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その正体は不明
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お茶をのんびりと飲みながら、俺達は楽しい会話…は、ちょっとしかしていないぞ。
真面目にこの後の段取りを相談していたのだ。
ま、塵も残さず焼き尽くすのが理想だが、そうはいかないだろうから、きっちりと残ったカスは吸いとーる君で処分する。
ヒルコはいいとしても、あの蟲だけは完全完璧にこの世から消し去らないと、マジ危険だからな。
おおよその作戦に変更も無いし、やる事は既に決まってるので、のんびりしたもんだ。
どれだけ時間が過ぎたんだろうか? もうお昼になろうかという時、ヒルコの燃える様子を遠くから監視していた妖精さん達からナディアへと報告が入った。
「マスター。どうやら焼却もほぼ終わりの様です」
のんびりお茶を愉しんでいた俺のそばまでやって来たナディアが、小声で俺に報告して来た。
「お、そろそろか。んじゃ確認に行くか。ああ、皆はのんびりしてていいよ」
皆にそう伝えて、俺が席を立とうとしたら
「トールちゃん、待ちなさい。さあ、皆! 楽しいお茶会はこれで終了よ。敵を見に行きましょう!」
母さんがニッコリ笑って、そう宣言した。
もちろん、それを拒絶する者はおらず、嫁達をはじめとした我が家の全員が席を立った。
あ、そですか…母さんの言葉には、誰も逆らえないからな…うん。
もちろん、俺も逆らえませんけど、何か?
半球状のドームの中は、水蒸気なのか塵なのか灰なのか分からないが、妙に曇っていた。
妖精さんの報告によると、ドームの内部には動く物は無いそうだ。
念のために精霊さん達にも確認をして貰ったのだが、ドームの基礎部分である地面を固めていた土の精霊さんからは、生物が動いている様子は一切無いそうだ。
やっとヒルコ騒動が終わったか…ちょっと、ほっとした。
水の精霊さんによって、ガンガンドームは冷やされ、風の精霊さんによって新鮮な空気を送り込まれたドーム内部は、だんだんと上部から中が透けて見え始めた。
ふむ…あのデカ物は、綺麗さっぱり無くなったようだな。
家族もドームから…いや、その内部の様子がどうなっているのか、興味津々で見つめていた。
それほど時間もかからず、ドームは元の透明度を取り戻した。
遠く離れた場所からその様子をじっと見ていた俺達は、取りあえずシールドを解除する前に、中の様子を見る事に居た。
どんだけ灰とか塵とか残ってるんだろうなあ…文字通り掃除が大変だ。
そんな事を考えながら、ゆっくりとドームへと近づいた。
「た、大変です!」「結界の中に…結界の中に…」「何かあります!」
先に空を飛んで結界内部の様子を確認しに行っていた、アーデ、アーム、アーフェンが口々に異変を報告して来た。
何かって何?
「マスター、少々お待ちください…妖精達の報告が…え? 本当ですか? それは間違いないのですね? 分りました」
妖精達となにやら念話で会話してるようだけど…何に驚いたんだろう?
「内部にある物体ですが…巨大なクルミに見えるとの事ですが、その正体は不明だそうです」
「クルミ?」
クルミって…あの硬い殻の中身を食べる、あの胡桃の事? 何で、そんな物が?
「その大きさは、成人男性の腰ほどもあるそうです」
デカいな、おい! 直径1m程か?
俺が、う~~んと考えていると、そっと近づいて来たサラが、俺をチョンチョンと突いた。
「…大河さん、大河さん…私、もの凄く嫌な予感がします…」
何やら小声でそう言って来たので、俺も小声で、
「…嫌な予感って?」
「…あのヒルコってのは、乾季になると、どうなるか覚えてますか?」
水分の蒸発を防ぐために、硬い…殻に…………
「おい、まさか!?」
思わず大きな声を出してしまった。
「急に大きな声を出して、どうしたんだ、トール?」
母さんやコルネちゃん、ユリアちゃんとドームを眺めていた父さんが、俺の声を聞きつけてやって来た。
「あ、いや…その…」
「何だ、言い難い事なのか?」
コレ、言わなきゃ駄目だよな…内緒にしてていい案件じゃないし…
「実は、あの内部に…巨大なクルミみたいな物が見つかったんだ」
父さんが俺に近づいて話をしているのを見て近づいて来た面々が、
「「「「クルミ?」」」」」
一斉に声をあげた。
全員の目が俺に集中しちゃったよ。
「いや、胡桃みたいな物。大きさは、ざっとこれぐらい」
そう言って、俺の腰辺りの高さで右手を左右に振る。
「トール様…私、すごく嫌な予感がするのですが…」
頭も勘も良いマチルダは、それが何か気付いた様だ。
「ああ、もの凄く嫌な予感しかしないな」
マチルダの言葉に、俺も同意する。
「トール、ちょっと待て。それじゃ、あのでっかいクラゲは、まだ生きてるのか?」
父さんが、眉間にしわをよせた顔で、口に出したくなかった事を、ズバリと言ってしまった。
それを聞いた女性陣は、思いっきり顔を顰める。
父さんの出した結論は、俺も心の中で、そうで無ければいいのにと思ってた内容だ。
だが、全員がこの異変に気付いてしまったのなら、仕方ない。
「ヒルコは、まだ生きていると思う。クルミの様な姿になって、あのドームの中で」
俺は、たどり着きたくなかった結論にたどり着いてしまった。
ならば、はっきりと皆に知ってもらうしかないだろう。
「ヒルコとの戦いはまだ終わって無い!」
真面目にこの後の段取りを相談していたのだ。
ま、塵も残さず焼き尽くすのが理想だが、そうはいかないだろうから、きっちりと残ったカスは吸いとーる君で処分する。
ヒルコはいいとしても、あの蟲だけは完全完璧にこの世から消し去らないと、マジ危険だからな。
おおよその作戦に変更も無いし、やる事は既に決まってるので、のんびりしたもんだ。
どれだけ時間が過ぎたんだろうか? もうお昼になろうかという時、ヒルコの燃える様子を遠くから監視していた妖精さん達からナディアへと報告が入った。
「マスター。どうやら焼却もほぼ終わりの様です」
のんびりお茶を愉しんでいた俺のそばまでやって来たナディアが、小声で俺に報告して来た。
「お、そろそろか。んじゃ確認に行くか。ああ、皆はのんびりしてていいよ」
皆にそう伝えて、俺が席を立とうとしたら
「トールちゃん、待ちなさい。さあ、皆! 楽しいお茶会はこれで終了よ。敵を見に行きましょう!」
母さんがニッコリ笑って、そう宣言した。
もちろん、それを拒絶する者はおらず、嫁達をはじめとした我が家の全員が席を立った。
あ、そですか…母さんの言葉には、誰も逆らえないからな…うん。
もちろん、俺も逆らえませんけど、何か?
