システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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き・の・せ・い♡

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『まあ、冗談はさておき…それの名前は?』
 ん~~~ウルスラグナ?
『どっかで聞いた様な名前ですねえ』
 勝利っていう意味の名前を持つ、ゾロアスター教の英雄神。
『また、マイナーな…あ、大河さんはム〇民でしたもんね』
 …悪いかよ…そうだよ、愛読書はカルト雑誌だったよ…
『まあ、こういった物の名付けには丁度いいんじゃないですか? カルト知識も、たまには役に立ちます』
 たまにじゃねーよ! 役に立ってるよ!
『え? どんな時に役に立ってるんですか?』
 ……たまにで良いです…

 まあ、せっかく創ったのだし、実践投入するつもりではいるのだが、試乗は必要だろう。
 って事で、俺が試乗します。
 武器を装備していないウルスラグナの1機に近づくと、一緒に創造したヘッドギアを被った。
 これはこの機体の操縦の為の物だ。
 そもそも人型の兵器に搭乗して自由に動き回り、空を飛ぶなんて事を、2本の操縦桿で出来る訳がない。
 パワーショベルだって、たった1本のアームを動かすのに2本の操縦桿が必要なんだ。
 空を飛ぶ飛行機だって、覚えきれないほどのスイッチと2本のレバーにフットペダルが必要だし。
 空中で戦闘しながら火器管制とか、一体何本の腕と同時にいくつの脳みそが必要か。
 だから、自由自在に人型兵器を動かすために、このヘッドギアを通して、完全思考制御を行うのだ。
 実際のところ、このウルスラグナには飛行能力は有るのだが、一般的に人は空中での機動は難しい。
 3次元機動は、簡単には出来ないのだ。
 宇宙空間に放り出されると、上下左右が分らなくなるというが、あれは本当。
 トランポリンとかで空中に投げ出された時、正確に自分の位置を把握するためには、相当な訓練が必要だと聞くが、無重力の宇宙だともっと大変なんだそうだ。
 慣れれば誰にだって空を飛ぶぐらいの事は出来るのだが、戦闘行動となると…ただの慣れではだめだ。
 なので、ウルスラグナでの飛行は当分の間、禁止。
 代わりに、どっかのモビ〇スーツの様なホバー走行なら出来る様にしてっと。
 
 さてさて、前置きが長くなったが、ヘッドギアを装着し、対になっている機体に向かって、
『ハッチ・オープン』
 と命ずると、ゆっくりと脚を折り曲げて器用に正座する。
 次に背部の羽の付け根が左右にゆっくりと開き、コックピットが現れるので、後ろに回って機体をちょっとだけよじ登る。
 足から滑り込むようにコックピットに体を収める。
 ゆったりと座れるような1人掛けのソファーの様なコックピットには、余計なスイッチ類やレバー類は一切なく、明かりすらない。
『ハッチ・クローズ』
 と命ずると、背後でハッチが閉じるのがわかる。
 完全に閉じてしまうと、コックピットは一瞬だけ真っ暗な闇となるが、すぐに目の前に柔らかい明かりが灯るので、そう怖いという事も無い。
『ウルスラグナ、ウェイク・アップ!』
 起動の命令で、今までゆったりしていた俺の全身に、全方向から柔らかな圧力がかかり、固定される。
 これは、言ってみれば常時起動してるエアバッグの様なもので、外部からの衝撃や熱などから生身を守ってくれるものだ。
 そして、目の前の明かりがゆっくりと消えていくのに合わせて、俺の意識もゆっくりと意識の海の底へと沈んでいった。
 戦闘用の機体なのだから、意識を手放す時間はほんの一瞬。
 感覚的には10秒ほどかけて意識を手放した様に感じるが、実は1秒にも満たない。
 意識を取り戻すと、俺の手足はウルスラグナと完全に同期していた。
 俺が手をにぎにぎすると、機体の手もにぎにぎ…。
 視界の端には、機体の状態を示すモニターが浮かんではいるのだが、攻撃を受けたことによる痛覚などは、完全に遮断している。
 フィードバックが強いと、生身にも影響が出そうだからね。
 
 飛んだり跳ねたり、色々と遊んで…テストを行ったが、特に問題はなさそうだ。
 動力は、俺の魂のエネルギーを燃料とした、またまた管理局の不思議パワーなので、機体が発する熱も無いし、いやな動力音も無し。
 実は固定武装もあるんだけど、それは後日のお楽しみって事で。
 あとは…耐熱性能だけど…これは試したくないな…怖いから。

 うむうむ! 出来には満足じゃ!
 思ったように自由自在に動かせるし、ライムラグも感じないぞ!
 まあ、目をつぶってるだけなので、ボディーを動かすときに無意識に自分の身体が動いたり強張ったりしたりもするが、これは慣れれば大丈夫だろう。
 車だって、曲がるのに体重移動なんて不要なのに、最初の内はハンドル切ったら身体が動いたもんな。

 これで父さん、母さんも皇都の攻略戦に投入できるから、さくっと皇都を更地に出来るぞ!
『更地とか…普通の人が聞いたら、まるで悪魔の所業ですよねえ…』
 何か問題でも?
『いえ、別にいいんですけど…私とリリアも参加しなくてもいいんですか?』
 え、参加したいの? いや、別に父さん母さんの御守もいらなくなったから、参加してもいいけど…
『聞きましたか、リリア! 私達も、アレに乗れますよ!』
『サラにしては、なかなか良い仕事です。言質は頂きましたから、明日は存分にロボットで遊ぼ…戦いましょう!』
 リリアさんよ…遊ぼうとか、言いかけなかったか?
『気のせいです』
 まあ、いいや。
 ウルスラグナの羽の付け根にはラックが有るから、油も積んでおいてくれよ。
 ちゃんとゾンビは燃やさなきゃだめだからな。
『『りょ~か~い!』』
 めっちゃ心配だ、この二人…。
 あれ、ちょい待て! 
 お前ら結界使えるだろうが! 
 こんな物使う必要ねーだろーが!
『『使えた様な気もしますねぇ』』
 いや、お前ら2人は、間違いなく使えるよ! 
『『き・の・せ・い♡』』
 絶対に気のせいじゃねーー!
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