システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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出た!

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 汚水の底は、綺麗に敷石が並んでいた。
 所々に経年劣化によって欠けたり割れたりしている様子も見て取れるが、しっかりと並べられてるのは間違いない。
 きっとこの下水道が完成した事は、隙間なく綺麗な敷石が並んでいたのだろう。
 このレンガの様な物で造られた下水道の壁といい底といい、とても完成度が高いなと観察していると、精霊さんが一点に集まる。
 よく見ると、敷石と敷石の間に親指ほどの隙間が見える。
 どうやらこの先がダンジョンらしい。
 んじゃ、精霊さん達、この石を持ち上げてもらえるかな?
 よろぴく。

 さすがは土木建築が得意な精霊さん(個人の感想です)。
 あっという間に、敷石がどかされていく。
 その様子を見ていて気が付いたんだが、この下水道の底は、どうやら敷石が互い違いに3層に組まれているらしい。
 いや、それはどうでもいいんだが…下水一つとってもこの有様なのに、この城の建築ってどんだけ金が掛かってんだろ?
 かの有名なベルサイユ宮殿のッ建設費用は、当時400億円以上は掛かってるらしい。
 この城なんて高さは確かにあるが、ベルサイユ宮殿よりも遥かに小さいけれど…こんな所にもしっかり金を掛けているわけだから、巨額の資金が必要だったんだろうなあ。
 たかが十万人ほどの人口の国だと、かなり国民に負担が掛かったんじゃなかろうか。
 いやいや、そういう意味ではグーダイド王国の城だって、アーテリオス神国の教会だって、良く考えたら金かかってるよなあ…。
 そんなどうでも良い事を考えている内に、敷石は綺麗に取り外されて、ダンジョンの入り口と思われる地面が顔を出した。
 地面? いや、良く見ると大人の男性が横になれるぐらいの長方形の箱の様にも見える。
 触ってみると、微妙に硬いから、もしかして材質は石なのか?
 もしかして…これって棺じゃね?
 おいおい、中のダンジョンマスターは生きてんだろうな?
 仕方ない、中がミイラとか白骨死体じゃない事を祈りながら、棺の蓋を開けるとしますか。
 では、精霊さん、やっておしまい!
 え、嫌なの? 骸骨だったら怖いから? 
 …精霊さん、マジで言ってんの? あんたら、今までの行いを省みなさいよ。
 ゾンビだろうが何だろうが平気だったでしょうに!
 明るいホラーならOK? 薄暗い地下の棺はNG? はあ、そうでっか。
 んじゃ、頑張っ…らなくても、普通に開けれるから、行きますよ? そ~れ!
 俺は棺と思われるその物体の長辺に手を突っ込み、よっこらせっと持ち上げた。

『リリア~! これ、めっちゃ面白い! ほらほら、ホバー走行!』
 狭い街中で、サラがウルスラグナを、まるでスキーのスラロームの様にアグレッシブなフォームで、ジグザグ走行をして遊んでいた。 
『なかなかやりますね。これならば、もしやジェット〇トリームアタックも実現可能かも?』
 そんなサラに刺激されたのか、リリアもホバー走行を試しながら言う。
『良いですねえ~! 是非、侯爵様に、俺を踏み台にした~!? って言わせたいです!』
『踏まれて喜ぶのは、ドMなサラでは?』
『喜びません~! っていうか、ガ〇アも驚いてただけです~!』
 外部スピーカで、お馬鹿な事を言い合っていた。 
 2人は高速ホバー走行で遊んでいだけなのだが、憐れなゾンビ達は、ふらふらと通りに出て来たそばから跳ね飛ばされまくり、ジェットス〇リームアタックというよりは、人身事故だらけであった。
 その様子に気付いた精霊さんと妖精さんが綺麗に後処理をしてくれはしたのだが、遊んでいる2人が気付く事は無かった。


 皇都の外にある、例のヒルコを閉じ込めたドームの中では、異変が続いていた。
 あのクルミにも似た物体の割れ目は徐々に大きくなり、とうとう真っ二つに割れてしまったのだ。
 きっとトールがそこにいれば、「桃から生れた桃太郎!」などと馬鹿な事を言いそうなぐらい、綺麗に真っ二つに。
 そして中から這い出てきたのは、全体的にぬめっとしたゼリー状で薄っすら赤い半透明の艶のあるボディーを持つ人型の生物。
 しかし、その身体には無数の目が付いており、まるで百目タ〇タンの様だった。(知らない人は調べてみよう!)
 ドームを監視していた妖精達は、この様子を慌ててナディアに報告した。
 知らせを聞いたナディアも、またトールへと急ぎ念話を飛ばす。
 その頃、丁度トールは棺を開き、ダンジョンマスターと顔を合わせた所だった。
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