄生虫がどうなっているのか…更なる寄生をするのか…一切不明。
 こういった細かい観察と考察結果が、ナディアから告げられた。

「なる程のぉ…それで、お主はあ奴をどうしたいのじゃ?」
 黙ってナディアの話を聞いていたボーディが俺に訊ねる。
「ん? そりゃ、宇宙の彼方に放り出すか、灰燼に帰すまでよ」
 あんな奴に居座られたら、この星の未来なんて真っ暗闇だろ?
「ふむ…で、あるか。ならば、小難しく考える事もあるまい」
 ん?
「「「「「「ん(え)?」」」」」」
 俺同様、サラ、リリアさん、ナディア、アーデ、アーム、アーフェンが一斉にボーディを見た。
「小難しく…って、まさか簡単に倒せるのか?」
「簡単ではなかろうが、方法が無いわけでもないのぉ」
 真面目な顔で、ボーディは腕を組んで目を閉じる。
「貴女はアレに対処する方法を知っていると言うのですか?」
 思わずと言った感じで、リリアさんが語りかける。
「対処方法はあるのじゃ。とは言っても、完全に消滅させることは難しいがの。精々、数千年ほど封印するぐらいかのぉ」
「「「「「「「おぉ!」」」」」」」
 その言葉に、この場の全員が感嘆の声をあげた。
「いや、お主等…何でこんな簡単な事を思いつかんのじゃ?」
 クソ金髪ロリ女に馬鹿にされた…
「簡単…ですか?」
 ナディアが若干不満そうだ。
「そうじゃ、簡単じゃ。お主等は、あ奴を滅しようとするから難しいのじゃ。むしろ封じ込める方向で何故作戦を練らぬのか、妾には不思議でたまらぬ」
 まるでアホの子を見る様な目でナディアを見つめるボーディ。
 確かに言われてみれば、あいつを殺す事に必死になりすぎて、封印とか考えて無かった。
「妾の考えた作戦はこうじゃ。まず、あ奴を閉じ込めておる結界を、極限まで小さくする」
 ん~?
「小さくって、具体的には?」
「あ奴が身動きとれぬぐらいの大きさで良いのじゃ」
 って事は、直径1mぐらいまでの球体にすればOKかな?
「次に、あ奴のおる場所を妾の支配下に置くのじゃ」
 まあ、それは元々予定していた事だし、問題は無いかな。 
「そして、妾に十分なダンジョン拡張用のエネルギーを渡すのじゃ」
「ああ、別にそれは良いけど…どれぐらい必要なんだ?」
 俺のエネルギー全部とか言われたら困るけど…
「別にそんな大したエネルギーは必要ないから、そう警戒せんでも良い。精々、縦に細く長くダンジョンを1階層造るだけじゃからの」
 縦に長いダンジョン1階層? どういう事だ?
「わかり難いかのぉ…どう表現すればよいか…あ、そうじゃ! 井戸を思い浮かべてみい!」
 お、井戸…井戸か! なるほど、極端に天井が高い1階層の部屋って、そういう事か! 深井戸を造る…って、それがダンジョンになるのか?
「分ったみたいじゃな。そこにあ奴を封じた結界ごと落とすのじゃ!」
 深い井戸に落とすって、将来出てきたりしないかな? どっかの呪いのビデオみたいに…爪が剥がれて…思い出したくねぇ!
「底まで落としたら、妾が蓋をする。ダンジョンの壁という特殊な素材での」
 なるほど!
「なるほど、確かにそれなら封印は可能かもしれません」
 モフリーナもそう考えた様だ。
「可能なのかもではなく、可能なのじゃ! 妾のダンジョンは、地下迷路型じゃ。真下に伸ばす事も生きて出れ無くする事も造作無い事なのじゃ!」
 迷路型? 迷宮とは違うんだ…
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...