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住民はどこいった?
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街門前に戻って来たメリル達一行は、トールの姿を探して周囲をキョロキョロとしてはみたが、そういえば作戦行動中であったことに気づき、フルフェイスのヘルムの下で顔を赤らめた。
そう、こんな所にいるはずがないという事に気付いて。
しかし恥ずかしがっているのも、ほんの一瞬。
マチルダの行動は早かった。
「アーデさん、すぐにほかの妖精さん達に連絡をして下さい。速やかに全員街門前に集合と」
「わかりました。全員、直ちに…ですね」
アーデは目を閉じ、ナディアやアーム、アーフェン、そしてこの場にいる全ての妖精へと念話を送った。
「全員、そんなに遠くには行ってないようですので、すぐに集まると思います」
ちゃんと念話出来ている事にほっとしつつ、メリルは通信の呪法具を取り出した。
『あ、お義母様ですか? メリルです。出来るだけ急いで最初の地点まで戻って頂けないでしょうか?』
メリルのどこか切迫した声に異変を感じたウルリーカは、
『メリルちゃん、何かあったのね? いいわ、すぐに行きます。サラちゃん、面舵いっぱい! 『ぁぃぁぃさー…』』
事情を一切聞かずに決断し、サラに指示を出す男前なウルリーカの行動に感心するとともに、バックに聞こえたサラの気の抜けた返事に、強張っていたメリルの身体も少しだけ解れた。
そんな事をしていると、上空からユズキとユズカとアームが降りて来た。
「皆さん戻ってきてたんですね。という事は、あれを見たと…?」
ユズキが地に降りるなりメリルへと問いかけた。
「私は直接は…ですが、マチルダが全てを確認しましたので。マチルダの言う事は絶対ですから」
その言葉を聞いたユズキは、うんうんと頷き、マチルダは少し恥ずかしそうにしていた…仮面越しでは分り難いが…。
「あ、コルネリア様も戻って来た!」
ユズカが目ざとくコルネとユリア姉妹が近づいて来るのを見つけた。
付き従うナディアとアーフェンは、真剣な顔で何やら話し合っていた。
そしてトールを除くメンバーが街門に集まったと時を同じくし、ホワイト・オルター号も上空へと到着した。
ゆっくりと降下するホワイト・オルター号であったが、ユズキとユズカ、そしてマチルダと妖精一同には、その様子をのんびりと眺めている余裕は無かった。
いや、はっきり言って、焦っていた。
やがて着陸した飛行船からタラップが降ろされた時、トールもようやくその姿を見せた。
実は、新装備を創造したので、嬉しくて遊んでいた…などとは言えない様な緊迫した場面での登場だった。
「えっと…何があったの?」
訳も分からず呼び戻されたトール。
もちろん、コルネリアとユリアーネも、詳しい話は知らない。
いや、妖精達とマチルダとユズユズしか、皆を振り出しに戻した本当の理由を知らない。
「トール、何があったのだ?」
ヴァルナルも、怪訝な顔でトールに訊ねるが、そもそもトールが理由を知らない。
なので、トールも自然と理由を知っているであろう、マチルダへと視線を向けた。
「急に呼び戻してしまって、申し訳ございません…ですが、緊急事態なのです」
そう切り出したのは、もちろんマチルダだ。
「いや、呼び戻すのは良いんだけど…そんなに緊急なの?」
「はい、トール様。皆様は、この皇都に突入してから、何か違和感を感じませんでしたか?」
全員が、こんな時に何故に問いかけ? とも思わないでも無かったが、
「あまりにも閑散としているというか…」
「閑古鳥が鳴いているってこういう状態なのかなぁって…」
「えっと…皇都なのに…寂れてる感じと言ったらいいのか…」
メリル、ミルシェ、ミレーラが、それぞれ感想を述べる。
「何だか、活気が無いですよねぇ」
いや、コルネちゃんよ…ゾンビだらけで活気があったら、それはそれで怖いぞ?
「てきがすくなーい!」
最後にユリアちゃんが、全員が思っていた事を、ずばっと直球ド真ん中で言い放つ。
「そう、そこが問題なのです。何故、敵が少ないのか…」
マチルダが、皆の意見を聞き、語り始めた。
いや、とにかく結論言ってて欲しいなあ…まだ説明続くの?
「この街の住民達は、あのゾンビが出現するや、その多くはこの街を捨てて逃げ出した様です。この目の前にある門以外にも、皇都には6カ所の門が有りますが、それらは外側から硬く閉ざされていました」
ん?
「外からって事は…逃げた人が、外から門を閉じたって事?」
思わず聞き返してしまったが、
「その通りです。多くの人は逃げる時に、ゾンビをこの街に閉じ込めるために門を外から固めた様です」
なるほどね。
「そして逃げた住民ですが…モフリーナさんは、この周りに生きた人は居ないと言っていました。おかしくありませんか?」
「む!? 確かに、それはおかしいな」
おっと、父さんも参加するの、この話に?
「お義父様の仰る通り、おかしいですよね。では、逃げた住民達は、一体どこに行ったのでしょう」
これには流石に全員考え込んでしまった。
モフリーナは、周囲に生きた人は居ないと言った。
生きた人? そしたら、生きて無い人…ゾンビは?
いや、ゾンビは確かに生きてはいないが、そもそも皇都を出て無いんだよな。
って事は、住民はどこいった? 生きてないって、殺されたのか?
