システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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どこで使う気?

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 蟲に操られてはいると言っても、まだ辛うじて生きている状態の人…いや、ゾンビ。
 人としての活動が蟲にとって重要だから、頭や生命維持活動に必要な臓器なんかには寄生してない様だが…そこが狙い目。
 せいやっ!
 迫りくるゾンビに恐怖心が芽生えないとは言わないが、いかんせん動きのトロイ奴らなので、対処は簡単だ。
 エネルギー・ブレードを抜く必要性を感じないほどには、簡単に対処できる。
 せりゃっ!
 ずっと鍛え続ててきた突きと蹴りだけで、ゾンビは粉砕出来る。
 おぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!
 フラフラと目の前に出て来た、商人風の服を着た男に蹴りを入れ、蹴り足が地面を掴んだ瞬間に突きを町娘風のゾンビに。
 どちらも狙いは顔面…というか脳だ。
 人間の脳は非常にもろい。
 それこそ、揺さぶられただけでも、脳を守る為の頭骨に当たって損傷をするほどに。
 ただでさえ筋力を大幅に向上するこの装備を身に付けた俺の突き蹴りだ。
 真面に当たって無事なはずが無い。
 もっとドロドロに腐って溶け堕ちた顔とか身体であれば、きっと心も痛まなかっただろう。
 だが、顔色も悪く、視線も虚ろで、動きこそトロイものの、生きた人。
 心が痛まないわけは無いだろう。
 今世では運が無かったな…せめて、来世では幸福な人生を…そう願わずにはいられない。
 俺には精霊さんが付いて来てくれているので、倒したゾンビは即座に燃やし尽くしてくれる。
 最初に殴り倒したゾンビからは、いきなり口からわらわらと蟲達が逃げ出して来たのを見て、キモすぎてビビってしまった。
 だから、その次からは即座に燃やしてもらう様に、精霊さんにお願いしたのだ。

 建物の中も確認せねば…え? その建物の中には何にもいない? 精霊さん、ありがとう。
 でもね、ちょ~~っと用事があるんだよ、ごめんね。
 ってなわけで、俺は建物の扉を開け…開けて…鍵掛かってんのかよ!
 ならば、全力で蹴り破るまでよ! そーーーい! 
 どっがーーーん!  と、簡素な気で出来た扉は、木っ端みじんになった…足型に…失敗失敗。
 思ったよりも薄かったんだな、この建物の扉は。
 今度は蝶番あたりを狙って蹴ろう。
 んでは、ちょっとお邪魔しますよっと。
 今頃、嫁達は西へ、妹ペアは東に、ユズユズ・コンビは街壁に沿って時計回りにゾンビを狩っているはず。
 辺りを見回してみるが、精霊さん以外には居ない…よね? 誰も見てませんね? 妖精さん、隠れてたら出て来てね。
 うん、誰も居ないの確認! 
 では、ひっさびさにガチャ玉使っちゃおうかな~っと。
 ではでは…イメージはすでに固めてあるし、サラにも一応伝えてあるけど、念の為。
『サラ~! そろそろ創っちゃうぞ~!』
『はいはい、お待ちしておりましたよ、大河さん』
 念話って便利だなあ。
『んじゃ、このマーブル模様のガチャ玉で…イメージイメージ…』
『むむむむむ? なんかお聞きしていたイメージにおまけが付いてますが?』
『うるさいな! あれからちょっと考えたのもイメージに組み込んだんだよ!』
 集中してんのに、やかましい奴だ。
『ふ~ん…まあ、どうでもいいですけど…そもそも、これってどこで使う気ですか?』
 ど、どっかで…
『使う機会があったら、相手に同情しますね…』
 だろ? これならユリアちゃんにも勝てる!
『基準がそこって、兄としての威厳皆無ですねえ…』 
 っ! だから創るんだよ! いいから、さっさと承認してもらえや!
『はいはい。んっと…ハイ、承認完了。勝手に開封してくださいニャ!』
 その語尾! 
 まあ、いいや…んじゃ、いざ開封の儀!
 そしてガチャ玉を開封して出てきた物は、俺のイメージ通りの一品だった。  

「ゆりあちゃん、ぱーーーんち! あーんど、きーーーっく!」
 ずがーーーーん! どがーーーーん!
「ユリアちゃん。あなたは侯爵家の娘なのですから、もう少しお淑やかにですね…んぎゃーーー! キモイから近づくなーーー! 炎の嵐よ、燃やし尽くせ!」
 コルネリアの持つ巨大な杖から渦巻く炎が飛び出し、ユリアーネの殴り倒したゾンビを燃やし尽くす。
 すかさずアーフェンが吸いトール君で、灰まで残さず跡形も無く吸い取る。
「は~い…あ、もっかい、ゆりあちゃんきーーーーっく!」
「もう! 言ってるそばから…キモ! マジでキモ!」
 ユリアーネに淑女教育をしつつ? 次々とゾンビを焼き尽くすコルネリア。
 そんな姉妹を見ていたナディアが、どっちもどっちでは? と、感じたかどうかは分からないが、
「お2人共。そんな事では、奥様に淑女教育のお時間を増やされますよ?」
 そう注意すると、2人は慌てて、
「そ、それじゃ、おねえさま…あそこのおぞんびさまに、ゆりあーねがおててでおしおきいたしますので、おあとをおねがいいたしますわ…おほほほ」
 いえ、ユリアーネ様…何にでも"お"を付けたら淑女という訳では…
「そ、そうね。では、ユリアーネのお仕置きの後は、私にお任せなさいな…おほほ」
 コルネリア様…今更、口調を変えても遅いですよ?
 などと、2人を見ていたナディアが思ったとか思わなかったとか。
 ちなみに…吸いとーる君を手に持ち、油の詰まった樽を背負ったアーフェンは、淑女とはとても呼べない姉妹を、冷たい目で見て黙って見つめていた。
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