システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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こんなんばっかりだなあ

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「お~っほっほっほっほっほっ! さぁ、どんどんかかってらっしゃいな!」
 ウルスラグナに搭乗した母さんは、キレッキレの動きで巨大なハルバードを振りまわし、さながら竜巻の様だった。
 近づくゾンビなど、瞬時に細切れになって霧散する。
 もはや跡形もなくなった、元はゾンビだった物を、アーデは無表情で吸いとーる君で吸引する。
 あのアーデの顔を見るに、すでに思考を放棄したんだろう。
 何度もナディアから集合の連絡は入っているはずだが、あの竜巻には近づけなかったと見た。
 遠間から声を掛けても、母さんの耳に入るはずも無く、止める手だてが無くなり諦めた顔だな。
 父さんだけでなく、サラもリリアさんも、ただ呆然と母さんが搭乗するウルスラグナを見つめていた。

『あ、おおか…伯爵様、来てくれたんですね!』
 おい、サラ! 一瞬、外部スピーカーで大河さんと言い掛けただろう!? 気を付けろ!
「ああ…母さん、やっぱ止まらないか…」
 母さん、うっぷんでも溜まってたのか?
『トールよ…アレ、何とかならないか?』
 父さん搭乗のウルスラグナも近づいて来た。
「え~っと…父さんでも止められないんだよね?」
『お前は俺に死ねと?』
 あんたまでマチルダと同じ事を言うのかよ。
「母さんさ…今までの戦いの後ろに居ただけじゃん。きっと暴れたかったんだよ…」
 きっと今の俺の目は、遠い目をしているんだろう。
『いや、止めて下さいよ。これじゃ物語は先に進みませんよ?』
 リリアさん、物語って何だよ。
「いやぁ…あれはちょっとなあ。もしかして、母さんって更年期?」
『トール…それ、絶対に母さんの前で言うなよ? いいか、フリじゃないからな? 絶対に駄目だぞ!?』
 お父様。この賢い僕ちんがそんな事ぐらいわからないとでも?
 今なら何を言っても母さんの耳には届かないから、言ってるだけだぞ。
『それで、おお…伯爵様、アレ…止めれるんですか?』
 だから気を付けろっての、サラ!
「はぁ…。仕方ないから、止めてくるよ…」  
 俺はとぼとぼと、狂悖暴戻、暴虐非道の権化となった母さんの元へと歩み寄るのだった。

 まあ、それからは簡単な作業だ。
 実は、元からウルスラグナは俺の許可無くして動かす事は出来ない。
 って事は、俺が強制停止させることも出来るって事だ。
 なので、銀漸渦巻く竜巻に近づき、ただ一言、
「トールヴァルドが命ずる。ウルスラグナ2号機、強制終了!」
 ただこれだけで、母さんの搭乗したウルスラグナは動きを止めた。
『キョウセイテイシ・ノ・キーワード・ヲ・カクニンシマシタ』
 カタコトのマシンボイスがウルスラグナから聞こえた瞬間、
『あ、あら?』
 ウルスラグナは、母さんの操作から解放され(?)て、その動きを急停止させた。
 ただ、変な回転の途中で無理やり動きを止めてしまったので、
『う、うっきゃーーーーー!』
 ずがしゃーん! と、盛大にズッコケてしまったが。

 転んだウルスラグナの背後に近づき、
「ウルスラグナ2号機、ハッチオープン」 
 羽の付け根から背中がガバッと左右に開き、中で目を回しているヘッドギアをしている母さんが見えた。
「お~い、母さん? もう終わりだよ~!」
 俺が声を掛けると、母さんはのけぞる様にして俺を視界に収め、
「あら、トールちゃん。もうお終いなの?」
 呑気な事を言ってくれた。
「母さんが暴れ回ってるから、皆困ってるんだよ」
「暴れてなんかないわよ!」
 ぷくっと頬を膨らませて拗ねてる母さんも可愛い…なんて絶対に言わん! 可愛くねぇよ!
「ほらほら、もう皆ホワイト・オルター号の前に集合してるんだから、行くよ!」
 そのままハッチを閉め、動かないウルスラグナを、サラとリリアさん搭乗する2機で担いで母さんごと運んでもらう。
『ちょっと! 空しか見えないわよ? あなた! ちゃんと抱っこしてよ!』
 母さんが煩いけど…父さんの方を見ると、器用にウルスラグナでボディーランゲージしてた。
 絶対に無理無理無理! だってさ。
『ねえ、あなた~! 聞こえてるの~?』
 もう、煩いからこのまま連れて帰ろう…何か、こんなんばっかりだなあ…。
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