「私が見たのは、この街を放棄して逃げ出した住民の成れの果てです…」
マチルダは、行方不明の住民達の行方を知っている様だった。
そう、こんな所にいるはずがないという事に気付いて。
しかし恥ずかしがっているのも、ほんの一瞬。
マチルダの行動は早かった。
「アーデさん、すぐにほかの妖精さん達に連絡をして下さい。速やかに全員街門前に集合と」
「わかりました。全員、直ちに…ですね」
アーデは目を閉じ、ナディアやアーム、アーフェン、そしてこの場にいる全ての妖精へと念話を送った。
「全員、そんなに遠くには行ってないようですので、すぐに集まると思います」
ちゃんと念話出来ている事にほっとしつつ、メリルは通信の呪法具を取り出した。
『あ、お義母様ですか? メリルです。出来るだけ急いで最初の地点まで戻って頂けないでしょうか?』
メリルのどこか切迫した声に異変を感じたウルリーカは、
『メリルちゃん、何かあったのね? いいわ、すぐに行きます。サラちゃん、面舵いっぱい! 『ぁぃぁぃさー…』』
事情を一切聞かずに決断し、サラに指示を出す男前なウルリーカの行動に感心するとともに、バックに聞こえたサラの気の抜けた返事に、強張っていたメリルの身体も少しだけ解れた。
そんな事をしていると、上空からユズキとユズカとアームが降りて来た。
「皆さん戻ってきてたんですね。という事は、あれを見たと…?」
ユズキが地に降りるなりメリルへと問いかけた。
「私は直接は…ですが、マチルダが全てを確認しましたので。マチルダの言う事は絶対ですから」
その言葉を聞いたユズキは、うんうんと頷き、マチルダは少し恥ずかしそうにしていた…仮面越しでは分り難いが…。
「あ、コルネリア様も戻って来た!」
ユズカが目ざとくコルネとユリア姉妹が近づいて来るのを見つけた。
付き従うナディアとアーフェンは、真剣な顔で何やら話し合っていた。
そしてトールを除くメンバーが街門に集まったと時を同じくし、ホワイト・オルター号も上空へと到着した。
ゆっくりと降下するホワイト・オルター号であったが、ユズキとユズカ、そしてマチルダと妖精一同には、その様子をのんびりと眺めている余裕は無かった。
いや、はっきり言って、焦っていた。
やがて着陸した飛行船からタラップが降ろされた時、トールもようやくその姿を見せた。
実は、新装備を創造したので、嬉しくて遊んでいた…などとは言えない様な緊迫した場面での登場だった。
「えっと…何があったの?」
訳も分からず呼び戻されたトール。
もちろん、コルネリアとユリアーネも、詳しい話は知らない。
いや、妖精達とマチルダとユズユズしか、皆を振り出しに戻した本当の理由を知らない。
「トール、何があったのだ?」
ヴァルナルも、怪訝な顔でトールに訊ねるが、そもそもトールが理由を知らない。
なので、トールも自然と理由を知っているであろう、マチルダへと視線を向けた。
「急に呼び戻してしまって、申し訳ございません…ですが、緊急事態なのです」
そう切り出したのは、もちろんマチルダだ。
「いや、呼び戻すのは良いんだけど…そんなに緊急なの?」
「はい、トール様。皆様は、この皇都に突入してから、何か違和感を感じませんでしたか?」
全員が、こんな時に何故に問いかけ? とも思わないでも無かったが、
「あまりにも閑散としているというか…」
「閑古鳥が鳴いているってこういう状態なのかなぁって…」
「えっと…皇都なのに…寂れてる感じと言ったらいいのか…」
メリル、ミルシェ、ミレーラが、それぞれ感想を述べる。
「何だか、活気が無いですよねぇ」
いや、コルネちゃんよ…ゾンビだらけで活気があったら、それはそれで怖いぞ?
「てきがすくなーい!」
最後にユリアちゃんが、全員が思っていた事を、ずばっと直球ド真ん中で言い放つ。
「そう、そこが問題なのです。何故、敵が少ないのか…」
マチルダが、皆の意見を聞き、語り始めた。
いや、とにかく結論言ってて欲しいなあ…まだ説明続くの?
「この街の住民達は、あのゾンビが出現するや、その多くはこの街を捨てて逃げ出した様です。この目の前にある門以外にも、皇都には6カ所の門が有りますが、それらは外側から硬く閉ざされていました」
ん?
「外からって事は…逃げた人が、外から門を閉じたって事?」
思わず聞き返してしまったが、
「その通りです。多くの人は逃げる時に、ゾンビをこの街に閉じ込めるために門を外から固めた様です」
なるほどね。
「そして逃げた住民ですが…モフリーナさんは、この周りに生きた人は居ないと言っていました。おかしくありませんか?」
「む!? 確かに、それはおかしいな」
おっと、父さんも参加するの、この話に?
「お義父様の仰る通り、おかしいですよね。では、逃げた住民達は、一体どこに行ったのでしょう」
これには流石に全員考え込んでしまった。
モフリーナは、周囲に生きた人は居ないと言った。
生きた人? そしたら、生きて無い人…ゾンビは?
いや、ゾンビは確かに生きてはいないが、そもそも皇都を出て無いんだよな。
って事は、住民はどこいった? 生きてないって、殺されたのか?
「私が見たのは、この街を放棄して逃げ出した住民の成れの果てです…」
マチルダは、行方不明の住民達の行方を知っている様だった。
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