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深淵をのぞく時…
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「あ、あれは!?」
俺と同様、真下を見たナディアがそれに気づいた。
「見てる?」「見られてる?」「見つめてる?」
アーデ、アーム、アーフェンも、俺達の視線を辿り、ソレに気付いた。
「ああ…アレが何かは分からないが、確かに俺達を見ているな…」
見るからに硬そうな、まるでクルミの殻の様な物の割れ目から、確かにギョロリとした目が、俺達に向いていた。
「マスター…ヒルコには目なんてありませんでした…」
何かの割れ目から、じっと見つめる目。
あまりの恐怖からか、ナディアもアーデもアームもアーフェンも、腰を抜かして、ドームにへたり込んでしまった。
壁の割れ目からであっても、天井に開いた穴からであっても、じっと見つめる目なんてものは、恐怖を呼び起こす物だ。
しかも、豪炎で焼き切ったと思っていたヒルコが、あの様な形で生き延びた事だけでも、俺達に恐怖を与えていたというのに、その中から様だにしない物が現れ、俺達を見つめているのだ。
怖くないはずが無い。
俺だって怖い。
恐怖だけじゃない。
得体の知れぬ敵に恐怖するだけじゃ無く、極度の緊張や不安が押寄せ、俺の心を塗りつぶして、押し潰してしまいそうだ。
ドームに四つん這いでいて良かった…きっと立ったままアレを見ていたら、ナディアやアーデ、アーム、アーフェンの様に、腰を抜かし、みっともない姿をさらしていた事だろう。
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている…か…」
ぽつりと溢した俺の言葉を、耳ざとく拾ったのはナディアだ。
「そ、それは…私達が見ている、あの目の事ですか?」
良かった…厨二病とか言われなくて…って、元はニーチェの言葉なんだけどさ。
「ああ。この世界の闇に生きる強大な怪物と戦う物達は、また自らが闇の怪物と成らぬ様に気を付けなければならない。闇の世界を長く除き見ていると、また闇も俺達を覗き見るのだ…とかいう、昔の偉い人の言葉だったと思う」
あいつを見ていると、俺も引き込まれそうな、嫌な感じがする。
「…含蓄あるお言葉ですね…きっと、そのお言葉を残された方は、強大な敵と勇敢にも戦ったのでしょう」
いやいや、ナディアよ。ニーチェは、戦ってなんて居ないと思うぞ?
その言葉を使っている奴らも、別に強大な敵と戦ったりなんてしてないと思う。
厨二病って言われるだけだから、他言はしない様にね。
お口にチャックだぞ?
「まあ、それはどうでもいいのだが…とにかく、一旦皆の元に戻ろう。どうにもこうにもやばい感じがビンビンするんだ」
俺は立ち上がり、いまだにこちらを見つめているアレを一瞥すると、ドームを降りるべく歩き始めた。
ナディア達も慌てて立ち上がると、アレには目もくれず、俺の後に続いた。
そして、ドームを降りた俺達は、振り向きもせずに家族の待つホワイト・オルター号まで戻った。
「どうかされたのですか?」
俺は変身していたので、表情は分からなかっただろうが、真っ青な顔で俺の後に続くナディア達を見たメリルが、心配そうな顔で俺に声を掛けた。
「あ、ああ…うん…ちょっと中で話そう…皆も、ついて来てほしい…」
俺は変身を解きながら、用件だけをメリルに伝え、タラップを上がった。
俺達の帰りを待っていた面々は、不思議そうに顔を見合わせ、タラップを踏みしめる。
アレをどう説明したらいいんだろうか?
そもそも、アレは倒す事が出来るのか?
本当に元はヒルコだったのか?
焼いたのがいけなかったのだろうか?
一体、どうすれば良かったんだろう?