半球状のドームの中は、水蒸気なのか塵なのか灰なのか分からないが、妙に曇っていた。
妖精さんの報告によると、ドームの内部には動く物は無いそうだ。
念のために精霊さん達にも確認をして貰ったのだが、ドームの基礎部分である地面を固めていた土の精霊さんからは、生物が動いている様子は一切無いそうだ。
やっとヒルコ騒動が終わったか…ちょっと、ほっとした。
水の精霊さんによって、ガンガンドームは冷やされ、風の精霊さんによって新鮮な空気を送り込まれたドーム内部は、だんだんと上部から中が透けて見え始めた。
ふむ…あのデカ物は、綺麗さっぱり無くなったようだな。
家族もドームから…いや、その内部の様子がどうなっているのか、興味津々で見つめていた。
それほど時間もかからず、ドームは元の透明度を取り戻した。
遠く離れた場所からその様子をじっと見ていた俺達は、取りあえずシールドを解除する前に、中の様子を見る事に居た。
どんだけ灰とか塵とか残ってるんだろうなあ…文字通り掃除が大変だ。
そんな事を考えながら、ゆっくりとドームへと近づいた。
「た、大変です!」「結界の中に…結界の中に…」「何かあります!」
先に空を飛んで結界内部の様子を確認しに行っていた、アーデ、アーム、アーフェンが口々に異変を報告して来た。
何かって何?
「マスター、少々お待ちください…妖精達の報告が…え? 本当ですか? それは間違いないのですね? 分りました」
妖精達となにやら念話で会話してるようだけど…何に驚いたんだろう?
「内部にある物体ですが…巨大なクルミに見えるとの事ですが、その正体は不明だそうです」
「クルミ?」
クルミって…あの硬い殻の中身を食べる、あの胡桃の事? 何で、そんな物が?
「その大きさは、成人男性の腰ほどもあるそうです」
デカいな、おい! 直径1m程か?
俺が、う~~んと考えていると、そっと近づいて来たサラが、俺をチョンチョンと突いた。
「…大河さん、大河さん…私、もの凄く嫌な予感がします…」
何やら小声でそう言って来たので、俺も小声で、
「…嫌な予感って?」
「…あのヒルコってのは、乾季になると、どうなるか覚えてますか?」
水分の蒸発を防ぐために、硬い…殻に…………
「おい、まさか!?」
思わず大きな声を出してしまった。
「急に大きな声を出して、どうしたんだ、トール?」
母さんやコルネちゃん、ユリアちゃんとドームを眺めていた父さんが、俺の声を聞きつけてやって来た。
「あ、いや…その…」
「何だ、言い難い事なのか?」
コレ、言わなきゃ駄目だよな…内緒にしてていい案件じゃないし…
「実は、あの内部に…巨大なクルミみたいな物が見つかったんだ」
父さんが俺に近づいて話をしているのを見て近づいて来た面々が、
「「「「クルミ?」」」」」
一斉に声をあげた。
全員の目が俺に集中しちゃったよ。
「いや、胡桃みたいな物。大きさは、ざっとこれぐらい」
そう言って、俺の腰辺りの高さで右手を左右に振る。
「トール様…私、すごく嫌な予感がするのですが…」
頭も勘も良いマチルダは、それが何か気付いた様だ。
「ああ、もの凄く嫌な予感しかしないな」
マチルダの言葉に、俺も同意する。
「トール、ちょっと待て。それじゃ、あのでっかいクラゲは、まだ生きてるのか?」
父さんが、眉間にしわをよせた顔で、口に出したくなかった事を、ズバリと言ってしまった。
それを聞いた女性陣は、思いっきり顔を顰める。
父さんの出した結論は、俺も心の中で、そうで無ければいいのにと思ってた内容だ。
だが、全員がこの異変に気付いてしまったのなら、仕方ない。
「ヒルコは、まだ生きていると思う。クルミの様な姿になって、あのドームの中で」
俺は、たどり着きたくなかった結論にたどり着いてしまった。
ならば、はっきりと皆に知ってもらうしかないだろう。
「ヒルコとの戦いはまだ終わって無い!」
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