俺は…俺は…俺は…
食堂のいつもの席に座った俺は、両肘をテーブルについて両の手の指を組み、その上に額をあてながら考え込んでいた。
どっかの「使徒を倒さぬ限り、我々に未来は無い」とか言ってたおっさんの様だが、まさに俺の心境ぴったりだ。
そんな俺を、皆が無言で見つめているのが、見なくても分かる…俺の様子に戸惑っているのだろう。
あの不気味な目玉の持ち主を倒さない限り、この世界が終わる予感がする。
何故だかわからないが、あいつがこの世界の全てを喰い尽くす気がしてならない。
あのカズムと戦った時も、カズムの欠片を宿したヒミコが転移してきた時も、こんなプレッシャーは感じなかった。
『…あいつは最悪の敵…最強にして最恐の敵…』
俺の第六感が…アレは最強にして最恐の敵だと囁いている。
『…あいつはこの世界に存在してはいけない…倒せ…倒すんだ…』
あいつを倒せと、俺の心が叫んでる。
『…たとえ世界中の人があきらめたって…俺はあきらめないっ…』
そう、絶対にあきらめない! 奴を倒す!
『 絶対にあきらめないぞっ!』
ああ、諦めるもんか!
…ん? ダイの〇冒険にも同じセリフが…
『…貧乳はステータスだ!』
泉こ〇た? ってか、サラだな! さっきから俺の頭の中にこそこそ話しかけて来てるのは!
『そう、あなたは貧乳が好きな~る、好きにな~る』
サブリミナル効果か!? いや、ストレートに、洗脳かよ!
『ばれました?』
ばれないわけが無いだろうが!
『あ、やっと反応してくれましたね。それで、何があったんですか?』
ん? 知っててやったんじゃないのか?
『ああ、敵の目玉の事は、視界をちょっと共有させてもらって見ましたが?』
んじゃ、あいつが何だか知ってんのか?
『私が知るわけ無いじゃないですか! あんた、馬鹿ですか?』
何で俺が怒られなきゃならんのだ!
いいから、サラは管理局のデータにでも何でもいいからアクセスして、あいつの情報持って来い!
『人使いの荒い人ですねえ…んじゃ、ちょっくら調べてきますよ…』
さっさとしろーーーーーーーーーーーーー!
俺と同様、真下を見たナディアがそれに気づいた。
「見てる?」「見られてる?」「見つめてる?」
アーデ、アーム、アーフェンも、俺達の視線を辿り、ソレに気付いた。
「ああ…アレが何かは分からないが、確かに俺達を見ているな…」
見るからに硬そうな、まるでクルミの殻の様な物の割れ目から、確かにギョロリとした目が、俺達に向いていた。
「マスター…ヒルコには目なんてありませんでした…」
何かの割れ目から、じっと見つめる目。
あまりの恐怖からか、ナディアもアーデもアームもアーフェンも、腰を抜かして、ドームにへたり込んでしまった。
壁の割れ目からであっても、天井に開いた穴からであっても、じっと見つめる目なんてものは、恐怖を呼び起こす物だ。
しかも、豪炎で焼き切ったと思っていたヒルコが、あの様な形で生き延びた事だけでも、俺達に恐怖を与えていたというのに、その中から様だにしない物が現れ、俺達を見つめているのだ。
怖くないはずが無い。
俺だって怖い。
恐怖だけじゃない。
得体の知れぬ敵に恐怖するだけじゃ無く、極度の緊張や不安が押寄せ、俺の心を塗りつぶして、押し潰してしまいそうだ。
ドームに四つん這いでいて良かった…きっと立ったままアレを見ていたら、ナディアやアーデ、アーム、アーフェンの様に、腰を抜かし、みっともない姿をさらしていた事だろう。
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている…か…」
ぽつりと溢した俺の言葉を、耳ざとく拾ったのはナディアだ。
「そ、それは…私達が見ている、あの目の事ですか?」
良かった…厨二病とか言われなくて…って、元はニーチェの言葉なんだけどさ。
「ああ。この世界の闇に生きる強大な怪物と戦う物達は、また自らが闇の怪物と成らぬ様に気を付けなければならない。闇の世界を長く除き見ていると、また闇も俺達を覗き見るのだ…とかいう、昔の偉い人の言葉だったと思う」
あいつを見ていると、俺も引き込まれそうな、嫌な感じがする。
「…含蓄あるお言葉ですね…きっと、そのお言葉を残された方は、強大な敵と勇敢にも戦ったのでしょう」
いやいや、ナディアよ。ニーチェは、戦ってなんて居ないと思うぞ?
その言葉を使っている奴らも、別に強大な敵と戦ったりなんてしてないと思う。
厨二病って言われるだけだから、他言はしない様にね。
お口にチャックだぞ?
「まあ、それはどうでもいいのだが…とにかく、一旦皆の元に戻ろう。どうにもこうにもやばい感じがビンビンするんだ」
俺は立ち上がり、いまだにこちらを見つめているアレを一瞥すると、ドームを降りるべく歩き始めた。
ナディア達も慌てて立ち上がると、アレには目もくれず、俺の後に続いた。
そして、ドームを降りた俺達は、振り向きもせずに家族の待つホワイト・オルター号まで戻った。
「どうかされたのですか?」
俺は変身していたので、表情は分からなかっただろうが、真っ青な顔で俺の後に続くナディア達を見たメリルが、心配そうな顔で俺に声を掛けた。
「あ、ああ…うん…ちょっと中で話そう…皆も、ついて来てほしい…」
俺は変身を解きながら、用件だけをメリルに伝え、タラップを上がった。
俺達の帰りを待っていた面々は、不思議そうに顔を見合わせ、タラップを踏みしめる。
アレをどう説明したらいいんだろうか?
そもそも、アレは倒す事が出来るのか?
本当に元はヒルコだったのか?
焼いたのがいけなかったのだろうか?
一体、どうすれば良かったんだろう?
俺は…俺は…俺は…
食堂のいつもの席に座った俺は、両肘をテーブルについて両の手の指を組み、その上に額をあてながら考え込んでいた。
どっかの「使徒を倒さぬ限り、我々に未来は無い」とか言ってたおっさんの様だが、まさに俺の心境ぴったりだ。
そんな俺を、皆が無言で見つめているのが、見なくても分かる…俺の様子に戸惑っているのだろう。
あの不気味な目玉の持ち主を倒さない限り、この世界が終わる予感がする。
何故だかわからないが、あいつがこの世界の全てを喰い尽くす気がしてならない。
あのカズムと戦った時も、カズムの欠片を宿したヒミコが転移してきた時も、こんなプレッシャーは感じなかった。
『…あいつは最悪の敵…最強にして最恐の敵…』
俺の第六感が…アレは最強にして最恐の敵だと囁いている。
『…あいつはこの世界に存在してはいけない…倒せ…倒すんだ…』
あいつを倒せと、俺の心が叫んでる。
『…たとえ世界中の人があきらめたって…俺はあきらめないっ…』
そう、絶対にあきらめない! 奴を倒す!
『 絶対にあきらめないぞっ!』
ああ、諦めるもんか!
…ん? ダイの〇冒険にも同じセリフが…
『…貧乳はステータスだ!』
泉こ〇た? ってか、サラだな! さっきから俺の頭の中にこそこそ話しかけて来てるのは!
『そう、あなたは貧乳が好きな~る、好きにな~る』
サブリミナル効果か!? いや、ストレートに、洗脳かよ!
『ばれました?』
ばれないわけが無いだろうが!
『あ、やっと反応してくれましたね。それで、何があったんですか?』
ん? 知っててやったんじゃないのか?
『ああ、敵の目玉の事は、視界をちょっと共有させてもらって見ましたが?』
んじゃ、あいつが何だか知ってんのか?
『私が知るわけ無いじゃないですか! あんた、馬鹿ですか?』
何で俺が怒られなきゃならんのだ!
いいから、サラは管理局のデータにでも何でもいいからアクセスして、あいつの情報持って来い!
『人使いの荒い人ですねえ…んじゃ、ちょっくら調べてきますよ…』
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